Clearpath Roboticsによる産業用ロボット向けアルゴリズム開発の高速化

「ROSはロボット研究および開発に優れていますが、データ解析には優れていません。一方MATLABは、単なるデータ解析ツールではなく、データ可視化およびハードウェアインターフェイスツールでもあるため、ROSを多くの方法で見事に補完します。」

課題

産業用ロボットにおけるレーザーベースの認識、コンピュータービジョン、車両管理および制御アルゴリズムの開発時間の短縮

ソリューション

MATLABを使用したROSデータの解析および可視化、アルゴリズムのプロトタイピングおよびロボット研究における最新かつ高度な情報の適用

結果

  • データ解析時間を50%削減
  • カスタマーコミュニケーションの改善
  • 最先端のSDVアルゴリズムの迅速な組み込み
自律走行型搬送ロボットOTTO 1500

自律走行型搬送ロボットOTTO 1500

倉庫自動化の需要が増大するにつれて、製造ステーションおよび製造ライン間で物資を輸送可能にする高度なセルフドライビングビークル(SDV)の必要性も増大しています。品物を支援なしで自律的に移動するために、SDVではレーザーベースの認識、コンピュータービジョン、車両管理および制御を行うための高度なアルゴリズムを採用しています。

Clearpath Roboticsのエンジニアは、MATLAB®を使用して、同社SDVのOTTOライン向けアルゴリズム開発を高速化させ、ロボット研究を推し進めています。

「MATLABにより、当社のチームは、アルゴリズム開発およびプロトタイピングのための効率的な言語を使用できます。」とClearpathの認識エンジニアであるAmritpal Saini氏は述べています。「たとえば、コンピュータービジョンアルゴリズムに取り組んでいる場合、一行のコードで逆行列化を実行できます。MATLABを使用すると、ライブラリをインポートや、C++やそれに類する言語で必要とされる他の手のかかる作業をせずに、高次元のデータを容易に操作して可視化できます。」ClearpathのエンジニアリングマネージャーであるIlia Baranov氏は、さらに「MATLABで迅速にプロトタイピングを行うことは、新しいセンサーやコンポーネントを統合し、生成されたデータを解析するというパスに沿う鍵となるステップです。」と述べています。

課題

Clearpathのエンジニアリング組織の事業サイドと研究サイドの両チームで、大規模で複雑なデータセットの解析および可視化を行う必要があります。これらのタスクを実行するためにRobot Operating System(ROS)を使用しても、C++またはPythonでプログラムを作成しても、時間がかかり非効率であることが分かりました。

すべてのチームが共有する、迅速な解析およびデータ可視化ツールに対する要件に加えて、各チームには異なる、独自のニーズがありました。Clearpathの事業サイドのSaini氏と同僚には、アイデアのプロトタイプを迅速に作成して、連携する企業外の研究者からの新しいアルゴリズムを組み込む方法が必要でした。一方、研究サイドのBaranov氏とチームは数多くの異なるシステム、インターフェイスおよびデータ構造を使用して作業しており、ROS機能を補完し、ライブストリーミングデータおよびrosbagログファイルで取得されたデータを含むROSデータの処理および解析を容易にするツールが必要でした。

ソリューション

Clearpathのエンジニアは、MATLABとComputer Vision Toolbox™、Optimization Toolbox™およびRobotics System Toolbox™を共に使用して、アルゴリズムのプロトタイプを作成し、ロボット研究開発のためのデータを解析し可視化します。

最近のプロジェクトで、Saini氏とチームはMATLABおよびComputer Vision Toolbox を使用して、2次元のライダー点群のオブジェクトを検出し、そのオブジェクトを標準オブジェクトテンプレートのライブラリと照合するアルゴリズムを開発しました。のちに、アルゴリズムの最終量産バージョンを構築して検証するために、プロトタイプMATLABアルゴリズムをゴールデンリファレンスとして使用しました。

別のプロジェクトでは、MATLABによるエージェントベースのモデル化を使用してミッション完了のために共に作業するようにOTTOロボットのグループを導く車両管理のアルゴリズムを開発しました。このチームは、Optimization Toolboxを使用して、たとえば、最短時間でのミッション完了や、ロボットの移動区間の最小化など、特定のメトリクスを最小化しました。車両の個々のロボットが、MATLABで開発および調整した制御アルゴリズムを実行しました。

Clearpathの研究グループは、新しいセンサーの評価および組み込みから、MATLABおよびRobotics System Toolboxを使用してROSデータを解析する基本的な研究まで、広範なプロジェクトを担当しています。

たとえば、Baranovのチームは、新しい3次元ライダーセンサーの評価および組み込みを行いながら、ライダー出力の問題の特定を行っていました。チームはRobotics System Toolboxを使用して、センサーによって生成されたrosbagログファイルからデータをインポートしました。MATLABで作業を行い、問題の原因であるセンサー内のミラーの破損を診断するためにライダーパルスのタイミングを解析してプロットしました。

同様のアプローチに従ってClearpathロボットの停止距離を特徴付けました。屋内モーションキャプチャシステムを使用して、ロボットがさまざまな速度と多様な平面上でブレーキを適用するデータをログに記録しました。

MATLABおよびRobotics System Toolboxを使用して、ロボットを特定の速度まで加速させてから停止する自動化テストスクリプトを開発しました。次に、そのスクリプトはロボットの位置を変更して、加速とブレーキを繰り返しました。

テスト後に、後処理のため、モーションキャプチャシステムデータをMATLABにインポートしました。加速度と速度をプロットし、ロボットの詳細なブレーキプロファイルを構成することで変曲点を特定しました。

結果

  • データ解析時間を50%削減。「PythonとMATLABの両方を使用して、ライダーセンサーデータを処理しましたが、その解析と開発は、MATLABで1.5倍から2倍早くなったと推定します。」とBaranov氏は述べています。「それは、ストリームからデータを容易に取り出してグラフ化でき、他のアクションを我々がすべてコーディングする必要なく実行できる、組み込み関数のおかげです。」
  • カスタマーコミュニケーションの改善。「MATLABは、多くのお客様に使用されていますので、プロジェクトのあらゆる側面を高速化させる共通言語となっています。」とBaranov氏は述べています。「誤解を最小化して、サポート時間を削減し、私どもは理解されやすい実例を送信できます。」
  • 最先端のSDVアルゴリズムの迅速な組み込み。「当社が連携する研究者によって作成された大半のコードは、MATLABで作成されています。」とSaini氏は述べています。「これにより、研究をプロトタイプのMATLABアルゴリズムに容易に組み込むことができ、これを後ほど量産実装の検証に用いることができます。」