ClassificationKNN Predict ブロックの使用によるクラス ラベルの予測
この例では、ClassificationKNN Predictブロックを Simulink® のラベル予測に使用する方法を示します。このブロックは、観測値 (予測子データ) を受け入れて、学習済みの最近傍分類モデルを使用することにより、その観測値の予測されたクラス ラベル、クラス スコア、および予測分類コストを返します。
最近傍分類器の学習
最近傍分類器に学習させ、テスト セットで分類器の性能を評価します。
fisheriris
データ セットを読み込みます。150 本のアヤメについて 4 つの測定値が含まれる数値行列 X
を作成します。対応するアヤメの種類が含まれる文字ベクトルの cell 配列 Y
を作成します。
load fisheriris
X = meas;
Y = species;
分割の再現性を得るため、乱数発生器のシードを設定します。Y のクラス情報を使用して、観測値を階層的に学習セットとテスト セットに無作為に分割します。観測値の約 80% を最近傍モデルの学習に使用し、観測値の約 20% を学習済みモデルの新しいデータでの性能のテストに使用します。
rng("default") cv = cvpartition(Y,"HoldOut",0.2);
学習インデックスとテスト インデックスを抽出します。学習データ セットとテスト データ セットを指定します。
trainingInds = training(cv); testInds = test(cv); Xtrain = X(trainingInds,:); Ytrain = Y(trainingInds); Xtest = X(testInds,:); Ytest = Y(testInds);
関数fitcknn
を使用して、5 最近傍分類器に学習させます。非カテゴリカル予測子データを標準化します。
knnMdl = fitcknn(Xtrain,Ytrain, ...
NumNeighbors=5,Standardize=1)
knnMdl = ClassificationKNN ResponseName: 'Y' CategoricalPredictors: [] ClassNames: {'setosa' 'versicolor' 'virginica'} ScoreTransform: 'none' NumObservations: 120 Distance: 'euclidean' NumNeighbors: 5
knnMdl
は学習させたClassificationKNN
モデルです。
テスト セットの分類精度を計算して、テスト セットで分類器の性能を評価します。
testError = loss(knnMdl,Xtest,Ytest,LossFun="classiferror");
testAccuracy = 1 - testError
testAccuracy = 0.9333
Simulink モデルの作成
ClassificationKNN Predictブロックを使用して新しいモデルを作成します。新しい Simulink モデルを作成するには、[空のモデル] テンプレートを開き、Statistics and Machine Learning Toolbox™ ライブラリから ClassificationKNN Predict ブロックを追加します。
ClassificationKNN Predict ブロックをダブルクリックして、[ブロック パラメーター] ダイアログ ボックスを開きます。モデルを含むワークスペース変数の名前を指定することにより、学習済みの ClassificationKNN
モデルをブロックにインポートします。既定の変数名は knnMdl
です。これは、コマンド ラインで学習させたモデルです。
[更新] ボタンをクリックして、ダイアログ ボックス内の学習済みモデルの設定を更新します。ダイアログ ボックスの [Trained Machine Learning Model] セクションに、モデル knnMdl
の学習に使用されるオプションが表示されます。[Add output port for predicted class scores] チェック ボックスと [Add output port for expected classification cost] チェック ボックスをオンにして、ブロックに 2 番目 ("score") と 3 番目 ("cost") の出力端子を追加します。
Inport ブロックを 1 つと Outport ブロックを 3 つ追加して、それらを ClassificationKNN Predict ブロックの入力と出力に接続します。
4 個の予測子変数をもつデータ セットを使用してモデルに学習させたため、ClassificationKNN Predict ブロックには 4 個の予測子の値を含む観測値が必要です。Inport ブロックをダブルクリックし、[信号属性] タブで [端子の次元] を 4 に設定します。出力信号を入力信号と同じ長さに指定するには、[実行] タブで [サンプル時間] を 1 に設定します。
Simulink モデルの構造体配列の形式で、入力信号を作成します。構造体配列には、次のフィールドが含まれていなければなりません。
time
