gagerr
ゲージの繰り返し性と再現性の分析
構文
説明
gagerr(___, では、前の構文におけるいずれかの入力引数の組み合わせに加えて、1 つ以上の名前と値の引数を使用してオプションを指定します。たとえば、結果の棒グラフを表示するかどうかを指定したり、精度-許容誤差の比 (PTR) の計算の仕様限界を設定したりできます。Name=Value)
は、分析結果を results = gagerr(___)results で返します。tbl または OutputFormat="table" を指定した場合、results は table になります。それ以外の場合、results は行列になります。
例
3 つの部品の 100 個の測定値 y を無作為に生成して測定データ セットをシミュレートします。各測定値は 4 人のうちの無作為に割り当てられた 1 人の作業者によって収集されます。
rng(1234,"twister"); % For reproducibility n = 100; y = randn(n,1); part = randi([1,3],1,n); operator = randi([1,4],1,n);
このデータ セットに対して、交互作用のない混合 ANOVA モデルを使用してゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析を実行します。
gagerr(y,{part,operator},RandomOperator=false) Source Variance PercentVariance Sigma StudyVariation PercentStudyVariation
_________________ _________ _______________ _______ ______________ _____________________
Gage R&R 0.95348 99.251 0.97646 5.0288 99.625
Repeatability 0.95348 99.251 0.97646 5.0288 99.625
Reproducibility 0 0 0 0 0
Part 0.0071911 0.74854 0.0848 0.43672 8.6518
Total 0.96067 100 0.98014 5.0477
Study Variation: 5.15*Sigma
Number of distinct categories (NDC):0
% of Gage R&R of total variations (PRR): 99.63
Note: The last column of the above table does not have to sum to 100%

分析結果を要約した情報と棒グラフが表示されます。table の各行に、測定データにおける変動性のそれぞれ異なる原因に関する統計が格納されています。このデータ セットでは、変動性の主たる原因は繰り返し性 (同じ部品に関して同じ作業者から得られる測定値の変動) です。この原因が測定値の全分散の 99.25%、および測定値の全標準偏差の 99.63% を占めています。異なるカテゴリ数は 0 であり、測定システムで測定データ内のいずれのグループも区別できないことを示しています。
A、B、C という 3 人の作業者による 5 つの部品についての 100 個の測定値 y を無作為に生成して測定データ セットをシミュレートします。それぞれの部品の測定は 1 人の作業者のみが行います。
rng(1234,"twister"); % For reproducibility n = 100; y = randn(n,1); parts = randi(5,1,n)'; operatorName = ["A","B","C","A","A"]; operators = operatorName(parts)'; tbl = table(y,parts,operators, ... VariableNames=["y","Part","Operator"]);
データ セットの先頭の数行を表示します。
head(tbl)
y Part Operator
________ ____ ________
-0.94725 1 "A"
0.54015 3 "C"
-0.2166 1 "A"
1.189 5 "A"
1.317 2 "B"
-0.40563 1 "A"
-0.44491 3 "C"
1.3284 5 "A"
このデータ セットに対して、Part が Operator 内で入れ子になった混合 ANOVA モデルを使用してゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析を実行します。ANOVA 表を Figure に表示し、SigmaMultiplier=6 を設定してシックスシグマ分析を実行します。
gagerr(tbl,"y","Part","Operator",Model="part-nested", ... DisplayANOVA="on",SigmaMultiplier=6)

Source Variance PercentVariance Sigma StudyVariation PercentStudyVariation
_________________ ________ _______________ _______ ______________ _____________________
Gage R&R 0.96251 96.475 0.98108 5.8865 98.221
Repeatability 0.96251 96.475 0.98108 5.8865 98.221
Reproducibility 0 0 0 0 0
Part 0.035173 3.5255 0.18754 1.1253 18.776
Total 0.99768 100 0.99884 5.993
Study Variation: 6.00*Sigma
Number of distinct categories (NDC):0
% of Gage R&R of total variations (PRR): 98.22
Note: The last column of the above table does not have to sum to 100%

分析結果を要約した情報と棒グラフが表示されます。table の各行に、測定データにおける変動性のそれぞれ異なる原因に関する統計が格納されています。このデータ セットでは、変動性の主たる原因は繰り返し性 (同じ部品に関して同じ作業者から得られる測定値の変動) です。この原因が測定値の全分散の 96.475%、および測定値の全標準偏差の 98.1% を占めています。異なるカテゴリ数は 0 であり、測定システムで測定データ内のいずれのグループも区別できないことを示しています。
入力引数
測定値。数値列ベクトルとして指定します。
データ型: single | double
