comm.MemorylessNonlinearity
複素ベースバンド信号への無記憶非線形性の適用
説明
comm.MemorylessNonlinearity
System object™ は無記憶非線形劣化をベースバンド信号に適用します。この System object を使用して、無線周波数 (RF) 送信機または無線周波数受信機の信号増幅によって発生する無記憶非線形劣化をモデル化します。詳細については、無記憶非線形劣化を参照してください。
無記憶非線形劣化を複素ベースバンド信号に適用するには、次のようにします。
comm.MemorylessNonlinearity
オブジェクトを作成し、そのプロパティを設定します。関数と同様に、引数を指定してオブジェクトを呼び出します。
System object の機能の詳細については、System object とはを参照してください。
作成
説明
は、RF 非線形劣化をモデル化する無記憶非線形性 System object を作成します。mnl
= comm.MemorylessNonlinearity
は、名前と値のペアの引数を 1 つ以上使用してプロパティを指定します。各プロパティ名を引用符で囲みます。たとえば、mnl
= comm.MemorylessNonlinearity(Name
=Value
)'Method','Saleh model'
は、モデル化メソッドを Saleh メソッドに設定します。
プロパティ
特に指定がない限り、プロパティは "調整不可能" です。つまり、オブジェクトの呼び出し後に値を変更することはできません。オブジェクトは呼び出すとロックされ、ロックを解除するには関数 release
を使用します。
プロパティが "調整可能" の場合、その値をいつでも変更できます。
プロパティ値の変更の詳細については、System object を使用した MATLAB でのシステム設計を参照してください。
非線形性のモデリング手法。'Cubic polynomial'
、'Hyperbolic tangent'
、'Saleh model'
、'Ghorbani model'
、'Modified Rapp model'
、または 'Lookup table'
として指定します。詳細については、無記憶非線形劣化を参照してください。
データ型: char
| string
デシベル単位の入力信号のスケーリング係数。スカラーとして指定します。このプロパティは入力信号の電力ゲインをスケーリングします。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Saleh model'
または 'Ghorbani model'
に設定します。
データ型: double
デシベル単位の線形ゲイン。スカラーとして指定します。このプロパティは出力信号の電力ゲインをスケーリングします。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
、'Hyperbolic tangent'
、または 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
3 次多項式の 3 次非線形性の指定。'IIP3'
、'OIP3'
、'IP1dB'
、'OP1dB'
、'IPsat'
、または 'OPsat'
として指定します。詳細については、3 次多項式の 3 次係数を参照してください。
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に設定します。
データ型: char
| string
dBm 単位の 3 次入力インターセプト ポイント。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
または 'Hyperbolic tangent'
に設定します。
データ型: double
dBm 単位の 3 次出力インターセプト ポイント。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に、TOISpecification
プロパティを 'OIP3'
に設定します。
データ型: double
dBm 単位の 1 dB の入力圧縮点。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に、TOISpecification
プロパティを 'IP1dB'
に設定します。
データ型: double
dBm 単位の 1 dB の出力圧縮点。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に、TOISpecification
プロパティを 'OP1dB'
に設定します。
データ型: double
dBm 単位の入力の飽和点。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に、TOISpecification
プロパティを 'IPsat'
に設定します。
データ型: double
dBm 単位の出力の飽和点。スカラーとして指定します。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
に、TOISpecification
プロパティを 'OPsat'
に設定します。
データ型: double
デシベルあたりの線形 AM/PM 変換係数 (度単位)。スカラーとして指定します。詳細については、3 次多項式と双曲線正接モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
または 'Hyperbolic tangent'
に設定します。
データ型: double
