運動検出
Simscape™ Multibody™ では、2 つの座標系間の空間関係を、2 つのタイプのブロックを使用して検出できます。
Transform Sensor — モデルにある任意の 2 つの座標系の間に成り立つ空間関係を検出します。このブロックを使用して検出できるパラメーターには、線形または角度タイプの位置、速度、加速度があります。このブロックは、Simscape Multibody ライブラリで最も幅広い運動検出機能を提供します。
ジョイント ブロック — ジョイント ブロックの base 座標系と follower 座標系の間に成り立つ空間関係を検出します。ジョイント ブロックで検出できるパラメーターには、各ジョイント プリミティブの位置と最初の 2 つの時間微分 (速度と加速度) が含まれます。
これらのブロックは、指定する測定ごとに物理量信号を出力します。これらのブロックの検出出力を、解析用に、あるいはモデルの制御システムへの入力として使用できます。
ジョイント座標系間の空間関係の検出
ジョイント ブロックの base 座標系と follower 座標系間の空間関係を検出するために、ジョイント ブロック自体を使用できます。各ジョイント プリミティブのダイアログ ボックスの [Sensing] メニューには、測定可能な基本パラメーターがあります。これらのパラメーターには、base 座標系に対する follower 座標系の位置、速度、加速度が含まれます。検出するパラメーターがダイアログ ボックスの検出メニューにない場合は、代わりに Transform Sensor ブロックを使用してください。任意の座標系間に成り立つ空間関係の検出を参照してください。
ジョイント ブロックの検出機能は、そのジョイント ブロックの base 座標系と follower 座標系に限定されます。すべての測定では、ジョイントの follower 座標系のパラメーター値を、ジョイントの base 座標系に対して提供します。球面ジョイント プリミティブを使用して空間関係を検出する場合は、測定を解決する座標系も選択できます。それ以外の 2 つの座標系間における空間関係を検出するには、代わりに Transform Sensor ブロックを使用してください。
ジョイント プリミティブが回転または球面タイプである場合、パラメーターはそれぞれ回転角、角速度、角加速度に対応します。ジョイント プリミティブが直進タイプである場合、パラメーターはそれぞれオフセット距離、線形速度、線形加速度に対応します。
ジョイント プリミティブのタイプにかかわらず、選択するそれぞれのパラメーターは、そのパラメーターが属するジョイント プリミティブにのみ適用されます。たとえば、[Z Revolute Primitive (Rz)] 、 [Sensing] メニューで [Position] を選択すると、base 座標系に対する follower 座標系の、"base 座標系の Z 軸を中心とした" 回転角を出力する物理量信号端子が表示されます。
次の表に、ジョイント ブロックを使用して検出可能な各パラメーターの端子ラベルを示します。表の最初の列は、選択可能なパラメーターを示します。残りの 3 列は、ダイアログ ボックスに表示される可能性のある 3 つのジョイント プリミティブ メニュー、[Spherical]、[Revolute]、[Prismatic] の端子ラベルを示します。
メモ
パラメーターの説明については、Spherical Joint、Revolute Joint、および Prismatic Joint の各ブロックのリファレンス ページを参照してください。
パラメーター | Spherical | Revolute | Prismatic |
---|---|---|---|
Position | Q | q | p |
Velocity | w | w | v |
Velocity (X/Y/Z) | wx/wy/wz | N/A | N/A |
Acceleration | b | b | a |
Acceleration (X/Y/Z) | bx/by/bz | N/A | N/A |
1 つのジョイント ブロックには、複数の回転および直進ジョイント プリミティブが含まれることがあります。同じタイプのプリミティブを複数含むブロックについては、端子ラベルにジョイント プリミティブの軸を示す追加の英文字が含まれます。たとえば、Cartesian Joint ブロックの Z 直進プリミティブの [Position] 端子ラベルは pz です。
検出するジョイント パラメーターの選択
検出する空間関係のパラメーターを選択するには、次を行います。
空間関係を検出する対象となるジョイント ブロックのダイアログ ボックスを開きます。
