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gagerr

ゲージの繰り返し性と再現性の分析

説明

gagerr(y,{part,operator}) は、part について operator によって収集された測定値 y に対してゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析を実行します。

gagerr(y,group) は、1 列目と 2 列目に部品と作業者の数値識別子がそれぞれ格納された行列 group の測定値 y に対して R&R 分析を実行します。

gagerr(y,part) は、part について収集された測定値 y に対して R&R 分析を実行します。この構文は、すべての測定値が単一の作業者によって収集される場合に使用します。

gagerr(tbl,yvar,partvar) は、yvar 変数の測定値と partvar 変数の部品を使用して、table tbl のデータに対して R&R 分析を実行します。 (R2025a 以降)

gagerr(tbl,yvar,partvar,opvar) は、yvar 変数の測定値、partvar 変数の部品、および opvar 変数の作業者を使用して、table tbl のデータに対して R&R 分析を実行します。 (R2025a 以降)

gagerr(___,Name=Value) では、前の構文におけるいずれかの入力引数の組み合わせに加えて、1 つ以上の名前と値の引数を使用してオプションを指定します。たとえば、結果の棒グラフを表示するかどうかを指定したり、精度-許容誤差の比 (PTR) の計算の仕様限界を設定したりできます。

gagerr(ax,___) は、現在の座標軸 (gca) ではなく ax で指定された座標軸にプロットします。 (R2024a 以降)

results = gagerr(___) は、分析結果を results で返します。tbl または OutputFormat="table" を指定した場合、results は table になります。それ以外の場合、results は行列になります。

[results,stats] = gagerr(___) は、異なるカテゴリ数、全変動のゲージ R&R のパーセンテージ、PTR、および分析の分散の乗数が格納された構造体 stats を追加で返します。仕様限界 (Spec) を設定しない場合、PTR の値は NaN になります。

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3 つの部品の 100 個の測定値 y を無作為に生成して測定データ セットをシミュレートします。各測定値は 4 人のうちの無作為に割り当てられた 1 人の作業者によって収集されます。

rng(1234,"twister"); % For reproducibility
n = 100;
y = randn(n,1);                
part = randi([1,3],1,n);       
operator = randi([1,4],1,n);   

このデータ セットに対して、交互作用のない混合 ANOVA モデルを使用してゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析を実行します。

gagerr(y,{part,operator},RandomOperator=false)
         Source          Variance     PercentVariance     Sigma     StudyVariation    PercentStudyVariation
    _________________    _________    _______________    _______    ______________    _____________________

    Gage R&R               0.95348         99.251        0.97646        5.0288               99.625        
      Repeatability        0.95348         99.251        0.97646        5.0288               99.625        
      Reproducibility            0              0              0             0                    0        
    Part                 0.0071911        0.74854         0.0848       0.43672               8.6518        
    Total                  0.96067            100        0.98014        5.0477                             

Study Variation: 5.15*Sigma
Number of distinct categories (NDC):0
% of Gage R&R of total variations (PRR): 99.63
Note: The last column of the above table does not have to sum to 100%

Figure contains an axes object. The axes object with ylabel Percent contains 2 objects of type bar. These objects represent %Variance, %StudyVar.

分析結果を要約した情報と棒グラフが表示されます。table の各行に、測定データにおける変動性のそれぞれ異なる原因に関する統計が格納されています。このデータ セットでは、変動性の主たる原因は繰り返し性 (同じ部品に関して同じ作業者から得られる測定値の変動) です。この原因が測定値の全分散の 99.25%、および測定値の全標準偏差の 99.63% を占めています。異なるカテゴリ数は 0 であり、測定システムで測定データ内のいずれのグループも区別できないことを示しています。

ABC という 3 人の作業者による 5 つの部品についての 100 個の測定値 y を無作為に生成して測定データ セットをシミュレートします。それぞれの部品の測定は 1 人の作業者のみが行います。

rng(1234,"twister"); % For reproducibility
n = 100;
y = randn(n,1);
parts = randi(5,1,n)';
operatorName = ["A","B","C","A","A"];
operators = operatorName(parts)';
tbl = table(y,parts,operators, ...
    VariableNames=["y","Part","Operator"]);

データ セットの先頭の数行を表示します。

head(tbl)
       y        Part    Operator
    ________    ____    ________

    -0.94725     1        "A"   
     0.54015     3        "C"   
     -0.2166     1        "A"   
       1.189     5        "A"   
       1.317     2        "B"   
    -0.40563     1        "A"   
    -0.44491     3        "C"   
      1.3284     5        "A"   

このデータ セットに対して、PartOperator 内で入れ子になった混合 ANOVA モデルを使用してゲージの繰り返し性と再現性 (R&R) の分析を実行します。ANOVA 表を Figure に表示し、SigmaMultiplier=6 を設定してシックスシグマ分析を実行します。

gagerr(tbl,"y","Part","Operator",Model="part-nested", ...
    DisplayANOVA="on",SigmaMultiplier=6)

Figure N-Way ANOVA contains objects of type uicontrol.

