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comm.IQImbalanceCompensator
I/Q 不均衡の補正
説明
IQImbalanceCompensator
System object™ は、変調信号の同相成分と直交成分の間の不均衡を補正します。
I/Q 不均衡を補正するには、次の手順に従います。
IQImbalanceCompensator
オブジェクトを定義して設定します。構築を参照してください。step
を呼び出して、comm.IQImbalanceCompensator
のプロパティに従って I/Q 不均衡を補正します。step
の動作は、ツールボックスの各オブジェクト固有のものです。
I/Q 不均衡補償器に固有の適応アルゴリズムは、M-PSK、M-QAM および OFDM 変調方式 (M>2) と互換です。
メモ
補償器の出力はスケーリングおよび回転されている場合があります。つまり、基準コンスタレーションに対して複素数を乗算しています。実際には、受信側がチャネル推定によって復調前に修正するため、問題ではありません。
メモ
R2016b 以降では、step
メソッドを使用して、System object によって定義された演算を実行する代わりに、引数を関数であるかのように使ってオブジェクトを呼び出すことができます。たとえば、y = step(obj,x)
と y = obj(x)
は同等の演算を実行します。
構築
H = comm.IQImbalanceCompensator
は、補償器 System object、H
、を作成します。この補償器は入力信号の同相成分と直交成分の間の不均衡を補正します。
H = comm.IQImbalanceCompensator(
は、指定された各プロパティ Name
,Value
)Name
を指定された Value
に設定して、I/Q 不均衡補償器オブジェクト H
を作成します。(Name1
,Value1
,...,NameN
,ValueN
) のように、追加の名前と値のペアの引数を任意の順番で指定できます。
プロパティ
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補償器係数のソース
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I/Q 不均衡の補正に使用される初期係数 初期係数は、単精度または倍精度の複素スカラーです。既定値は |
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係数適応のステップ サイズのソース
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適応ステップ サイズ I/Q 不均衡を推定するアルゴリズムによって使用されるステップ サイズを指定します。このプロパティは、 |
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補償器係数の適応を制御する入力端子を作成 この論理プロパティが |
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補償器係数の出力端子を作成 この論理プロパティが |
例
アルゴリズム
直接変換の受信機に影響する主な障害の 1 つは、受信信号の同相成分と直交成分との間の不均衡です。フロントエンドのアナログ ハードウェアを改良するより、特定レベルの I/Q 不均衡を許容した上で補正手法を実装する方が高い費用対効果が得られます。I/Q 不均衡補償器の基礎として、循環性ベースのブラインド補償アルゴリズムが使用されます。
一般化した I/Q 不均衡のモデルを示します。ここで、g は振幅の不均衡、ϕ は位相の不均衡です (理想的には、g = 1 かつ ϕ = 0)。この図で、H(f) は、ローパス フィルターなどによるブランチの公称周波数応答です。HI(f) と HQ(f) は、公称応答とは異なる部分の同相および直交の振幅と位相の応答です。完全に一致する場合、HI(f) = HQ(f) = 1 です。
z(t) を、受信信号 r(t) の理想的なベースバンド等価信号とし、そのフーリエ変換を Z(f) で表します。所定の一般化 I/Q 不均衡モデルに対して、不均衡信号 x(t) = xI(t) + xQ(t) のフーリエ変換は次のようになります。
ここで、G1(f) と G2(f) は I/Q 不均衡の直接成分と共役成分です。これらの成分は次のように定義されます。
逆フーリエ変換を X(f) に適用すると、信号モデルは x(t) = g1(t) * z(t) + g2(t) * z*(t) となります。
これは、変数を表現するのに離散時間表記が使用される、次のような補償器の構造を示しています。補正された信号は y(n) = x(n) + wx*(n) と表現されます。
次の形式のシンプルなアルゴリズム
が重みの決定に使用されますが、これが、出力が "適正"、すなわち [1] であることを保証するからです。w の初期値は InitialCoefficient
プロパティで決定され、既定値は 0 + 0i
です。M は StepSize
プロパティで指定されるステップ サイズです。
参考文献
[1] Anttila, L., M. Valkama, and M. Renfors. “Blind compensation of frequency-selective I/Q imbalances in quadrature radio receivers: Circularity-based approach”, Proc. IEEE ICASSP, pp.III-245–248, 2007.
[2] Kiayani, A., L. Anttila, Y. Zou, and M. Valkama, “Advanced Receiver Design for Mitigating Multiple RF Impairments in OFDM Systems: Algorithms and RF Measurements”, Journal of Electrical and Computer Engineering, Vol. 2012.
拡張機能
バージョン履歴
R2014b で導入