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スペクトル特徴の抽出

ライブ エディターでスペクトルの故障帯域のメトリクスを対話的に抽出

R2021a 以降

説明

[スペクトル特徴の抽出] タスクでは、スペクトルの故障帯域のメトリクスを対話的に抽出できます。このタスクは、スペクトル データの解析と理解に役立ちます。包括的なインターフェイスを使用することで、さまざまなベアリング、ギアの噛み合い、あるいはハードウェア セットアップの他の部分を表すコンポーネントを追加することができます。

これらコンポーネントの物理パラメーターを設定すると、[スペクトル特徴の抽出] ライブ エディター タスクによって、コンポーネントの特性周波数での故障周波数帯域がプロットされます。パワー スペクトル データを故障帯域のプロットに重ね合わせて、データのさまざまなピークを、コンポーネントの特性周波数と関連付けることができます。これらの相関では、パワー スペクトル データの変化を、その原因となっている物理コンポーネントまで簡単に遡ることができるため、故障検出と故障特定が行いやすくなります。さらに、高調波と側波帯をタスクで自動特定することもできます。

タスクでは特性周波数とパワー スペクトル データのプロットに加えて、各特性周波数帯域内でデータのスペクトル メトリクスが生成されます。各帯域のピーク振幅、ピーク周波数、および帯域パワーが格納された出力メトリクスの table は、潜在的な機械的故障を特徴付けるのに役立ちます。このタスクは、ライブ スクリプト用の MATLAB® コードを自動生成します。ライブ エディター タスク全般の詳細については、ライブ スクリプトへの対話型タスクの追加を参照してください。

Extract Spectral Features task in Live Editor

タスクを開く

MATLAB エディターでライブ スクリプトに [スペクトル特徴の抽出] タスクを追加するには、次を行います。

  1. [ライブ エディター] タブで、[タスク][スペクトル特徴の抽出] を選択します。

  2. スクリプトのコード ブロック内で、「fault bands」や「metrics」などの関連するキーワードを入力します。コマンドの補完候補から [スペクトル特徴の抽出] を選択します。

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インポートされた信号の高調波と側波帯を自動的に特定するには、[スペクトル特徴の抽出] を使用します。

データ TVel を読み込みます。Tvel はマシンの結合された振動信号を含む timetable です。

load velocity_data TVel

[データ型]Time-Domain を指定し、Tvel をインポートします。

タスクによりパワー スペクトルが計算され、プロットされます。

このタスクでは、シャフトなどのマシン コンポーネントを表す個々のコンポーネントを追加できます。ここでは、すべてのコンポーネントの振動データが TVel 信号で結合されています。マシンを表す単一のカスタム コンポーネントを追加します。

周波数、高調波、側波帯に関する情報を手動で指定できます。また、[自動] をクリックして、タスクで値を自動計算することもできます。

このプロットには高調波と側波帯が示されていますが、これらは主要ピークに対して適切にグループ化されていません。

青色のラインで示されている、このコンポーネントの検出レベルは、約 -25 dB です。[検出レベル] スライダーを使用して、レベルを約 -10 dB に移動します。あるいは、プロットの青色のラインをクリックし、ドラッグして上に移動できます。

主要ピークに対して、帯域のグループ化が多少改善されます。

コンポーネント セクションの右矢印をクリックして、高調波を順に切り替えます。

この周波数帯域のセットは、ほとんどの主要ピークと明らかに合致していますが、低周波数のピークが除外されています。

低周波数領域の故障帯域をキャプチャするための新しいコンポーネントを追加します。[自動] を選択し、検出レベルを上げます。

新しいコンポーネントで高調波を順に切り替えて、低次高調波を見つけます。

タスクにより、スペクトル メトリクスが表示されます。

生成されたコードを表示するには、[コードの表示] をクリックします。

関連する例

パラメーター

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データの選択

タスクでは、パワー スペクトルと時間領域データの両方の形式のデータが受け入れられます。時間領域データには、数値か、timetable にパッケージ化されたものを使用できます。

選択したデータ型により、指定する必要がある追加パラメーターが決まります。

  • パワー スペクトル[周波数] ベクトルと [振幅] ベクトルの変数名を指定します。変数は MATLAB ワークスペース内に既に存在していなければなりません。

  • 時間領域 — 次のパラメーターを指定します。

    • 信号 — 信号の変数名。

    • 変数 — timetable データの場合、信号を表す timetable 変数。

    • サンプリング レート — Hz 単位のサンプリング レート。timetable データの場合、タスクによりサンプリング レートが自動的に抽出されます。

    • 分解能 — スペクトル分解能。このパラメーターにより、近傍のスペクトル ピークを分離するためのウィンドウ処理が原因で発生するスペクトル漏れをトレードオフできます。

コンポーネントの構成

ベアリング、ギアの噛み合い、またはカスタム コンポーネントのいずれかの追加を選択します。コンポーネントに名前を付けることができ、その後 [追加] ボタンをクリックします。これらのコンポーネントの物理的特性を、対応するパラメーターを使用して設定できます。カスタム コンポーネントでは、高調波と側波帯をタスクで自動計算することができます。[スペクトル特徴の抽出] ライブ エディター タスクによって、コンポーネントの特性周波数での故障周波数帯域がプロットされます。

ベアリング コンポーネントのパラメーター

このオプションを切り替えて、コンポーネントをスペクトル メトリクスの計算対象として有効または無効にできます。コンポーネントを無効にすると、その故障帯域もプロットから削除されます。コンポーネントを完全に削除するには、[削除] ボタンを使用します。

