RegressionGP Predict ブロックの使用による応答の予測
この例では、RegressionGP Predictブロックを Simulink® の応答予測に使用する方法を示します。このブロックは、観測値 (予測子データ) を受け入れて、学習済みのガウス過程 (GP) 回帰モデルを使用することにより、その観測値の予測された応答を返します。ブロックから応答の標準偏差と予測区間も返すことができます。
回帰モデルの学習
MATLAB® コマンド ラインで GP 回帰モデルに学習させ、予測応答と予測区間を計算します。
gprdata
データ セットを読み込みます。このデータ セットにはシミュレートされた学習データとテスト データが含まれており、学習データには 500 個、テスト データには 100 個の観測値があります。データには 6 つの予測子変数があります。
load gprdata
学習データ Xtrain
および ytrain
を関数 fitrgp
に渡して、GP 回帰モデルに学習させます。数値予測子を標準化するための指定を行います。
gpMdl = fitrgp(Xtrain,ytrain,Standardize=1)
gpMdl = RegressionGP ResponseName: 'Y' CategoricalPredictors: [] ResponseTransform: 'none' NumObservations: 500 KernelFunction: 'SquaredExponential' KernelInformation: [1x1 struct] BasisFunction: 'Constant' Beta: 304.8486 Sigma: 0.8235 PredictorLocation: [6x1 double] PredictorScale: [6x1 double] Alpha: [500x1 double] ActiveSetVectors: [500x6 double] PredictMethod: 'Exact' ActiveSetSize: 500 FitMethod: 'Exact' ActiveSetMethod: 'Random' IsActiveSetVector: [500x1 logical] LogLikelihood: -770.2440 ActiveSetHistory: [] BCDInformation: []
gpMdl
はRegressionGP
モデルです。ドット表記を使用して gpMdl
のプロパティにアクセスできます。たとえば、gpMdl.TrainingHistory
と指定すると、GP モデルの学習履歴についての詳細情報を表示できます。
予測 ypred
と予測区間 yint
を計算し、平方根平均二乗誤差 (RMSE) を計算します。
[ypred,~,yint] = predict(gpMdl,Xtest); rmse = sqrt(mean((ypred-ytest).^2))
rmse = 0.9166
真の応答、予測した応答および予測区間をプロットします。
hold on plot(ytest) plot(ypred) plot(yint(:,1),"k:") plot(yint(:,2),"k:") hold off legend("True Responses","GP Predictions",... "Prediction Intervals",Location="best")
モデル gpMdl
に学習させたので、RegressionGP Predict ブロックにインポートできます。
Simulink モデルの作成
RegressionGP Predictブロックを使用して新しいモデルを作成します。新しい Simulink モデルを作成するには、[空のモデル] テンプレートを開き、Statistics and Machine Learning Toolbox™ ライブラリから RegressionGP Predict ブロックを追加します。
RegressionGP Predict ブロックをダブルクリックして、[ブロック パラメーター] ダイアログ ボックスを開きます。モデルを含むワークスペース変数の名前を指定することにより、学習済みの RegressionGP
モデルをブロックにインポートします。既定の変数名は gpMdl
です。これは、コマンド ラインで学習させたモデルです。
[更新] ボタンをクリックして、ダイアログ ボックス内の学習済みモデルの設定を更新します。ダイアログ ボックスの [Trained Machine Learning Model] セクションに、モデル gpMdl
の学習に使用されるオプションが表示されます。[Add output port for prediction intervals] チェック ボックスをオンにして、2 番目の出力端子 ("yint") をブロックに追加します。
Inport ブロックを 1 つと Outport ブロックを 2 つ追加して、それらを RegressionGP Predict ブロックの入力と出力に接続します。
6 個の予測子変数をもつデータ セットを使用してモデルに学習させたため、RegressionGP Predict ブロックには 6 個の予測子の値を含む観測値が必要です。Inport ブロックをダブルクリックし、[信号属性] タブで [端子の次元] を 6 に設定します。出力信号を入力信号と同じ長さにする場合は、[サンプル時間] を 1 に設定します。
Simulink モデルの構造体配列の形式で、入力信号を作成します。構造体配列には、次のフィールドが含まれていなければなりません。