入力信号の振幅ゲインの計算に使用される AM/AM パラメーター。行ベクトルとして指定します。
Method
プロパティが'Saleh model'
に設定されている場合、このプロパティは、アルファ値およびベータ値を指定する 2 要素ベクトルでなければなりません。この場合、既定値は[2.1587 1.1517]
です。Method
プロパティが'Ghorbani model'
に設定されている場合、このプロパティは、x1、x2、x3、および x4 の値を指定する 4 要素ベクトルでなければなりません。この場合、既定値は[8.1081 1.5413 6.5202 -0.0718]
です。
詳細については、Saleh モデル メソッドとGhorbani モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Saleh model'
または 'Ghorbani model'
に設定します。
データ型: double
入力信号の位相の変更の計算に使用される AM/PM パラメーター。行ベクトルとして指定します。
Method
プロパティが'Saleh model'
に設定されている場合、このプロパティは、アルファ値およびベータ値を指定する 2 要素ベクトルでなければなりません。この場合、既定値は[4.0033 9.1040]
です。Method
プロパティが'Ghorbani model'
に設定されている場合、このプロパティは、y1、y2、y3、および y4 の値を指定する 4 要素ベクトルでなければなりません。この場合、既定値は[4.6645 2.0965 10.88 -0.003]
です。
詳細については、Saleh モデル メソッドとGhorbani モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Saleh model'
または 'Ghorbani model'
に設定します。
データ型: double
入力パワーの下限 (dBm 単位)。PowerUpperLimit
プロパティの値より小さいスカラーとして指定します。AM/PM 変換は、範囲 [PowerLowerLimit
, PowerUpperLimit
] における入力パワー値について線形にスケーリングします。入力信号強度が入力パワーの下限を下回る場合、AM/PM 変換の結果による位相シフトはゼロになります。詳細については、3 次多項式と双曲線正接モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
または 'Hyperbolic tangent'
に設定します。
データ型: double
入力パワーの上限 (dBm 単位)。PowerLowerLimit
より大きいスカラーとして指定します。AM/PM 変換は、範囲 [PowerLowerLimit
, PowerUpperLimit
] における入力パワー値について線形にスケーリングします。入力信号強度が入力パワーの上限を上回る場合、AM/PM 変換の結果による位相シフトは一定になります。詳細については、3 次多項式と双曲線正接モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Cubic polynomial'
または 'Hyperbolic tangent'
に設定します。
データ型: double
デシベル単位の出力信号のスケーリング係数。スカラーとして指定します。このプロパティは出力信号の電力ゲインをスケーリングします。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Saleh model'
または 'Ghorbani model'
に設定します。
データ型: double
振幅の平滑度係数。スカラーとして指定します。詳細については、Modified Rapp モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
ラジアン単位の Modified Rapp モデルの位相ゲイン。スカラーとして指定します。値 -0.45
が標準値です。詳細については、Modified Rapp モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
ラジアン単位の Modified Rapp モデルの位相の飽和。正のスカラーとして指定します。詳細については、Modified Rapp モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
ラジアン単位の Modified Rapp モデルの位相の平滑度。正のスカラーまたは正の 2 要素ベクトルとして指定します。詳細については、Modified Rapp モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
出力の飽和レベル。スカラーとして指定します。詳細については、Modified Rapp モデル メソッドを参照してください。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Modified Rapp model'
に設定します。
データ型: double
増幅器特性ルックアップ テーブル。測定されたパワー アンプ (PA) 特性の N 行 3 列の行列として指定します。各行は [Pin, Pout, ΔΦ] の形式です。Pin は入力信号 (dBm 単位) を指定し、Pout は出力信号 (dBm 単位) を指定し、ΔΦ は出力位相シフトを角度で指定します。既定値は [-25, 5.16, -0.25; -20, 10.11, -0.47; -15, 15.11, -0.68; -10, 20.05, -0.89; -5, 24.79, -1.22; 0, 27.64, 5.59; 5, 28.49, 12.03]