— 観測値がモデルに入力された時点。方向は予測子データ内の観測値に対応しなければなりません。この例の場合はtime
が列ベクトルでなければなりません。signals
—values
フィールドとdimensions
フィールドが含まれている、入力データを説明する 1 行 1 列の構造体配列。values
は予測子データの行列、dimensions
は予測子変数の個数です。
将来の予測用に適切な構造体配列を作成します。詳細については、時間付き構造体 (Simulink)を参照してください。
modelInput.time = (0:length(Ytest)-1)'; modelInput.signals(1).values = Xtest; modelInput.signals(1).dimensions = size(Xtest,2);
ワークスペースから信号データをインポートします。
[コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスを開く。[モデル化] タブで、[モデル設定] をクリック。
[コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスの左側で、[データのインポート/エクスポート] をクリックします。次に、[入力] チェック ボックスをオンにし、隣のテキスト ボックスに「
modelInput
」と入力します。左側で [ソルバー] をクリックします。[シミュレーション時間] で、[終了時間] を
modelInput.time(end)
に設定します。[ソルバーの選択] で、[タイプ] をFixed-step
に、[ソルバー] をdiscrete (no continuous states)
に設定。
詳細は、シミュレーションのための信号データの読み込み (Simulink)を参照してください。
Outport 1 ブロックをクリックし、ブロック名を label
に設定します。同様に、Outport 2 と Outport 3 のブロック名をそれぞれ score
と cost
に変更します。
指定されたモデルを開く
新しいモデルを作成する代わりに、用意されている Simulink モデル slexClassificationKNNPredictExample.slx
を開くことができます。このモデルに ClassificationKNN Predict ブロックが含まれています。このモデルにアクセスするには、例をライブ スクリプトとして開く必要があります。
Simulink モデル slexClassificationKNNPredictExample.slx
を開きます。
SimMdlName = "slexClassificationKNNPredictExample";
open_system(SimMdlName)
Simulink モデルを開くと、Simulink モデルを読み込む前に、ソフトウェアがコールバック関数 PreLoadFcn
のコードを実行します。slexClassificationKNNPredictExample
のコールバック関数 PreLoadFcn
には、学習済みモデルの変数 knnMdl
がワークスペースにあるかどうかをチェックするコードが含まれています。ワークスペースに変数がない場合、PreLoadFcn
は標本データを読み込み、最近傍モデルに学習させ、Simulink モデルの入力信号を作成します。コールバック関数を表示するには、[モデル化] タブの [設定] セクションで、[モデル設定] をクリックし、[モデル プロパティ] を選択します。次に、[コールバック] タブで、[モデルのコールバック] ペインのコールバック関数 PreLoadFcn
を選択します。
Simulink モデルのシミュレート
Simulink モデルをシミュレートし、シミュレーション出力をワークスペースにエクスポートします。Inport ブロックでは、観測値を検出すると、その観測値を ClassificationKNN Predict ブロックに配置します。シミュレーション データ インスペクター (Simulink)を使用して、Outport ブロックのログ データを表示できます。
simOut = sim(SimMdlName)
simOut = Simulink.SimulationOutput: tout: [30x1 double] yout: [1x1 Simulink.SimulationData.Dataset] SimulationMetadata: [1x1 Simulink.SimulationMetadata] ErrorMessage: [0x0 char]
シミュレートされた分類ラベルを調べます。
outputs = simOut.yout;
sim_label = outputs.get("label").Values.Data;
真のラベル (Ytest
) と Simulink モデルによって予測されたラベル (sim_label
) から混同行列チャートを作成します。
confusionchart(string(Ytest),string(sim_label))
対角線上の値が大きい場合は、対応するクラスについての予測が正確であることを示します。
参考
ClassificationKNN Predict | ClassificationKNN
| fitcknn