ブロックのダイアログ ボックスの [Sensing] メニューで、検出するパラメーターを選択します。
ブロックに選択したパラメーターごとに 1 つの物理量信号端子が表示されます。各端子のラベルによって、端子が出力するパラメーターが示されます。
任意の座標系間に成り立つ空間関係の検出
モデルにある 2 つの任意の座標系間に成り立つ空間関係を検出するには、Transform Sensor ブロックを使用します。このブロックのダイアログ ボックスには、検出するパラメーターの選択に使用できる一連のメニューが表示されます。パラメーターには、線形および角度タイプの位置、速度、加速度があります。
すべての測定では、follower 座標系のパラメーター値を、base 座標系に対して提供します。値は選択した測定座標系で解決されます。Transform Sensor ブロックの base 座標系端子と follower 座標系端子を、モデルにある任意の 2 つの座標系に接続できます。別の座標系のパラメーターを測定するには、follower 座標系端子を、その座標系を特定する座標系ラインまたは座標系端子に接続します。同様に、同じ座標系のパラメーターを別の座標系に対して測定するには、base 座標系端子を、その座標系を示す座標系ラインまたは座標系端子に接続します。最後に、測定値を別の座標系で解決するには、ブロックのダイアログ ボックスで別の測定座標系を選択します。測定座標系の詳細については、測定座標系の選択を参照してください。座標系ラインと座標系端子の詳細については、座標系の取り扱いを参照してください。
ブロックのダイアログ ボックスでパラメーターを選択すると、対応するブロックの物理量信号端子が表示されます。この端子を使用して、そのパラメーターの測定値を出力します。各パラメーターに関連付けられた端子を特定するため、各端子では固有のラベルを使用します。
次の表に、検出可能な各角度パラメーターに対する端子ラベルを示します。表の最初の列は、選択可能なパラメーターを示します。残りの 3 列は、ダイアログ ボックスにある 3 つの角度パラメーター メニュー、[Rotation]、[Angular Velocity]、[Angular Acceleration] の端子ラベルを示します。パラメーターによっては、1 つのメニューにはあり、他のメニューにはないものもあります。「N/A」は、パラメーターがそのメニューにないことを示します。たとえば、[Angular Velocity] には [Angle] はありません。
メモ
パラメーターの説明については、Transform Sensor のリファレンス ページを参照してください。
パラメーター | Rotation | Angular Velocity | Angular Acceleration |
---|---|---|---|
Angle | q | N/A | N/A |
Axis | axs | N/A | N/A |
Quaternion | Q | Qd | Qdd |
Transform | R | Rd | Rdd |
Omega X/Omega Y/Omega Z | N/A | wx/wy/wz | N/A |
Alpha X/Alpha Y/Alpha Z | N/A | N/A | bx/by/bz |
次の表に、検出可能な各線形パラメーターに対する端子ラベルを示します。前の表と同様に、最初の列は選択可能なパラメーターを示します。残りの 3 列は、ダイアログ ボックスにある 3 つの線形パラメーター メニュー、[Translation]、[Velocity]、[Acceleration] の端子ラベルを示します。
パラメーター | Rotation Port | Angular Velocity Port | Angular Acceleration Port |
---|---|---|---|
X/Y/Z | x/y/z | vx/vy/vz | ax/ay/az |
Radius | rad | vrad | arad |
Azimuth | azm | vazm | aazm |
Distance | dst | vdst | adst |
Inclination | inc | vinc | ainc |
検出する Transform Sensor パラメーターの選択
検出する空間関係のパラメーターを選択するには、次を行います。
Transform Sensor のダイアログ ボックスを開きます。
対象のパラメーターが属するパラメーター グループのメニューを展開します。
例: [Angle] パラメーターの場合は、[Rotation]。
そのパラメーターのチェック ボックスを選択します。
ブロックに選択したパラメーターごとに 1 つの物理量信号端子が表示されます。各端子のラベルによって、端子が出力するパラメーターが示されます。