time
— 観測値がモデルに入力された時点。方向は予測子データ内の観測値に対応しなければなりません。この例の場合はtime
が列ベクトルでなければなりません。signals
—values
フィールドとdimensions
フィールドが含まれている、入力データを説明する 1 行 1 列の構造体配列。values
は予測子データの行列、dimensions
は予測子変数の個数です。
将来の予測用に適切な構造体配列を作成します。詳細については、時間付き構造体 (Simulink)を参照してください。
modelInput.time = (0:length(ytest)-1)'; modelInput.signals(1).values = Xtest; modelInput.signals(1).dimensions = size(Xtest,2);
ワークスペースから信号データをインポートします。
[コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスを開く。[モデル化] タブで、[モデル設定] をクリック。
[データのインポート/エクスポート] ペインで [入力] チェック ボックスをオンにし、隣のテキスト ボックスに「
modelInput
」と入力。[ソルバー] ペインの [シミュレーション時間] で、[終了時間] を
modelInput.time(end)
に設定。[ソルバーの選択] で、[タイプ] をFixed-step
に、[ソルバー] をdiscrete (no continuous states)
に設定。
詳細は、シミュレーションのための信号データの読み込み (Simulink)を参照してください。
Outport 1 ブロックをダブルクリックし、[メイン] タブで [信号名] を ypred
に設定します。同様に、Outport 2 ブロックをダブルクリックし、[信号名] を yint
に設定します。
指定されたモデルを開く
新しいモデルを作成する代わりに、用意されている Simulink モデル slexRegressionGPPredictExample.slx
を開くことができます。このモデルに RegressionGP Predict ブロックが含まれています。このモデルにアクセスするには、例をライブ スクリプトとして開く必要があります。
Simulink モデル slexRegressionGPPredictExample.slx
を開きます。
SimMdlName = "slexRegressionGPPredictExample";
open_system(SimMdlName)
Simulink モデルを開くと、Simulink モデルを読み込む前に、ソフトウェアがコールバック関数 PreLoadFcn
のコードを実行します。slexRegressionGPPredictExample
のコールバック関数 PreLoadFcn
には、学習済みモデルの変数 gpMdl
がワークスペースにあるかどうかをチェックするコードが含まれています。ワークスペースに変数がない場合、PreLoadFcn
は標本データを読み込み、GP モデルに学習させ、Simulink モデルの入力信号を作成します。コールバック関数を表示するには、[モデル化] タブの [設定] セクションで、[モデル設定] をクリックし、[モデル プロパティ] を選択します。次に、[コールバック] タブで、[モデルのコールバック] ペインのコールバック関数 PreLoadFcn
を選択します。
Simulink モデルのシミュレート
Simulink モデルをシミュレートし、シミュレーション出力をワークスペースにエクスポートします。Inport ブロックでは、観測値を検出すると、その観測値を RegressionGP Predict ブロックに配置します。シミュレーション データ インスペクター (Simulink)を使用して、Outport ブロックのログ データを表示できます。
simOut = sim(SimMdlName)
simOut = Simulink.SimulationOutput: tout: [100x1 double] yout: [1x1 Simulink.SimulationData.Dataset] SimulationMetadata: [1x1 Simulink.SimulationMetadata] ErrorMessage: [0x0 char]
シミュレートされた予測と予測区間を調べ、シミュレートされた予測の RMSE を計算します。
outputs = simOut.yout; sim_ypred = outputs.get("ypred").Values.Data; sim_yint = outputs.get("yint").Values.Data; sim_rmse = sqrt(mean((sim_ypred-ytest).^2))
sim_rmse = 0.9166
真の応答、シミュレートされた予測、およびシミュレートされた予測区間をプロットします。
hold on plot(ytest,"b") plot(sim_ypred,"r") plot(sim_yint(:,1),"k:") plot(sim_yint(:,2),"k:") hold off legend("True Responses","Simulated GP Predictions",... "Simulated Prediction Intervals",Location="best")
プロットは、関数 predict
の出力を使用して作成したプロットと同じようになります。