医用画像セグメンテーションとは
医用画像セグメンテーションは、2D または 3D の医用画像を複数のセグメントに分割したり、目的の領域を抽出したりするプロセスです。各セグメントは特定のカテゴリまたは組織タイプ (たとえば、正常組織または腫瘍組織) を表します。画像の異なる部分を区別することで、医用画像セグメンテーションは、その後の診断、治療計画、疾患の監視の精度を高めることができます。医用画像セグメンテーションは、現代の医療現場において不可欠なツールです。
通常、医用画像セグメンテーションは、次のステップを含むワークフローの一部です。
- 医用画像へのアクセス
- 画像前処理
- セグメンテーション
- 解析と解釈
MATLAB®、Image Processing Toolbox™、Computer Vision Toolbox™、Medical Imaging Toolbox™ には、医用画像セグメンテーションを可能にする機能と、上記の各ステップのアプリケーション例が用意されています。
医用画像セグメンテーションのワークフロー
医用画像へのアクセス
MATLAB では、DICOM ブラウザーアプリや使いやすい関数を使用して、DICOM、DICOM-RT、HDF5、Interfile、NIfTI、Tif 形式の医用画像をインポートおよびエクスポートできます。
病理画像のような、メモリに収まりきらず、処理が困難な大きい画像の場合、blockedImage
オブジェクトは、画像を独立して読み込んで処理できる小さなデータブロックの集合体として表現します。この手法は、大きな画像や多重解像度画像の読み取りと処理を高速化します。blockedImage
オブジェクトは、マルチコア CPU や GPU を活用した並列計算もサポートしています。
画像前処理
医用画像の前処理と拡張の主な目的は、取得画像のアーティファクトを削減し、データセット全体の画像を標準化することです。背景除去、ノイズ除去 (デノイズ)、リサンプリング、レジストレーション、強度正規化により画質を向上させ、アーティファクトを最小限に抑え、セグメンテーションの精度を向上できます。
セグメンテーション
医用画像セグメンテーションの中心となるステップは、画像をさまざまな組織、臓器、骨に対応する意味のある領域に分割することです。セグメンテーション後、後処理でノイズを除去し、境界を平滑化し、ギャップを埋めることで、精度と信頼性の向上が期待できます。後処理タスクの例としては、モルフォロジーやフィルター処理などがあります。
ピクセル値の不連続性の検出は一般的な手法であり、通常、ピクセルのグレー値の不連続性は形状のエッジを示します。
もう一つの一般的な手法は、リージョングローイング (領域拡大法) やクラスタリングなどの類似性検出に基づいています。
MATLAB の色のしきい値アプリ、イメージの領域分割アプリ、ボリュームの領域分割アプリを使えば、ドキュメントを参照したり、構文を覚えたり、コードを書いたりすることなく、画像に対してさまざまな画像分割アルゴリズムをすばやく試すことができます。所要の結果を得たら、ワンクリックでアルゴリズムを MATLAB 関数にエクスポートできます。画像セグメンテーション アルゴリズムでは、エッジ検出、特徴ベースのセグメンテーション、クラスタリングのための MATLAB 関数も使用できます。
ディープラーニングは、セマンティック セグメンテーションにも使用されます。この手法により、画像の各ピクセルにクラスラベルを関連付けることができます。
ディープラーニング アプリケーション開発では、ラベル付けに多大な時間を要します。医用画像ラベラーアプリとイメージ ラベラー アプリを使用すると、手動または半自動でデータセットに高速かつ高精度でラベル付けできます。次に、ディープ ネットワーク デザイナー アプリを使用して、ディープラーニング ネットワークを構築、可視化、および学習できます。また、実験マネージャーアプリを使って複数のハイパーパラメーターの組み合わせによるディープラーニングの実験を管理し、結果やコードを解析して比較することもできます。
解析と解釈
オブジェクト解析、すなわち分割された領域を面積、体積、形態学的特徴について定量的に解析することは、疾患の診断、治療計画、有効性の評価にとって極めて重要です。
画像診断アプリケーションを設計およびテストするための医用画像処理関連のアプリ、関数、およびワークフローについては、Medical Imaging Toolbox を参照してください。