ベアリングの転動体の数を正の整数として指定します。

ベアリングのピッチの直径を正のスカラーとして指定します。ピッチの直径は、ベアリング回転時にボールまたはローラーの中心が通る円の直径です。

ベアリングのシャフトまたは内輪の回転速度を正のスカラーとして指定します。回転速度は、[スペクトル特徴の抽出] ライブ タスクで周辺の故障周波数帯域を生成する基本周波数です。単位は周波数ベクトルの単位と一致していなければなりません。

ボールまたはローラーの軸に対して垂直な平面と 2 つの軌道を結ぶ線との間の接触角 (度単位) を指定します。

ベアリングのボールまたはローラーの直径を正のスカラーとして指定します。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数の高調波を指定します。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数とその高調波の周辺の側波帯を指定します。

故障帯域周波数の単位を 'frequency' または 'order' のいずれかとして指定します。次のように選択します。

  • 故障帯域を [回転速度] と同じ単位にする場合は 'frequency'

  • 故障帯域を内輪の回転の [回転速度] に対する相対的な回転数とする場合は 'order'

定格故障周波数を中心とする周波数帯域幅を正のスカラーとして指定します。幅の値を手動で指定するには、[自動] オプションをオフにします。

ギアの噛み合いコンポーネントのパラメーター

このオプションを切り替えて、コンポーネントをスペクトル メトリクスの計算対象として有効または無効にできます。コンポーネントを無効にすると、その故障帯域もプロットから削除されます。コンポーネントを完全に削除するには、[削除] ボタンを使用します。

入力ギアの歯数を正の整数として指定します。

出力ギアの歯数を正の整数として指定します。

入力ギアの回転速度を正のスカラーとして指定します。回転速度は、[スペクトル特徴の抽出] ライブ タスクで周辺の故障周波数帯域を生成する基本周波数です。単位は周波数ベクトルの単位と一致していなければなりません。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数の高調波を指定します。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数とその高調波の周辺の側波帯を指定します。

故障帯域周波数の単位を 'frequency' または 'order' のいずれかとして指定します。次のように選択します。

  • 故障帯域を [回転速度] と同じ単位にする場合は 'frequency'

  • 故障帯域を [回転速度] に対する相対的な回転数とする場合は 'order'

定格故障周波数を中心とする周波数帯域幅を正のスカラーとして指定します。幅の値を手動で指定するには、[自動] オプションをオフにします。

カスタム コンポーネントのパラメーター

このオプションを切り替えて、コンポーネントをスペクトル メトリクスの計算対象として有効または無効にできます。コンポーネントを無効にすると、その故障帯域もプロットから削除されます。コンポーネントを完全に削除するには、[削除] ボタンを使用します。

スペクトル ピークの調和的に関連するグループについて高調波と側波帯の値を自動計算します。矢印を使用して、周波数グループの各セットを順に切り替えます。

[検出レベル] を使用して、検出のしきい値を上げ下げし、高調波が主要ピークと合致するように制御します。さらに、スペクトル プロット内の検出ラインをドラッグすることにより検出レベルを変更することもできます。

対象となる基本周波数を正のスカラーとして指定します。[スペクトル特徴の抽出] ライブ タスクは、基本周波数の周辺の故障周波数帯域を構成します。たとえば、故障した誘導モーターの故障帯域を構成するには、60 Hz の電源周波数が対象の基本周波数になります。同様に、故障したギア列の故障帯域を生成するには、入力シャフトの周波数が基本周波数になります。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数の高調波を指定します。

プロットとスペクトル メトリクスの計算に含める基本周波数とその高調波の周辺の側波帯を指定します。

連続する側波帯間の分離のタイプを 'additive' または 'multiplicative' のいずれかとして指定します。次のように選択します。

  • 連続する側波帯間の分離を F1 周波数値の 0.1 倍の値に設定する場合は 'additive'。ここで、F1 は基本周波数から最初の側波帯までの距離です。

  • 連続する側波帯間の分離を高調波次数と側波帯値の両方に比例するように設定する場合は 'multiplicative'

連続する側波帯間の分離値を正のスカラーとして指定します。分離値を手動で指定するには、[自動] オプションをオフにします。

定格故障周波数を中心とする周波数帯域幅を正のスカラーとして指定します。幅の値を手動で指定するには、[自動] オプションをオフにします。

このオプションを切り替えて、負の定格故障周波数を周波数原点で折り返すかどうかを指定します。[折りたたみ]on にすると、[スペクトル特徴の抽出] ライブ タスクは負の定格故障周波数の絶対値を取得して周波数原点で折り返し、折り返された故障帯域が常に正の周波数範囲に収まるようにします。折り返された故障帯域は [max(0, |F|W2), |F|+W2] として計算されます。ここで、"W"[帯域幅]"F"[周波数] です。

結果の表示

このオプションを切り替えて、スペクトル メトリクスの表示を有効または無効にします。このオプションをオンにすると、[スペクトル特徴の抽出] ライブ タスクではメトリクスが 1N 列の table として表示されます。ここで、N = 3*size((F+S),1)+1 です。つまり、周波数範囲ごとに 3 つのメトリクスと周波数範囲全体の合計帯域パワーが表示されます。

ライブ タスクは次のスペクトル メトリクスを返します。

  • Peak Amplitude — 指定した各周波数範囲のピーク振幅値。

  • Peak Frequency — 指定した各周波数範囲のピーク周波数値。

  • Band Power — 指定した各周波数範囲の平均パワー。帯域パワーの詳細については、bandpower を参照してください。

  • Total Band Power — 指定した一連の周波数範囲における個々の帯域パワーの合計。

バージョン履歴

R2021a で導入

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