部品。categorical 配列、文字配列、string 配列、logical 列ベクトル、数値列ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列として指定します。part のサイズは y と同じでなければなりません。part の各要素に、y の対応する測定値に関連付けられた部品の識別子が格納されます。
データ型: categorical | char | string | logical | single | double | cell
作業者。categorical 配列、文字配列、string 配列、logical 列ベクトル、数値列ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列として指定します。operator のサイズは y と同じでなければなりません。operator の各要素に、y の対応する測定値を収集する作業者の識別子が格納されます。
データ型: categorical | char | string | logical | single | double | cell
部品と作業者。n 行 2 列の数値行列として指定します。ここで、n は y の長さです。group の 1 列目と 2 列目に、y の測定値に対応する部品と作業者の数値識別子がそれぞれ格納されます。
データ型: single | double
R2025a 以降
入力データ。table として指定します。tbl には、測定値を格納する変数、部品を格納する変数、および (オプションで) 作業者を格納する変数がなければなりません。
データ型: table
R2025a 以降
部品の変数。文字配列または string 配列として指定します。partvar は、部品を格納する tbl 内の変数の名前でなければなりません。
データ型: char | string
R2025a 以降
作業者の変数。文字配列または string 配列として指定します。opvar は、作業者を格納する tbl 内の変数の名前でなければなりません。opvar を指定しない場合、すべての測定値が単一の作業者によって得られたものと仮定されます。
データ型: char | string
プロットの座標軸。Axes オブジェクトとして指定します。ax を指定しない場合、gagerr は、現在の座標軸を使用してプロットを作成します。Axes オブジェクトを作成する方法の詳細については、axes を参照してください。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
例: results=gagerr(y,group,PrintTable="off") は、コマンド ライン出力を抑制します。
R2025a 以降
分析の分散の乗数。正のスカラーとして指定します。gagerr は、分析の分散や精度-許容誤差の比の計算に SigmaMultiplier を使用します。既定値の 5.15 は、正規分布母集団の中央 99% に収まる標準偏差の数に対応します。
例: SigmaMultiplier=6
データ型: single | double
ANOVA モデルのタイプ。次の表の値のいずれかとして指定します。
| 値 | 説明 |
|---|---|
"linear" (既定の設定) | 主効果のみ |
"interaction" | 主効果および operator と part の間の 2 因子交互作用 |
"nested" | operator が part 内で入れ子になります。このモデルは、作業者が特定の部品に割り当てられていて、作業者がそれらの特定の部品のみを測定する場合に使用します。詳細については、その他の分散分析モデルを参照してください。 |
| part が operator 内で入れ子になります。このモデルは、それぞれの部品を特定の作業者のみが測定する場合に使用します。詳細については、その他の分散分析モデルを参照してください。 |
"linear" または "interaction" を指定すると、gagerr は指定された Model の値を使用して anovan 関数を呼び出します。
"nested" を指定すると、gagerr は model="linear" と nested=[0 0; 1 0] を使用して anovan を呼び出します。
"part-nested" を指定すると、gagerr は model="linear" と nested=[0 1; 0 0] を使用して anovan を呼び出します。
gagerr の呼び出しで part を指定して operator は指定しない場合、"interaction"、"nested"、"part-nested" は指定できません。
例: Model="interaction"
データ型: char | string
下方仕様限界と上方仕様限界。2 要素の数値ベクトルとして指定します。Spec を指定すると、式 を使用して精度-許容誤差の比 (PTR) が計算されます。ここで、k は SigmaMultiplier の値、σGRR はゲージ R&R の標準偏差、S1 と S2 はそれぞれ Spec の 1 番目と 2 番目の要素です。Spec を指定しない場合、PTR は NaN になります。PTR の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。
例: Spec=[0.1 0.9]
データ型: single | double
R2025a 以降
ANOVA 表を表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。DisplayANOVA="on" を指定すると、ANOVA 表が Figure として表示されます。
例: DisplayANOVA="on"
データ型: char | string
結果の出力を表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。結果の出力の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。
例: PrintTable="off"
データ型: char | string
結果の棒グラフを表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。棒グラフの結果の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。
例: PrintGraph="off"
データ型: char | string
出力引数
分析結果。数値行列または table として返されます。results が行列の場合、測定システムにおける変動性の個々の原因に関するメトリクスが行に格納されます。tbl または OutputFormat="table" を指定した場合、results は table になります。results の行 (results が table の場合は行名) を以下に示します。results が table の場合、他のオプションの指定内容によっては一部の行は含まれません。
| 行 | table の行名 | 説明 |
|---|---|---|
Gage R&R | GageRR | 繰り返し性と再現性の原因に起因する測定値の変動の合計 |
