奈良先端科学技術大学院大学の研究者ら、ロボット ハンドの触覚物体認識アルゴリズムを開発

課題

触覚センサーの入力に基づいてロボット ハンドがオブジェクトを識別できるようにする

ソリューション

MATLAB を使用して機械学習と物体認識アルゴリズムを開発し、Robotics System Toolbox を使用する事でアルゴリズムと ROS 対応のロボットの間の接続を確立

結果

  • 何百もの手作業が削減
  • 新しいアルゴリズムのアイデアを試してみる機会が増加
  • 他の学生や研究者との専門知識の共有

「Robotics System Toolbox を使用すると、MATLAB で開発したアルゴリズムからロボットにシームレスに接続して直接制御でき、 開発時間を短縮することができます。こうして得られた時間を、新たな触覚物体認識アルゴリズムに活かしました。」

松原崇充, 奈良先端科学技術大学院大学
触覚物体認識を実行する NAIST の ROS 対応 Shadow ロボット

視覚的な情報ではなく触感で物体を認識するロボットには、外科手術や救助活動などのさまざまな応用の可能性があります。日本の奈良先端科学技術大学院大学 (NAIST) 知能システム制御研究室の研究者らが、圧力、振動および温度センサー等を使った、器用なロボット ハンド向けの物体認識アルゴリズムを開発しました。物体認識アルゴリズムでは、能動学習アプローチを採用しています。これにより、ロボット ハンドが物体をこすったり、握ったり、引き寄せたりなどの行動から取得した触覚情報を元に、次の行動を計画します。

NAIST の研究者は MATLAB® および Robotics System Toolbox™ を使用して、2 つの触覚物体認識のためのアルゴリズムを開発しました。最初のアルゴリズムでは、取得されたセンサー データを基に機械学習技術を使用した確率的モデルを構築します。2 番目のアルゴリズムでは、学習されたモデルを使用してさまざまな物体を認識します。

「MATLAB によって私たちはコードの作成ではなく研究に焦点を置くことができます。」と、NAIST の松原崇充助教は述べています。「新しいロボットに着手するときは通常、コーディングのフェーズが長く続くものですが、MATLAB と Robotics System Toolbox を使用することでこのフェーズを最小化でき、能動的触覚物体認識技術の改良に集中できます。」

課題

多くの場合、機械学習および物体認識アルゴリズムには、多数の計算や行列演算が必要になります。NAIST チームは、研究のペースを上げるために MATLAB を既に使用していましたが、チームの課題は、ラボで使用されている、Robot Operating System (ROS) 対応の Shadow Dexterous Hand ロボットにアルゴリズムをすぐに適用することで実験のペースを加速させることでした。

ソリューション

NAIST の研究者チームは MATLAB および Robotics System Toolbox を使用して、触覚物体認識のためのアルゴリズムを開発して、それらのワークフローを完全に自動化しました。

学習および物体識別アルゴリズムには、MATLAB を使って開発されたGaussian Process Latent Variable Model が組み込まれ、学習された物体に関して欠落している情報を得るために必要な動作を計画する学習アルゴリズムにおいては、 Global Optimization Toolbox および Optimization Toolbox™ の関数を使用しました。 また、物体識別アルゴリズムにおいても、物体に関する最も有益な新情報をもたらす探索行動の決定に Optimization Toolbox の関数を使用しました。

実際のロボットでの実験前には、対象の物体の数学的モデルを使用しMATLABにてシミュレーションを実行することで、入力データを生成しました。Parallel Computing Toolbox™ を使い、マルチコア コンピューターの複数のプロセッサでそれらを使用することで、シミュレーション、最適化および行列演算の高速化を図りました。

開発したアルゴリズムと ROS 対応の Shadow ロボット間でダイレクトな通信を確立する為、Robotics System Toolbox を使うことで、 MATLAB からロボットの ROS API に直接アクセスでき、手や指先の位置をロボットにPublish (出版)し、ロボットのBioTacセンサーからのデータをSubscribe(購読)出来ました。

これらの結果、NAIST の研究者チームは、10 種類の物体を識別可能なアルゴリズムの開発を達成しました。現在は 100 を超える物体を識別可能な拡張バージョンに取り組んでいます。

結果

  • 何百もの手作業が削減. 「MATLAB で Robotics System Toolbox を使用する前は、学習プロセスが完了するまで 24 時間ほどかかっていました。」と、NAIST の博士課程田中大介氏は述べています。「現在、このプロセスは完全に自動化されており、ロボットの前に一日中立っていなくても、タスクが完了するまで他の作業を行うことができます。」

  • 新しいアルゴリズムのアイデアを試してみる機会が増加. 「MATLAB と Robotics System Toolbox によって、C++ コードの作成ではなく研究に没頭することができるようになったのは確かです。」と、田中氏は述べています。「結果として、新しいアルゴリズムについて検討する時間がさらに増えました。」

  • 他の学生や研究者との専門知識の共有. 「MATLAB と Robotics System Toolbox を研究にうまく使用することができたことで、NAIST の低学年の学生たちもまた MATLAB を ROS 対応のロボットで使用するようになりました。」と、松原博士は述べています。「MATLAB を使用して自動化環境を作る事で、私たちのノウハウを他の学生や研究者に伝えることができました。」