         Source          Variance    PercentVariance     Sigma     StudyVariation    PercentStudyVariation
    _________________    ________    _______________    _______    ______________    _____________________

    Gage R&R              0.96251        96.475         0.98108        5.8865               98.221        
      Repeatability       0.96251        96.475         0.98108        5.8865               98.221        
      Reproducibility           0             0               0             0                    0        
    Part                 0.035173        3.5255         0.18754        1.1253               18.776        
    Total                 0.99768           100         0.99884         5.993                             

Study Variation: 6.00*Sigma
Number of distinct categories (NDC):0
% of Gage R&R of total variations (PRR): 98.22
Note: The last column of the above table does not have to sum to 100%

Figure contains an axes object. The axes object with ylabel Percent contains 2 objects of type bar. These objects represent %Variance, %StudyVar.

分析結果を要約した情報と棒グラフが表示されます。table の各行に、測定データにおける変動性のそれぞれ異なる原因に関する統計が格納されています。このデータ セットでは、変動性の主たる原因は繰り返し性 (同じ部品に関して同じ作業者から得られる測定値の変動) です。この原因が測定値の全分散の 96.475%、および測定値の全標準偏差の 98.1% を占めています。異なるカテゴリ数は 0 であり、測定システムで測定データ内のいずれのグループも区別できないことを示しています。

入力引数

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測定値。数値列ベクトルとして指定します。

データ型: single | double

部品。categorical 配列、文字配列、string 配列、logical 列ベクトル、数値列ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列として指定します。part のサイズは y と同じでなければなりません。part の各要素に、y の対応する測定値に関連付けられた部品の識別子が格納されます。

データ型: categorical | char | string | logical | single | double | cell

作業者。categorical 配列、文字配列、string 配列、logical 列ベクトル、数値列ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列として指定します。operator のサイズは y と同じでなければなりません。operator の各要素に、y の対応する測定値を収集する作業者の識別子が格納されます。

データ型: categorical | char | string | logical | single | double | cell

部品と作業者。n 行 2 列の数値行列として指定します。ここで、ny の長さです。group の 1 列目と 2 列目に、y の測定値に対応する部品と作業者の数値識別子がそれぞれ格納されます。

データ型: single | double

R2025a 以降

入力データ。table として指定します。tbl には、測定値を格納する変数、部品を格納する変数、および (オプションで) 作業者を格納する変数がなければなりません。

データ型: table

R2025a 以降

測定値の変数。文字配列または string 配列として指定します。yvar は、測定値を格納する tbl 内の変数の名前でなければなりません。

データ型: char | string

R2025a 以降

部品の変数。文字配列または string 配列として指定します。partvar は、部品を格納する tbl 内の変数の名前でなければなりません。

データ型: char | string

R2025a 以降

作業者の変数。文字配列または string 配列として指定します。opvar は、作業者を格納する tbl 内の変数の名前でなければなりません。opvar を指定しない場合、すべての測定値が単一の作業者によって得られたものと仮定されます。

データ型: char | string

プロットの座標軸。Axes オブジェクトとして指定します。ax を指定しない場合、gagerr は、現在の座標軸を使用してプロットを作成します。Axes オブジェクトを作成する方法の詳細については、axes を参照してください。

名前と値の引数

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オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。

例: results=gagerr(y,group,PrintTable="off") は、コマンド ライン出力を抑制します。

R2025a 以降

分析の分散の乗数。正のスカラーとして指定します。gagerr は、分析の分散や精度-許容誤差の比の計算に SigmaMultiplier を使用します。既定値の 5.15 は、正規分布母集団の中央 99% に収まる標準偏差の数に対応します。

例: SigmaMultiplier=6

データ型: single | double

ANOVA モデルのタイプ。次の表の値のいずれかとして指定します。

説明
"linear" (既定の設定)主効果のみ
"interaction"主効果および operatorpart の間の 2 因子交互作用
"nested"operatorpart 内で入れ子になります。このモデルは、作業者が特定の部品に割り当てられていて、作業者がそれらの特定の部品のみを測定する場合に使用します。詳細については、その他の分散分析モデルを参照してください。