です。
このプロパティで定義された測定 PA 特性は、AM/AM (dBm/dBm 単位) および AM/PM (deg/dBm 単位) の非線形劣化特性の計算に使用されます。
調整可能: Yes
依存関係
このプロパティを有効にするには、Method
プロパティを 'Lookup table'
に設定します。
データ型: double
オーム単位の基準インピーダンス。正のスカラーとして指定します。この値は、電圧の値を電力の値に変換するために使用されます。
調整可能: Yes
データ型: double
使用法
入力引数
入力 RF ベースバンド信号。スカラー、列ベクトルまたは行列として指定します。
このオブジェクトは可変サイズの入力を受け入れます。オブジェクトがロックされると、各入力チャネルのサイズは変更できますが、チャネルの数は変更できません。詳細については、Variable-Size Signal Support with System Objectsを参照してください。
データ型: double
出力引数
出力 RF ベースバンド信号。スカラー、列ベクトルまたは行列として返されます。出力のデータ型は入力のデータ型と同じです。
オブジェクト関数
オブジェクト関数を使用するには、System object を最初の入力引数として指定します。たとえば、obj
という名前の System object のシステム リソースを解放するには、次の構文を使用します。
release(obj)
例
3 次多項式の非線形性を 2 つの 16-QAM 信号に適用します。1 番目の信号パワー レベルは、増幅器パワー特性曲線の線形領域です。2 番目の信号パワー レベルは、増幅器パワー特性曲線の非線形領域です。増幅した 16-QAM 信号の増幅器パワー特性曲線とコンスタレーション ダイアグラムをプロットします。
シミュレーションの初期化
シミューションの変数を初期化し、無記憶非線形性増幅器劣化とコンスタレーション ダイアグラムの System object を作成します。コンスタレーションがパワー圧縮のみを表示するように (位相回転を表示しないように) するため、AM-PM 歪みを 0 に設定して無記憶非線形性増幅器劣化を構成します。
M = 16; % Modulation order sps = 4; % Samples per symbol pindBm = [12 25]; % Input power gain = 10; % Amplifier gain amplifier = comm.MemorylessNonlinearity(Method="Cubic polynomial", ... LinearGain=gain,AMPMConversion=0,ReferenceImpedance=50); refConst = qammod(0:M-1,M); axisLimits = [-gain gain]; constdiag = comm.ConstellationDiagram(NumInputPorts=2, ... ChannelNames=["Linear" "Nonlinear"],ShowLegend=true, ... ReferenceConstellation=refConst, ... XLimits=axisLimits,YLimits=axisLimits);
信号の増幅とプロット
ランダム データの入力信号に 16-QAM を適用します。信号を増幅し、comm.MemorylessNonlinearity
System object の関数 plot
を使用して、出力パワーと位相応答曲線を表示します。1 番目の信号パワー レベルは 12 dBm であり、増幅器パワー特性曲線の線形領域です。2 番目の信号パワー レベルは 25 dBm であり、増幅器パワー特性曲線の非線形領域です。
pin = 10.^((pindBm-30)/10); % Convert dBm to linear Watts
data = randi([0 M-1],1000,1);
modOut = qammod(data,M,UnitAveragePower=true)*sqrt(pin*amplifier.ReferenceImpedance);
ampOut = amplifier(modOut);
plot(amplifier);
2 つの増幅信号に AWGN を追加し、信号のコンスタレーション ダイアグラムを表示します。
snr = 25; noisyLinOut = awgn(ampOut(:,1),snr,"measured"); noisyNonLinOut = awgn(ampOut(:,2),snr,"measured"); constdiag(noisyLinOut,noisyNonLinOut);
平均パワーが 10 mW、基準インピーダンスが 1 オームの 16-QAM データを生成します。そのデータを非線形パワー アンプ (PA) を経由して渡します。
M = 16; data = randi([0 (M - 1)]',1000,1); avgPow = 1e-2; minD = avgPow2MinD(avgPow,M);
Saleh モデル メソッドを指定して無記憶非線形性 System object を作成します。
saleh = comm.MemorylessNonlinearity(Method='Saleh model');
変調されたシンボルを生成し、PA 非線形性モデルを通して渡します。
modData = (minD/2).*qammod(data,M); y = saleh(modData);
結果の散布図を生成します。
