工程能力とは
工程能力とは、プロセスが指定された範囲や目標要求を一貫してどの程度満たすことができるかを示す指標です。工程能力分析は、工程能力評価としても知られ、プロセスが指定された範囲または目標要求をどの程度満たして生産できるかを判断するために統計的手法が用いられます。プロセスの自然変動と指定範囲を比較することでプロセスのパフォーマンスを評価し、プロセスやシステムの能力を評価する際に役立つ重要な指数を生成します。
工程能力分析は、プロセスに規定の許容誤差内で製品を一貫して生産する能力があるかどうかを判断する際に役立ち、品質管理、プロセスの最適化、継続的な改善には欠かせません。
工程能力が重要な理由
工程能力分析は、次の点でさまざまな業界で欠かせないものとなっています。
- プロセスの安定性評価: プロセスの変動を定量化して、Cp や Cpk などの指数で管理し、プロセスが確実に指定された範囲内で安定するようにします。
- 欠陥の最小化: ばらつきの主な原因を特定して欠陥の発生を抑え、費用対効果に優れた質の高い生産が行えるよう最適化します。
- パフォーマンスの最適化: 能力データを活用して、スループットと効率を高められるようプロセスを調整することで、最小限の介入で確実に一貫した結果を得られるようにします。
工程能力分析の応用
工程能力分析の応用例には、以下のようなものがあります。
- 製造: 能力指数を計算して生産ラインの品質を監視することで、製造された部品を確実に許容誤差レベルに適合させる
- エレクトロニクス、半導体:ウエハー製造の評価、部品配置の最適化、回路基板や IC チップの製造における欠陥の最小化
- 航空宇宙、自動車: 機械加工のばらつきを抑えることで、確実にタービンブレードやブレーキ部品などの重要な構成部品を厳格な性能・安全要件に適合させる
MATLAB を使用した工程能力分析の実行
MATLAB® を使用して、工程能力指数の計算、能力プロットの作成、正規性の検定、カスタムアプリの作成、ワークフローの自動化を実行することができます。
工程能力指数
組み込みの capability
関数を使用して Cp や Cpk などの能力指数を計算し、プロセスのパフォーマンスを評価できます。
capability_indices = capability(data, specLimits)
次のように定義されます。
- data は、プロセスまたはシステムの測定データを 1 行 N 列のベクトル形式で表します。N はデータ点の数です。
specLimits
は 2 行 1 列のベクトルです。範囲の上限と下限を指定します。capability_indices
には、Cp や Cpk などの能力指数が構造体の形式で含まれます。
能力のプロット
プロセスのパフォーマンスは、対話形式のヒストグラム、管理図、および箱ひげ図で可視化できます。
正規性検定
プロセスデータが正規分布に従っているかどうかを、1 標本 t 検定 (ttest
) またはアンダーソン・ダーリング検定 (adtest
) などの仮説検定を使用して確認できます。非正規データの場合は、能力分析を実施する前に Weibull、lognormal、gamma などの代替分布を当てはめるか、複素変換またはノンパラメトリック手法を適用します。
カスタムアプリと自動化
解析からレポート生成に至るまでのワークフローは、App Designer でカスタムアプリを作成するか、または MATLAB スクリプトで解析を自動化することで、効率的に合理化してカスタマイズできます。このアプローチにより、統計解析の実行、レポートの生成、データの可視化の作成などをさらに効率化できます。