"part-nested" (R2025a 以降)

partoperator 内で入れ子になります。このモデルは、それぞれの部品を特定の作業者のみが測定する場合に使用します。詳細については、その他の分散分析モデルを参照してください。

"linear" または "interaction" を指定すると、gagerr は指定された Model の値を使用して anovan 関数を呼び出します。

"nested" を指定すると、gagerrmodel="linear"nested=[0 0; 1 0] を使用して anovan を呼び出します。

"part-nested" を指定すると、gagerrmodel="linear"nested=[0 1; 0 0] を使用して anovan を呼び出します。

gagerr の呼び出しで part を指定して operator は指定しない場合、"interaction""nested""part-nested" は指定できません。

例: Model="interaction"

データ型: char | string

ランダムな作業者のインジケーター。数値または logical の 1 (true) または 0 (false) として指定します。RandomOperator=false を指定すると、part を変量効果、operator を固定効果とする混合効果モデルが使用されます。

例: RandomOperator=false

データ型: logical

下方仕様限界と上方仕様限界。2 要素の数値ベクトルとして指定します。Spec を指定すると、式 PTR=kσGRR/|(S2S1)| を使用して精度-許容誤差の比 (PTR) が計算されます。ここで、kSigmaMultiplier の値、σGRR はゲージ R&R の標準偏差、S1 と S2 はそれぞれ Spec の 1 番目と 2 番目の要素です。Spec を指定しない場合、PTR は NaN になります。PTR の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。

例: Spec=[0.1 0.9]

データ型: single | double

R2025a 以降

ANOVA 表を表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。DisplayANOVA="on" を指定すると、ANOVA 表が Figure として表示されます。

例: DisplayANOVA="on"

データ型: char | string

結果の出力を表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。結果の出力の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。

例: PrintTable="off"

データ型: char | string

R2025a 以降

結果の出力形式。"table" または "matrix" として指定します。OutputFormat の値によって、results が table になるか行列になるかが決まります。OutputFormat を指定しない場合、resultsy が指定されていれば行列、tbl が指定されていれば table になります。

例: OutputFormat="matrix"

データ型: char | string

結果の棒グラフを表示するフラグ。"on" または "off" として指定します。棒グラフの結果の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。

例: PrintGraph="off"

データ型: char | string

出力引数

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分析結果。数値行列または table として返されます。results が行列の場合、測定システムにおける変動性の個々の原因に関するメトリクスが行に格納されます。tbl または OutputFormat="table" を指定した場合、results は table になります。results の行 (results が table の場合は行名) を以下に示します。results が table の場合、他のオプションの指定内容によっては一部の行は含まれません。

table の行名説明
Gage R&RGageRR繰り返し性と再現性の原因に起因する測定値の変動の合計
RepeatabilityGage_Repeatability同じ作業者から収集された同じ部品の測定値の変動
ReproducibilityGage_Reproducibility異なる作業者から収集された同じ部品の測定値の変動
OperatorReproducibility_Operator同じ作業者から収集された測定値の変動
Part*OperatorReproducibility_PartandOperator部品と作業者の 2 因子交互作用に起因する測定値の変動。この変動は Model"interaction" の場合以外はゼロになります。
Part-to-partPart部品のセット間の変動
TotalTotalゲージ R&R と部品対部品の変動性の合計。この行は results が行列の場合は含まれません。

results の列または変数を次に示します。変数 Sourceresults が table の場合は含まれません。

列または変数説明
Source変動性の原因
Variance分散
PercentVariance全分散の割合
Sigma標準偏差 (分散の平方根)
StudyVariation分析の分散 (標準偏差の SigmaMultiplier 倍に相当)
PercentStudyVariation分析の全分散の割合

要約統計量。次のフィールドをもつ構造体として返されます。

  • ndc — 異なるカテゴリ数

  • prr — 全変動のゲージ R&R のパーセンテージ

  • ptr — 精度-許容誤差の比

  • SigmaMultiplier — 分析の分散の乗数

Spec を指定しない場合、ptrNaN になります。要約統計量の詳細については、ゲージ R&R 分析を参照してください。

詳細

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参照

[1] Burdick, Richard K., Connie M. Borror, and Douglas C. Montgomery. Design and Analysis of Gauge R&R Studies: Making Decisions with Confidence Intervals in Random and Mixed ANOVA Models. ASA-SIAM Series on Statistics and Applied Probability. Philadelphia, Pa. : Alexandria, Va: Society for Industrial Applied Mathematics ; American Statistical Association, 2005.

バージョン履歴

R2006b で導入

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参考