scatterplot(y)
入力信号の平均パワーの正規化。
function minD = avgPow2MinD(avgPow,M) % Average power to minimum distance nBits = log2(M); if (mod(nBits,2)==0) % Square QAM sf = (M - 1)/6; else % Cross QAM if (nBits>4) sf = ((31*M/32) - 1)/6; else sf = ((5*M/4) - 1)/6; end end minD = sqrt(avgPow/sf); end
16-QAM 信号に対する非線形増幅器のゲイン圧縮をプロットします。
変調次数とシンボルあたりのサンプル数のパラメーターを指定します。
M = 16; sps = 4;
30 dB の 3 次インターセプト ポイントをもつ無記憶非線形性 System object を作成して、非線形アンプをモデル化します。レイズド コサイン送信フィルター System object を作成します。
amplifier = comm.MemorylessNonlinearity(IIP3=30); txfilter = comm.RaisedCosineTransmitFilter( ... RolloffFactor=0.3,FilterSpanInSymbols=6, ... OutputSamplesPerSymbol=sps,Gain=sqrt(sps));
入力パワーを dBm 単位で指定し、1 オームの基準インピーダンスを指定します。入力パワーを W に変換し、ゲイン ベクトルを初期化します。
pindBm = -5:25; pin = 10.^((pindBm-30)/10); gain = zeros(length(pindBm),1);
主処理ループを実行します。このループには次のステップが含まれています。
ランダム データ シンボルを生成します。
データ シンボルを変調して信号の平均パワーを調整します。
変調した信号をフィルター処理します。
信号を増幅します。
ゲインを測定します。
for k = 1:length(pin) data = randi([0 (M - 1)],1000,1); modSig = qammod(data,M,UnitAveragePower=true)*sqrt(pin(k)); filtSig = txfilter(modSig); ampSig = amplifier(filtSig); gain(k) = 10*log10(mean(abs(ampSig).^2) / mean(abs(filtSig).^2)); end
増幅器のゲインを入力信号強度の関数としてプロットします。18.5 dBm の入力パワーに対して 1 dB のゲイン圧縮点が発生します。1 dB の圧縮が観察される点を増加させるには、3 次インターセプト ポイント amplifier.IIP3
を増加させます。
arrayplot = dsp.ArrayPlot(PlotType='Line',XLabel='Power In (dBm)', ... XOffset=-5,YLimits=[-5 5]); arrayplot(gain)
50 インピーダンスの非線形パワー アンプ (PA) の特性を 16-QAM 信号に適用します。Method
プロパティを 'Lookup table'
に設定して、PA の特性を読み込みます。補助関数 pa_performance_characteristics
により、増幅器のパフォーマンス特性ルックアップ テーブルが出力されます。
変調次数、シンボルあたりのサンプル数、入力パワーのパラメーターを定義します。ランダム データを作成します。
M = 16; % Modulation order sps = 4; % Samples per symbol pindBm = -8; % Input power pin = 10.^((pindBm-30)/10); % power in Watts data = randi([0 (M - 1)],1000,1); refdata = 0:M-1; refconst = qammod(refdata,M,UnitAveragePower=true); paChar = pa_performance_characteristics();
無記憶非線形性 System object、送信フィルター System object、およびコンスタレーション ダイアグラム System object を作成します。無記憶非線形性 System object には既定のルックアップ テーブル値が使用されます。
amplifier = comm.MemorylessNonlinearity(Method='Lookup table',Table=paChar,ReferenceImpedance=50); txfilter = comm.RaisedCosineTransmitFilter(RolloffFactor=0.3, ... FilterSpanInSymbols=6,OutputSamplesPerSymbol=sps,Gain=sqrt(sps)); constellation = comm.ConstellationDiagram(SamplesPerSymbol=4, ... Title='Amplified/Distorted Signal',NumInputPorts=2, ... ReferenceConstellation=refconst,ShowLegend=true, ... ChannelNames={'Filtered signal','Amplified signal'});
