Root のプロパティ
グラフィックス環境と状態の情報
Root
オブジェクトはグラフィックス オブジェクト ツリーのルートのオブジェクトです。Root
プロパティには、グラフィックス環境に関する情報やグラフィックス システムの現在の状態に関する情報が含まれています。ドット表記を使用して、特定のオブジェクトとプロパティを参照します。
r = groot; fig = r.Children;
ディスプレイの情報
MonitorPositions
— ディスプレイの幅と高さ
n 行 4 列の行列
この プロパティ は読み取り専用です。
ディスプレイの幅と高さ。n 行 4 列の行列として返されます。n はディスプレイの数です。各行は 1 つのディスプレイに対応しており、[x y width height]
の形式の 4 要素ベクトルです。たとえばディスプレイが 2 つある場合、次の形式の行列になります。
[x1 y1 width1 height1 x2 y2 width2 height2]
(1,1)
になります。それ以外の単位では、原点はいずれも (0,0)
になります。Units
プロパティは、この位置を測定する単位を決めます。
メモ
MATLAB® は、起動時にこのプロパティにディスプレイ情報を設定します。これは静的な値であり、たとえば、新しいモニターを接続するなどして、システムのディスプレイ設定が変更されても値は更新されません。値を更新するには MATLAB を再起動してください。
PointerLocation
— ポインターの現在の位置
2 要素ベクトル
ポインターの現在の位置。[x y]
の形式の 2 要素ベクトルとして指定します。x
と y
は原点に対するポインターの相対的な位置を示す座標の値です。原点はプライマリ ディスプレイの左下隅です。単位がピクセルの場合、原点は (1,1)
になります。それ以外の単位では、原点はいずれも (0,0)
になります。Units
プロパティは、この位置を測定する単位を決めます。
このプロパティは、ポインターが MATLAB ウィンドウになくても、現在のポインターの位置を示します。このプロパティの値を変更して、ポインターを移動します。Macintosh システムでは、このプロパティでポインターの位置を変更することができません。
コールバック ルーチンで PointerLocation
プロパティをクエリすると、コールバックが実行されたときのポインターの位置と異なる値が返されることがあります。システム リソースの互換性により生じるコールバックの実行の遅延から、この違いが生じます。
例: [500 400]
ScreenDepth
— それぞれのピクセルの色を定義するビット数
スカラー
それぞれのピクセルの色を定義するビット数。スカラーとして指定します。既定値はコンピューターによって異なります。現在のグラフィックス デバイスで同時に表示される色の最大数は、このプロパティの値を指数とする 2 のべき乗です。
ScreenPixelsPerInch
— ディスプレイの解像度
スカラー
この プロパティ は読み取り専用です。
ディスプレイの解像度。1 インチあたりのピクセル数を示すスカラーとして返されます。値はシステムにより異なります。
Windows® システムでは 96 dpi です。
Macintosh システムでは 72 dpi です。
Linux® システムの場合、システムの解像度に応じて値が決まります。
メモ
ScreenPixelsPerInch
プロパティは、R2015b では読み取り専用プロパティになりました。画面に表示されるテキストやその他の要素の大きさを変更するには、オペレーティング システムのディスプレイのスケーリングを調整してください。
ScreenSize
— プライマリ ディスプレイのサイズ
4 要素ベクトル
この プロパティ は読み取り専用です。
プライマリ ディスプレイのサイズ。[left bottom width height]
の形式の 4 要素ベクトルとして返されます。
left
とbottom
の値は、ピクセル単位の場合はともに1
です。その他の単位の場合は0
です。width
とheight
の値はそれぞれディスプレイの幅と高さです。
メモ
R2015b 以降、Windows システムで Units
プロパティが 'pixels'
に設定されている場合、幅と高さの値はオペレーティング システムで報告されるサイズと一致しないことがあります。MATLAB で報告される値は、1/96 インチのピクセル サイズに基づいています。Macintosh システムおよび Linux システムでの値は、オペレーティング システムで報告されるサイズに一致します。
このプロパティを使用する際は以下の点を考慮してください。
Microsoft® Windows のタスク バーのような UI が存在する場合、この値は使用できるディスプレイのサイズを示さない場合があります。
MATLAB は、起動時にこのプロパティにディスプレイのサイズの値を設定します。これは静的な値であり、システムのディスプレイの設定が変わってもディスプレイのサイズの値は更新されません。値を更新するには MATLAB を再起動してください。
FixedWidthFontName
— 固定幅フォントのフォント名
文字ベクトル | string
固定幅フォントのフォント名。システムでサポートされているフォントの名前を示す文字ベクトルまたは string として指定します。このプロパティは、FontName
プロパティが 'FixedWidth'
に設定された座標軸、テキスト、Uicontrol のフォントを指定します。既定値はシステムにより異なります。Latin ベースの文字を使用するシステムの既定の設定は 'Courier New'
です。
FixedWidthFontName
プロパティを指定すると、MATLAB アプリケーションでフォント名をハードコードする必要がなくなります。MATLAB は FixedWidthFontName
プロパティをそのシステムに適した値に設定しようとします。
固定幅フォントを使用した MATLAB アプリケーションを開発する場合、開発者はこのルート プロパティではなく axes オブジェクト、text オブジェクトおよび uicontrol オブジェクトの FontName
プロパティを 'FixedWidth'
に設定します。このルート プロパティは、アプリケーションのユーザーがあらかじめ選択されている値以外を使用する場合に設定できます。
例: 'Courier New'
Units
— MonitorPositions
、ScreenSize