Repeatability | Gage_Repeatability | 同じ作業者から収集された同じ部品の測定値の変動 |
Reproducibility | Gage_Reproducibility | 異なる作業者から収集された同じ部品の測定値の変動 |
Operator | Reproducibility_Operator | 同じ作業者から収集された測定値の変動 |
Part*Operator | Reproducibility_PartandOperator | 部品と作業者の 2 因子交互作用に起因する測定値の変動。この変動は Model が "interaction" の場合以外はゼロになります。 |
Part-to-part | Part | 部品のセット間の変動 |
Total | Total | ゲージ R&R と部品対部品の変動性の合計。この行は results が行列の場合は含まれません。 |
results の列または変数を次に示します。変数 Source は results が table の場合は含まれません。
| 列または変数 | 説明 |
|---|---|
Source | 変動性の原因 |
Variance | 分散 |
PercentVariance | 全分散の割合 |
Sigma | 標準偏差 (分散の平方根) |
StudyVariation | 分析の分散 (標準偏差の SigmaMultiplier 倍に相当) |
PercentStudyVariation | 分析の全分散の割合 |
要約統計量。次のフィールドをもつ構造体として返されます。
ndc— 異なるカテゴリ数prr— 全変動のゲージ R&R のパーセンテージptr— 精度-許容誤差の比SigmaMultiplier— 分析の分散の乗数
Spec を指定しない場合、ptr は NaN になります。要約統計量の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。
詳細
ゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析では、1 因子または 2 因子の分散分析 (anovan を参照) を使用して測定システムの精度を評価します。典型的なシステムでは、可能な場合は同じ条件下で、作業者のグループがゲージを使用して一連の品目 (部品) の複数の測定値を取得します。システムの精度が高い場合、個々の部品の測定値が単一の値の周りに狭い範囲で分布します。測定システムにおける変動性の原因はいくつか考えられます。
| 変動性の原因 | 説明 |
|---|---|
| 繰り返し性 | 同じ作業者から収集された同じ部品の測定値の変動 |
| 作業者 | 同じ作業者から収集された測定値の変動 |
| 部品*作業者 | 部品と作業者の交互作用に起因する測定値の変動 |
| 再現性 | "作業者" と "部品*作業者" の合計 |
| ゲージ R&R | 繰り返し性と再現性に起因する測定値の変動の合計 |
| 部品対部品 | 部品のセット間の変動。 |
測定システムの全体の変動性は、ゲージ R&R の変動性と部品対部品の変動性の合計です。
変動性の原因は、それぞれ統計メトリクスで特徴付けることができます。一般的なメトリクスは、分散、標準偏差 (分散の平方根)、全分散の割合、および全標準偏差の割合です。"分析の分散" は、測定システムにおける繰り返し性と再現性に起因するすべての変動性を示す尺度であり、ゲージ R&R の標準偏差に分析の分散の乗数 (SigmaMultiplier) を掛けた値と定義されます。既定の乗数の値 5.15 は、正規分布母集団の中央 99% に収まる標準偏差の数に対応します。
3 つの一般的な要約メトリクスにより、それぞれの部品を測定データに基づいて互いに区別する測定システムの能力が示されます。
"異なるカテゴリ数" (NDC) は、測定データ内でシステムが区別できるグループの数を示す尺度です。NDC は、ゲージ R&R の標準偏差に対する部品対部品の標準偏差の比の 倍と等しくなります。NDC の値が 5 以上であれば、測定システムが機能することを示します。NDC の値が 2 より小さいシステムは機能しません。たとえば、測定システムが NDC=3 の場合、低、中、高などの 3 つのグループに測定値を分けることができます。
"全変動のゲージ R&R のパーセンテージ" (PRR) は、ゲージ R&R の変動性に起因する全標準偏差の割合です。一般に、PRR が 10% 未満のシステムは機能するのに対し、30% を超える PRR の値はシステムが機能しないことを示します。
"精度-許容誤差の比" (PTR) は、測定システムの変動性を指定された許容誤差 (
Spec) と比較したものです。一般に、PTR が 0.1 未満のシステムは機能するのに対し、0.3 を超える PTR の値はシステムが機能しないことを示します。たとえば、部品のセットに対する下方仕様限界と上方仕様限界がそれぞれ 1 と 20 で、ゲージ R&R に起因する測定値の標準偏差が 0.3 の場合、PTR の値は 0.08 になり、システムが機能することを示します。
参照
[1] Burdick, Richard K., Connie M. Borror, and Douglas C. Montgomery. Design and Analysis of Gauge R&R Studies: Making Decisions with Confidence Intervals in Random and Mixed ANOVA Models. ASA-SIAM Series on Statistics and Applied Probability. Philadelphia, Pa. : Alexandria, Va: Society for Industrial Applied Mathematics ; American Statistical Association, 2005.
バージョン履歴
R2006b で導入gagerr に拡張と新しい構文がいくつかあります。
測定値の変数、部品の変数、および (オプションで) 作業者の変数を含む table として入力データを指定できます。
入力データを table として指定するか、名前と値の引数
OutputFormatを"table"として設定すると、出力resultsが行列ではなく table として返されます。名前と値の引数
SigmaMultiplierを指定できます。これは、分析の分散や精度-許容誤差の比の計算にgagerrで使用されます。既定値の5.15は、以前のリリースで使用されていた値で、正規分布母集団の中央 99% に収まる標準偏差の数に対応します。DisplayANOVA="on"を指定すると、ANOVA 表を Figure として表示できます。Model="part-nested"を指定すると、部品が作業者の中に入れ子になった ANOVA モデルを選択できます。
プロットのターゲットの座標軸は、入力引数 ax を使用して指定します。
MATLAB Command
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