ランダム データを変調します。非線形増幅器の特性をフィルター処理して変調シンボルに適用します。
modSig = qammod(data,M,UnitAveragePower=true)*sqrt(pin * amplifier.ReferenceImpedance); filtSig = txfilter(modSig); ampSig = amplifier(filtSig);
入出力信号レベルと位相シフトを計算します。
pSig = abs(ampSig).^2 / amplifier.ReferenceImpedance; poutdBm = 10 * log10(pSig) + 30; pfiltSig = abs(filtSig).^2 / amplifier.ReferenceImpedance; simulated_pindBm = 10 * log10(pfiltSig) + 30; phase = rad2deg(angle(ampSig.*conj(filtSig)));
AM/AM 特性、AM/PM 特性、およびコンスタレーション結果をプロットします。
figure set(gcf,'units','normalized','position',[.25 1/3 .5 1/3]) subplot(1,2,1) plot(simulated_pindBm,poutdBm,'.'); hold on plot(amplifier.Table(:,1),amplifier.Table(:,2),'.',Markersize=15); xlabel('Input Power (dBm)') ylabel('Output Power (dBm)'); grid on; title('AM/AM Characteristics'); leglabel = {'Simulated results','Measurement'}; legend (leglabel,Location='south'); subplot(1,2,2) plot(simulated_pindBm,phase,'.'); hold on plot(amplifier.Table(:,1),amplifier.Table(:,3),'.',Markersize=15); legend (leglabel,Location='south'); xlabel('Input Power (dBm)'); ylabel('Output Phase Shift (degrees)'); grid on; title('AM/PM Characteristics');
コンスタレーションの比較のために、増幅された信号とフィルター処理された信号を正規化します。フィルター処理された信号と増幅された信号のコンスタレーション ダイアグラムを生成します。非線形増幅器の特性により、フィルター処理されたコンスタレーションと比較して、増幅された信号コンスタレーションの圧縮が引き起こされています。
filtSig = filtSig/mean(abs(filtSig)); % Normalized filtered signal ampSig = ampSig/mean(abs(ampSig)); % Normalized amplified signal constellation(filtSig,ampSig)
補助関数
function paChar = pa_performance_characteristics()
LDMOS ベースのドハティ増幅器の動作仕様は以下のとおりです。
2110 MHz の周波数
300 W のピーク パワー
61 dB の小信号増幅率
HAV08_Table
の各行は、Pin (dBm)、ゲイン (dB)、位相シフト (度) を指定します。これらは次の図 4 から得ています。Hammi, Oualid, et al."Power amplifiers' model assessment and memory effects intensity quantification using memoryless post-compensation technique."IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques 56.12 (2008):3170-3179.
HAV08_Table =...
[-35,60.53,0.01;
-34,60.53,0.01;
-33,60.53,0.08;
-32,60.54,0.08;
-31,60.55,0.1;
-30,60.56,0.08;
-29,60.57,0.14;
-28,60.59,0.19;
-27,60.6,0.23;
-26,60.64,0.21;
-25,60.69,0.28;
-24,60.76,0.21;
-23,60.85,0.12;
-22,60.97,0.08;
-21,61.12,-0.13;
-20,61.31,-0.44;
-19,61.52,-0.94;
-18,61.76,-1.59;
-17,62.01,-2.73;
-16,62.25,-4.31;
-15,62.47,-6.85;
-14,62.56,-9.82;
-13,62.47,-12.29;
-12,62.31,-13.82;
-11,62.2,-15.03;
-10,62.15,-16.27;
-9,62,-18.05;
-8,61.53,-20.21;
-7,60.93,-23.38;
-6,60.2,-26.64;
-5,59.38,-28.75];
無記憶非線形性 System object で使用するために、HAV08_Table の 2 列目をゲインから Pout に変換します。
paChar = HAV08_Table;
paChar(:,2) = paChar(:,1) + paChar(:,2);