、PointerLocation
の単位
'pixels'
(既定値) | 'inches'
| 'centimeters'
| 'points'
| 'characters'
| 'normalized'
MonitorPositions
、ScreenSize
、PointerLocation
の各プロパティの単位。次の表の値のいずれかとして指定します。
Units | 説明 |
---|---|
'pixels' (既定) | ピクセル。 R2015b 以降、Windows および Macintosh システムにおいて、ピクセル単位の距離はシステム解像度に依存しません。
Linux システムでは、ピクセルのサイズは使用しているシステムの解像度によって決まります。 |
'inches' | インチ。 |
'centimeters' | センチメートル。 |
'points' | ポイント。1 ポイントは 1/72 インチです。 |
'normalized' | ディスプレイを基準に正規化されます。ディスプレイの左下隅は (0,0) に、右上隅は (1,1) にマッピングされます。 |
'characters' | 既定のシステム フォントの文字サイズを基準にします。
|
すべての単位は、プライマリ ディスプレイの左下隅から測定されます。単位がピクセルの場合、左下隅は (1,1)
になります。それ以外の単位では、左下隅はいずれも (0,0)
になります。
単位を変更した場合、Units
プロパティの設定値が既定値であることを前提としている他の関数に影響を及ぼさないように、操作終了後に元の既定値に戻すことを推奨します。
識別子
CallbackObject
— コールバックを実行中のオブジェクト
[]
(既定値) | グラフィックス オブジェクト
この プロパティ は読み取り専用です。
コールバックを実行中のオブジェクト。グラフィックス オブジェクトとして返されます。詳細については、gcbo
コマンドを参照してください。
CurrentFigure
— 現在の Figure
空の GraphicsPlaceholder
(既定値) | figure オブジェクト
現在の Figure。figure オブジェクトとして指定します。通常は、最後に作成またはクリックされたか、関数 figure
を呼び出してアクティブにされたものが現在の Figure になります。このプロパティを設定すると、ディスプレイ上で他の Figure よりも手前に並べ替えなくても、その Figure が現在の Figure になります。ただし、関数 figure
を使用して Figure をアクティブにした場合は、その Figure がディスプレイの前面に表示されます。HandleVisibility
プロパティが 'on'
に設定されていない Figure は現在の Figure にはなりません。
このプロパティは、Figure がない場合は空の GraphicsPlaceholder
配列を返します。一方、gcf
コマンドは常に figure オブジェクトを返します。gcf
では、figure オブジェクトがない場合は作成されます。
Type
— グラフィックス オブジェクトのタイプ
'root'
この プロパティ は読み取り専用です。
グラフィックス オブジェクトのタイプ。'root'
として返されます。Root
オブジェクトのハンドルは関数 groot
を使用して常に表示されます。
Tag
— ルートに関連付けるタグ
''
(既定値) | 文字ベクトル | string
ルートに関連付けるタグ。文字ベクトルまたは string として指定します。Root
オブジェクトは 1 つしかなく、関数 groot
を使用していつでもアクセスできます。
UserData
— ユーザー データ
[]
(既定値) | 配列
ユーザー データ。任意の MATLAB 配列として指定します。たとえば、スカラー、ベクトル、行列、cell 配列、文字配列、table、または構造体を指定できます。このプロパティを使用して、任意のデータをオブジェクトに保存します。
App Designer を使用している場合は、UserData
プロパティを使用する代わりに、アプリでパブリック プロパティまたはプライベート プロパティを作成してデータを共有します。詳細については、App Designer アプリ内でのデータの共有を参照してください。
親/子
Parent
— 親
空の GraphicsPlaceholder
Root
オブジェクトには親はありません。このプロパティは常に空の GraphicsPlaceholder
になります。
Children
— 子
空の GraphicsPlaceholder
| figure オブジェクトの配列
子。ハンドルが表示される figure オブジェクトの配列として指定します。ハンドルが表示されるかどうかは Figure の HandleVisibility
プロパティで決まります。このプロパティにはハンドルが非表示の Figure は含まれません。
子の順序を変更することで、ディスプレイ上での Figure の並べ替え順序を変更できます。
HandleVisibility
— Root
オブジェクト ハンドルの可視性
'on'
(既定値) | 'callback'
| 'off'
このプロパティは使用されません。Root
オブジェクトのハンドルは関数 groot
を使用して常に表示されます。
ShowHiddenHandles
— 非表示のハンドルの表示
'off'
(既定値) | on/off logical 値
非表示のハンドルの表示。'on'
または 'off'
、もしくは数値または logical 1
(true
) または 0
(false
) として指定します。'on'
の値は true
と等価であり、'off'
は false
と等価です。したがって、このプロパティの値を logical 値として使用できます。値は matlab.lang.OnOffSwitchState
型の on/off logical 値として格納されます。
'on'
—HandleVisibility
プロパティの設定にかかわらず、すべてのオブジェクト ハンドルを表示します。'off'
— 非表示のオブジェクト ハンドルを表示しません。ハンドルが表示されるかどうかはオブジェクトのHandleVisibility
プロパティで決まります。
バージョン履歴
R2006a より前に導入
MATLAB コマンド
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