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gearMeshFaultBands

スペクトル特徴抽出用に噛み合うギアの故障特性周波数周辺の周波数帯域を構成

R2019b 以降

説明

FB = gearMeshFaultBands(FR,Ni,No) は、入力ギアの回転速度 FR、入力ギアの歯数 Ni、および出力ギアの歯数 No を使用して、ギアの噛み合いの故障特性周波数帯域 FB を生成します。FB の値は FR と同じ暗黙的な単位をもちます。

FB = gearMeshFaultBands(___,Name,Value) では、1 つ以上の名前と値のペアの引数を使用して追加のパラメーターを指定できます。

[FB,info] = gearMeshFaultBands(___) は、生成された故障周波数帯域 FB に関する情報を含む構造体 info も返します。

出力引数のない gearMeshFaultBands(___) は、生成された故障周波数帯域 FB の棒グラフをプロットします。

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この例では、入力シャフトの 8 歯のピニオンが出力シャフトの 42 歯の平ギアと噛み合う簡単なギア セットについて考えます。入力シャフトは 20 rpm で回転するものと仮定します。ギア セットの物理的特性を使用してギアの噛み合いの周波数帯域を構成します。

Ni = 8;
No = 42;
FR = 20;
[FB,info] = gearMeshFaultBands(FR,Ni,No)
FB = 5×2

   19.0000   21.0000
    2.8095    4.8095
   79.0000   81.0000
  159.0000  161.0000
  159.0000  161.0000

info = struct with fields:
        Centers: [20 3.8095 80 160 160]
    FaultGroups: [1 2 3 4 5]
         Labels: {'1Fi'  '1Fo'  '1Fa'  '1Fm'  '1Fm'}

FB は一次周波数 1Fi1Fo1Fa、および 1Fm をそれぞれ含む 5 行 2 列の配列になります。構造体 info には、FB の各周波数範囲の中心周波数とラベルが格納されます。

この例では、入力シャフトの 8 歯のピニオンが出力シャフトの 42 歯の平ギアと噛み合う簡単なギア セットについて考えます。入力シャフトは 20 Hz で駆動されるものと仮定します。データセット motorSignal.mat には、1500 Hz でサンプリングされたギアの噛み合いの振動データが格納されています。

まず、ギア セットの物理的特性を使用してギアの噛み合いの周波数帯域を構成します。最初の 3 つの側波帯を含めて周波数帯域を構成します。

Ni = 8;
No = 42;
FR = 20;
FB = gearMeshFaultBands(FR,Ni,No,'Sidebands',1:3)
FB = 15×2

   19.0000   21.0000
    2.8095    4.8095
   79.0000   81.0000
   99.0000  101.0000
  119.0000  121.0000
  139.0000  141.0000
  179.0000  181.0000
  199.0000  201.0000
  219.0000  221.0000
  147.5714  149.5714
      ⋮

FB は一次周波数とそれらの側波帯を含む 15 行 2 列の配列になります。

振動データを読み込み、pspectrum を使用して PSD と周波数グリッドを計算します。周波数分解能には 0.5 を使用します。

load('motorSignal.mat','C');
fs = 1500;
[psd,freqGrid] = pspectrum(C,fs,'FrequencyResolution',0.5);

次に、周波数帯域と PSD データを使用してスペクトル メトリクスを計算します。

spectralMetrics = faultBandMetrics(psd,freqGrid,FB)
spectralMetrics=1×46 table
    PeakAmplitude1    PeakFrequency1    BandPower1    PeakAmplitude2    PeakFrequency2    BandPower2    PeakAmplitude3    PeakFrequency3    BandPower3    PeakAmplitude4    PeakFrequency4    BandPower4    PeakAmplitude5    PeakFrequency5    BandPower5    PeakAmplitude6    PeakFrequency6    BandPower6    PeakAmplitude7    PeakFrequency7    BandPower7    PeakAmplitude8    PeakFrequency8    BandPower8    PeakAmplitude9    PeakFrequency9    BandPower9    PeakAmplitude10    PeakFrequency10    BandPower10    PeakAmplitude11    PeakFrequency11    BandPower11    PeakAmplitude12    PeakFrequency12    BandPower12    PeakAmplitude13    PeakFrequency13    BandPower13    PeakAmplitude14    PeakFrequency14    BandPower14    PeakAmplitude15    PeakFrequency15    BandPower15    TotalBandPower
    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    ______________    ______________    __________    _______________    _______________    ___________    _______________    _______________    ___________    _______________    _______________    ___________    _______________    _______________    ___________    _______________    _______________    ___________    _______________    _______________    ___________    ______________

      0.0054125             19          0.0051216        0.55167             4.25          0.41848        0.0022699             81          0.0029792       0.0012756           99.438        0.0019134       0.0023457           119.25        0.0032812       0.0030216           139.75        0.0036398       0.0015424           180.06        0.0021249       0.0023163           200.81        0.0029269        0.013511            221           0.012079        0.0037697           148.06          0.003914         0.0020528           151.56          0.0025637        0.0021721            156.5          0.0022927        0.0020822           162.81          0.0015729        0.0015305           168.25          0.001575         0.0010234           170.44          0.0013135        0.46577    

spectralMetrics は、FB の各周波数範囲の計算されたピーク振幅、ピーク周波数、および帯域パワーを含む 1 行 46 列の table になります。spectralMetrics の最後の列は、FB の 15 個のすべての周波数全体で計算された合計帯域パワーです。

