世界中の航空宇宙および防衛にかかわる企業が、プロトタイプから、非常に重要な安全でミッション クリティカルなシステムまで、あらゆる技術成熟度レベルで、MATLAB® および Simulink® を活用しています。MATLAB と Simulink は、F-35 統合攻撃戦闘機や火星探査ローバーなどあらゆる領域の主要なプログラムで使用され、自律システム、極超音速、高機能無線システム、航空機のハイブリッド化と電化などの分野での研究や開発を加速しています。
モデルベースデザイン(MBD、モデルベース開発)を使用したデジタル エンジニアリングは、早期のデザイン シミュレーションとコード生成を通じて、プログラムのリスク (パフォーマンス、スケジュール、統合など) の低減に役立ちます。また、システム エンジニアリング向け Simulink は、デジタルスレッドを確立し、要件、アーキテクチャ、設計、自動生成コード、テスト アーティファクト間のトレーサビリティを提供します。これにより、設計の完全性が確保され、複雑なシステムの変更管理をすべて同じ環境内で容易に行えるようになります。
人工知能の「第 3 の波」の到来に伴い、特定分野の専門家も MATLAB と Simulink を使用して、早期の予測を行い、意思決定を改善するための AI ソリューションを開発しています。MATLAB と Simulink を使用することで、チームはさまざまなデータソースを組み込むことができ、ハードウェアまたはクラウドに展開可能なアプリケーションへの機械学習、ディープラーニング、データ サイエンス アルゴリズムの実装を加速します。
「モデルベースデザインにより、システムの機能的設計を高度に可視化することができました。私たちはまた、要件検証を以前よりも早く完了させることができ、複数同時に発生するコンポーネントの故障をシミュレートしているので、何が起こるかを理解していますし、また制御ロジックはその故障に対処できるという自信があります。
Christopher Slack, Airbus
航空宇宙および防衛向け MATLAB および Simulink の使用

MathWorks の次世代航空宇宙開発
モデル化に価値を置き、共同作業を可能にすることで、個別のシステム設計にとどまらず、複雑な SoS (システム オブ システムズ) に対応する方法をご覧ください。
システム エンジニアリング
システム エンジニアリングは、卓越したパフォーマンスと安全性を備えたシステムを確実に構築する上で、複雑な要件、アーキテクチャ、複数のドメインの統合の管理において、その重要性がますます高まっています。Simulink は、要件とモデルベースデザインを完全に同期できる使いやすいアーキテクチャ モデリングと解析環境を提供します。
MATLAB と Simulink は、ユーザーによる以下の作業を可能にすることで、デジタル エンジニアリング ワークフローをサポートします。
- 要件、アーキテクチャ、設計、実装間の双方向のトレーサビリティを提供し、カバレッジと変更の影響解析をサポートするデジタルスレッド (33:33)を介した、要件の取得、表示、解析、管理
- 要件、既存の Simulink モデル、ICD、外部で作成されたアーキテクチャの任意の組み合わせからのシステム アーキテクチャ モデルの開発および調査
- システムアーキテクチャを比較、解析、または最適化するためのデータ駆動型のトレード研究の実施
- カバレッジ、テストケース、ICD に関するレポートおよびバグ レポートの自動生成
- システムレベルの動作を確認するためのシステム構成のシミュレーション
- DO-178C、DO-254、ARP-4754などの業界の安全規格に準拠

飛行制御およびエンジン制御
物理プラットフォームに統合されるコードを自動生成する前に、シミュレーションを通じて、セーフティ クリティカルな制御システムを設計し、テストします。異なるシナリオや異なるプラットフォーム構成の設計、ハードウェア イン ザ ループでのテスト、制御ロジックの DO-178C などの安全規格への適合を、すべて同じ環境内で容易に行えるようにすることで、開発サイクルを加速します。
制御エンジニアは、MATLAB と Simulink で以下を行うことができます。
- 飛行制御、6-DoF、環境モデル、および NASA HL-20 などの機体モデルの複数の例を使用して作業を始め、より迅速にプラント モデルを構築
- 機体全体とそのサブシステムをモデル化
- あらかじめ用意されているツールを利用して、多変数コントローラーを自動調整 (4:56)し、高度な制御手法 (モデル予測制御やロバスト制御など) を活用