end
詳細
無記憶非線形劣化は入力信号の振幅と位相を歪めます。振幅の歪みは、振幅対振幅の変調 (AM/AM) であり、位相の歪みは振幅対位相の変調 (AM/PM) です。次のモデル メソッドは、無記憶非線形劣化モデルのシミュレーションに使用できます。
モデル メソッド | 無記憶非線形劣化 |
---|---|
3 次多項式 | AM/AM と AM/PM を適用 |
双曲線正接 | |
Saleh モデル | |
Ghorbani モデル | |
Modified Rapp モデル | |
ルックアップ テーブル |
|
モデル化された劣化要因は、指定したモデル メソッドに従って、AM/AM と AM/PM の歪みに異なる方法で適用されます。モデルは次のステップを実行して無記憶非線形劣化を入力信号に適用します。
信号を入力ゲイン ファクターで乗算します。
メモ
入力スケーリング ゲインを入力信号の振幅の逆数に設定して、信号を 1 に正規化できます。
複素信号を振幅と角度のコンポーネントに分解します。実数値入力信号の場合、虚数部は 0 に設定されます。
選択されたモデル メソッドに応じて AM/AM 歪みを信号の振幅に適用し、出力信号の振幅を生成します。
選択されたモデル メソッドに応じて AM/PM 歪みを信号の位相に適用し、出力信号の角度を生成します。
新しい振幅と角度のコンポーネントを 1 つの複素信号に結合します。次に、その結果を出力ゲイン ファクターで乗算します。
モデル メソッドは、次の図に示すとおり、AM/AM と AM/PM 劣化要因を適用します。
ルックアップ テーブル メソッドは、測定された PA 特性の N 行 3 列の行列として指定される、パワー アンプ (PA) 特性ルックアップ テーブルを使用します。各行は [Pin, Pout, ΔΦ] の形式です。Pin は PA の入力信号 (dBm 単位) を指定し、Pout は PA の出力信号 (dBm 単位) を指定し、ΔΦ は出力位相シフトを角度で指定します。Table
プロパティで定義された測定 PA 特性は、AM/AM (dBm/dBm 単位) および AM/PM (deg/dBm 単位) の非線形劣化特性の計算に使用されます。この System object は、計算された AM/AM 値 (dBm/dBm 単位) および AM/PM 値 (deg/dBm 単位) で入力信号に歪みを発生させます。
メモ
Table
プロパティの最初の行で指定された値より低い Pin 値に対して適切な Pout 値と ΔΦ 値を決定するために、System object は最初の行と同じ電力ゲインと ΔΦ を適用して、線形性と位相の連続性を維持します。Table
プロパティの最後の行の値よりも高い Pin に対しては、System object は Table
の最後の 2 つの [Pin、Pout、ΔΦ] 行からの線形外挿を使用します。
次の図は、3 次多項式と双曲線正接モデル メソッドの AM/PM 変換動作を示しています。
AM/PM 変換は、入力パワー値を、入力パワー レベルの下限と上限の間で線形にスケーリングします。この範囲外では、AM/PM 変換は入力パワーの下限と上限に応じた定数値となり、それぞれ 0 と (AM/PM conversion) × (upper input power limit – lower input power limit) です。
3 次多項式モデル メソッドは、線形パワー ゲインを使用して 3 次多項式の線形係数を特定します。次に、3 次多項式モデル メソッドは、3 次インターセプト ポイント (IP3)、1 dB の圧縮点 (P1dB)、飽和パワー (Psat) のいずれかを使用して、多項式の 3 次係数を特定します。
この図は、Method
のプロパティが 'Cubic polynomial'
に設定されている場合に生成されるプロットの例を示します。
3 次非線形性の一般的な形式は AM/AM 特性を次のようにモデル化します。
ここで FAM/AM(|u|)
は出力信号の振幅、|u| は入力信号の振幅、c1 は線形ゲイン項の係数、c3 は 3 次ゲイン項の係数です。IIP3、OIP3、IP1dB、OP1dB、IPsat、OPsat の結果は[6]から取得されます。係数 c3 の値を以下の表に示します。
非線形性タイプ | 説明 | 方程式 |
---|---|---|
IIP3 | 線形ゲインからのパワーが 3 次非線形性からのパワーと等しい入力パワー レベル | ここで、IIP3 は dBm 単位で指定されます。 |
OIP3 | 線形ゲインからのパワーが 3 次非線形性からのパワーと等しい出力パワー レベル | ここで、OIP3 は dBm 単位で指定されます。 |
IP1dB | 出力パワーが線形ゲインからのパワーよりも 1 db 小さい入力パワー レベル | ここで、IP1dB は dBm 単位で指定されます。 |
OP1dB | 線形ゲインからのパワーよりも 1 db 小さい出力パワー レベル | ここで OP1dB は dBm 単位で指定され、LGdB は dB 単位の線形ゲインです。 |
IPsat | 出力パワーが飽和する入力パワー | ここで、IPsat は dBm 単位で指定されます。 |
OPsat | 出力飽和パワー | ここで、OPsat は dBm 単位で指定されます。 |
この図は、Saleh モデル メソッドに対する AM/AM 動作 (AM/AM 歪みの入力電圧に対する出力電圧) と AM/PM 動作 (AM/PM 歪みの入力電圧に対する出力位相) を示しています。
AM/AM パラメーター (αAMAM および βAMAM) は、以下を使用した入力信号の振幅の歪みを計算するのに使用されます。
ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。
AM/PM パラメーター (αAMPM と βAMPM) は、以下を使用した入力信号の位相の歪みを計算するのに使用されます。
ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。AM/AM と AM/PM に対する α と β パラメーターは同じ名前ですが、異なります。
Ghorbani モデル メソッドはこの節で説明するように AM/AM と AM/PM 歪みに適用されます。
AM/AM パラメーター (x1、x2、x3、x4) は以下を使用して入力信号の振幅の歪みを計算するのに使用されます。
ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。
AM/PM パラメーター (y1、y2、y3、y4) は以下を使用して入力信号の位相の歪みを計算するのに使用されます。
ここで u は、スケーリングされた信号の振幅です。
Modified Rapp モデル メソッドはこの節で説明するように AM/AM と AM/PM 歪みに適用されます。
入力信号の振幅と位相の歪みは次で求められます。
ここで、
glin は 10(
LinearGain
/20)) であり、増幅器の振幅ゲインです。u は信号の振幅です。
S は平滑度係数です。
Smoothness
プロパティで指定されます。Osat は出力の飽和レベルです
OutputSaturationLevel
プロパティで指定されます。A はラジアン単位の位相ゲインです。
PhaseGainRadian
プロパティで指定されます。B は位相の飽和です。
PhaseSaturation
プロパティで指定されます。q は位相の平滑度です。
PhaseSmoothness
プロパティで指定されます。PhaseSmoothness プロパティが正のスカラー値の場合、
q1
=q2
=q
=PhaseSmoothness
となります。PhaseSmoothness プロパティが正の 2 要素ベクトル値の場合、
q1
=PhaseSmoothness
(1)、q2
=PhaseSmoothness
(2) となります。
参照
[1] Saleh, A.A.M. “Frequency-Independent and Frequency-Dependent Nonlinear Models of TWT Amplifiers.” IEEE® Transactions on Communications 29, no. 11 (November 1981): 1715–20. https://doi.org/10.1109/TCOM.1981.1094911.
[2] Ghorbani, A., and M. Sheikhan. "The Effect of Solid State Power Amplifiers (SSPAs) Nonlinearities on MPSK and M-QAM Signal Transmission." In 1991 Sixth International Conference on Digital Processing of Signals in Communications (1991): 193–97.
[3] Rapp, Ch. "Effects of HPA-Nonlinearity on a 4-DPSK/OFDM-Signal for a Digital Sound Broadcasting System." In Proceedings Second European Conf. on Sat. Comm. (ESA SP-332), 179–84. Liege, Belgium, 1991. https://elib.dlr.de/33776/.
[4] Choi, C., et.al. "RF impairment models for 60 GHz-band SYS/PHY simulation." IEEE 802.15-06-0477-01-003c. November 2006.
[5] Perahia, E. "TGad Evaluation Methodology." IEEE 802.11-09/0296r16. January 20, 2010. https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/09/11-09-0296-16-00ad-evaluation-methodology.doc.
[6] Kundert, Ken. "Accurate and Rapid Measurement of IP2 and IP3." The Designer Guide Community. May 22, 2002.
拡張機能
使用上の注意および制限:
MATLAB コード生成における System object (MATLAB Coder)を参照してください。
バージョン履歴
R2012a で導入System object は、次の式で表されるように、Modified Rapp モデル メソッドに対して独立した q1 と q2 の値をもつ 2 要素位相平滑度係数を許可するようになりました。
MATLAB Command
You clicked a link that corresponds to this MATLAB command:
Run the command by entering it in the MATLAB Command Window. Web browsers do not support MATLAB commands.
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