この例では、入力シャフトの回転数が 1800 rpm である簡単なピニオンとギアのセットについて考えます。入力シャフトのピニオンの歯数を 6、出力シャフトのギアの歯数を 8 として、ギアの噛み合いの周波数帯域を可視化します。

FR = 1800;
Ni = 6;
No = 8;
gearMeshFaultBands(FR,Ni,No)

Figure contains an axes object. The axes object with title Fault Frequency Bands, xlabel Frequency contains 10 objects of type patch, text.

プロットから、次のことがわかります。

  • 出力シャフトの欠陥周波数 1Fo は 1350 Hz

  • 入力シャフトの欠陥周波数 1Fi は 1800 Hz

  • アセンブリ位相の欠陥周波数 1Fa は 5400 Hz

  • ギアの噛み合いの欠陥周波数 1Fm は 10800 Hz

入力引数

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入力ギアの回転速度。正のスカラーとして指定します。FR は、gearMeshFaultBands で周辺の故障周波数帯域を生成する基本周波数です。FR はヘルツまたは 1 分あたりの回転数で指定します。

入力ギアの歯数。正の整数として指定します。

出力ギアの歯数。正の整数として指定します。

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペア自体は順不同で構いません。

R2021a 以前は、名前と値をそれぞれコンマで区切り、 Name を引用符で囲みます。

例: ...,'Harmonics',[1,3,5]

含められる基本周波数の高調波。'Harmonics' と正の整数のベクトルで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。既定値は 1 です。'Harmonics' は、基本周波数の高調波をさらに含めて周波数帯域を構成する場合に指定します。

含められる基本周波数とその高調波の周辺の側波帯。'Sidebands' と非負の整数のベクトルで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。既定値は 0 です。'Sidebands' は、基本周波数とその高調波の周辺の側波帯を含めて周波数帯域を構成する場合に指定します。

定格故障周波数を中心とする周波数帯域幅。'Width' と正のスカラーで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。既定値は基本周波数の 10% です。故障帯域がオーバーラップしないように、'Width' で大きな値を指定することは避けてください。

故障帯域周波数の単位。'Domain' と 'frequency' または 'order' のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。次のように選択します。

  • FBFR と同じ単位で返す場合は 'frequency'

  • FB を内輪の回転数 FR に対する相対的な回転数として返す場合は 'order'

負の定格故障周波数を周波数原点で折り返す必要があるかどうかを指定する logical 値。'Folding' と true または false のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。'Folding' を true に設定すると、faultBands は負の定格故障周波数の絶対値を取得して周波数原点で折り返し、折り返された故障帯域が常に正の周波数範囲に収まるようにします。折り返された故障帯域は [max(0, |F|W2), |F|+W2] として計算されます。ここで、W は名前と値のペア 'Width'、F はいずれかの定格故障周波数です。

出力引数

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故障周波数帯域。Nx2 の配列として返されます。ここで、N は故障周波数の数です。FBFR と同じ単位で返されます。ヘルツまたは次数のいずれかになります。生成された故障周波数帯域から、faultBandMetrics を使用してスペクトル メトリクスを抽出します。生成された故障帯域 [FW2, F+W2] の中心は、次の欠陥特性周波数とその高調波および側波帯になります。

  • 入力シャフトの欠陥周波数 Fi

  • 出力シャフトの欠陥周波数 Fo

  • ギアの噛み合いの欠陥周波数 Fm

  • アセンブリ位相パスの欠陥周波数 Fa

側波帯を指定すると、gearMeshFaultBands は入力シャフトと出力シャフトの欠陥周波数に対する側波帯を次のように計算します。

  • 入力ギアの欠陥の故障周波数帯域とその高調波および Fi の最初の側波帯

  • 出力ギアの欠陥の故障周波数帯域とその高調波および Fo の最初の側波帯

gearMeshFaultBands は負の故障周波数帯域については自動的に切り捨てて、警告メッセージを生成します。

W は周波数帯域の幅です。名前と値のペア 'Width' を使用して指定できます。

FB の故障周波数帯域に関する情報。次のフィールドをもつ構造体として返されます。

  • Centers — 中心の故障周波数

  • Labels — それぞれの周波数を示すラベル

  • FaultGroups — 周波数の数と等しい故障グループ番号

アルゴリズム

gearMeshFaultBands は、それぞれの故障特性周波数を次のように計算します。

  • 入力シャフトの欠陥周波数 Fi=FR

  • 出力シャフトの欠陥周波数 Fo=NiNoFR

  • ギアの噛み合いの欠陥周波数 Fm=NiFR=NoFo

  • アセンブリ位相パスの欠陥周波数 Fa=Fmgcd(Ni,No)

参照

[1] Lang, George Fox. “S&V geometry 101.” Sound and Vibration 33 (1999): 16-26.

バージョン履歴

R2019b で導入