第 4 章
デジタルツインモデルの作成方法
デジタルツインとは何か、なぜデジタルツインを使用するのか、を理解したところで、どのようなタイプのモデルを作成すればよいのか、を考えてみましょう。 何をモデル化するか、そしてどのようにモデル化するかは、システムの知識とアプリケーションに依存します。
本章では、2点についてご説明いたします。
- モデリングの手法
- 必要となるモデルの数
データドリブンモデリング
物理モデリング
モデリングの手法:データドリブンな手法
残存耐用時間(RUL)を推定することで、メンテナンススケジュールを最適化するケースを想定します。
ここでは、データドリブンモデルを使用します。ポンプからのデータの種類に関するあなたの知識によって、どのモデルを使用するかを決定します。
類似の機械からの完全な履歴があれば、類似性モデルを使用することができます。故障時のデータしかない場合は、生存モデルを使用することができます。故障データが入手できないが、安全性の基準値がわかっている場合は、劣化モデルを使用してRULを推定することができます。
残存耐用時間(RUL)推定モデル
劣化モデルを使用してデジタルツインを作成し、ポンプの残りの耐用時間を推定するケースを想定します。
この劣化モデルは、圧力、流量、振動などのさまざまなセンサーで測定されたポンプのデータを使用して常に更新されます。
モデリング手法:物理特性ベースのモデリング
さて、将来のシナリオをシミュレーションして、そのシナリオの下で機械がどう稼働するのかを監視したい場合、物理モデリングを使用することができます。
例としては、図のような物理モデルがあり、機械部品と油圧部品を接続して作成されます。このモデルにはポンプからのデータが入力され、そのパラメータが推定され、この入力データに基づいて調整され、モデルが最新の状態に保たれます。
このモデルを使用して、さまざまなタイプの故障をインプットし、さまざまな故障条件の下でのポンプの動作をシミュレーションすることができます。
モデリングの手法:データと物理モデルを 統合したカルマンフィルター
カルマンフィルターと呼ばれる手法でも、デジタルツインモデルを作成することができます。ポンプの劣化状況をモデル化し、定期的に更新することでポンプの現在の状態が表されます。
モデリング手法のレビュー
図は、MATLAB®およびSimulink®を使用して作成できるデジタルツインモデルの一例です。用途に応じて、これらのモデルを組み合わせてデジタルツインを作成することができます。
データドリブン
データと物理モデルの統合
カルマンフィルター
System Identification Toolbox
デジタルツインモデルは、いくつ作成する必要があるのか?
デジタルツインを作成する方法を理解したところで、実際にデジタルツインをいくつ作成する必要があるのか、疑問に思われるかもしれません。
個々の設備ごとに、ユニークなデジタルツインを作成する必要があります。つまり、異なる坑井にあるポンプごとに、特定のポンプのパラメータで初期化されたユニークなデジタルツインを作成する必要があるということです。
必要なデジタルツインの総数は、アプリケーションによって異なります。システムをモデル化する場合は、要求される精度レベルに応じて、コンポーネントのシステムごとにツインが必要になる場合があります。
一つのポンプに対し、目的に応じた数だけデジタルツインが対応します。
例えば、故障予測と故障分類を行いたい場合は、それぞれの目的を達成する異なるモデルを作成する必要があります。