- 故障検出、分離、回復ロジックの設計とトラブルシューティング
- マイクロプロセッサおよび FPGA への最適化されたコードを自動生成
- 検証と妥当性確認を実施し、安全規格への認証を実現
無人航空機の設計
無人航空機 (UAV) のエンジニアや科学者は、制御システムやプラットフォームに依存しない諜報、監視、偵察 (ISR) ミッションのアルゴリズムの設計やチューニング、現実世界のシステムのモデル化、コードの自動生成および検証を行うために MATLAB および Simulink を使用し、そのすべてを単一のソフトウェア環境で行っています。
エンジニアは、MATLAB と Simulink で以下を行うことができます。
- MATLAB および Simulink から、UAV とそのコンポーネントに接続して制御
- ロボット オペレーティング システム (ROS) および MAVLink を使用したプラットフォームとの通信
- GPS、IMU、INS、高度計など一般的な UAV センサーのシミュレーション
- Gazebo、Unreal Engine などのシミュレーターへの直接接続による、UAV アプリケーションのコシミュレーション
- ハードウェアに依存しない制御アルゴリズムを開発し、四元数のネイティブサポートを用いて、3D 自己位置推定と環境地図作成 (SLAM)、パスプランニング、軌道生成を実施
- 多数の言語で、マイクロコントローラー、FPGA、PLC、GPU 用の組み込みコードを自動生成し、手作業によるコーディングを排除
- ビルド済みのハードウェア サポート パッケージを使用して、PX4 などの一般的な UAV 自動操縦や Raspberry Pi™ などの低コストのハードウェアに接続
- レガシーコードを使用して既存のシステムと統合
無線システム
次世代の無線通信 (27:30)、レーダー、電子戦システム (35:28)向けの高度なアルゴリズム、多機能な RF システム、アンテナ アレイの設計、プロトタイプ、およびテストを行います。研究エンジニアは、MATLAB と Simulink で、新しいテクノロジー コンセプトの実行可能性を迅速に証明し、開発サイクルの早い段階で設計上の問題を排除し、設計検証を効率化できます。エンジニアは、MATLAB と Simulink ツールで以下を行うことができます。
- 高密度のスペクトル環境で、複雑な通信とレーダーのシナリオをモデル化して可視化
- ベースバンド、RF、アンテナ コンポーネントなど、エンドツーエンドの通信リンクのシミュレーション
- 標準ベース (5G, LTE, WLAN) およびカスタムの波形を生成し、解析
- Antenna Toolbox™ を使用してアンテナ アレイとビームフォーミングアーキテクチャをモデル化
- 地上、空中、海上輸送におけるレーダーシステムのダイナミクスを移動目標とレーダー プラットフォームでモデル化
- マルチセンサー追跡およびポジショニング システムの設計とシミュレーション
- 無線設計、プロトタイプ、実装の反復検証用に再利用可能なゴールデン リファレンス モデルの作成
- USRP や PlutoSDR などの一般的なソフトウェア無線ハードウェアでのアルゴリズム設計のプロトタイピングおよびテスト
航空宇宙および防衛向け人工知能
MATLAB と Simulink は、予知保全からマルチモーダルのターゲット識別などの複雑なタスクまで、AI の課題を解決するための包括的なプラットフォームを提供します。MATLAB では、AI の使用経験が少ないエンジニアをサポートします。チームが MATLAB を使用して、AI データセットの改善、統合の課題の対処、リスクの低減、システム全体のコンテキストでのモデルの継続的なテストを行えるよう支援します。
- 予知保全とデジタルツイン (8:28)機能を使用して機体の保守点検を最適化し、障害や故障を検出、予測するアルゴリズムを開発し、残りの耐用年数 (9:34)を推定
- レーダー波形やターゲット分類アルゴリズムなどのアプリケーション向けに、シミュレーションベースの学習データとテストデータを生成し、強化学習を用いて複雑な制御システム (22:32)を作成
- ディープラーニングアルゴリズムと機械学習アルゴリズムを導入して、幅広いデータ型から正確なモデルを作成し、アプリと可視化ツールを用いてさまざまなアーキテクチャで実験
- 組み込み GPU と CPU、エンタープライズ システム、クラウドなど、さまざまな場所にモデルを展開