huber
構文
説明
Huber 演算は、回帰タスクのネットワーク予測とターゲット値の間の Huber 損失を計算します。'TransitionPoint'
オプションが 1 の場合、これは "滑らかな L1 損失" とも呼ばれます。
関数 huber
は、dlarray
データを使用して Huber 損失を計算します。dlarray
オブジェクトを使用すると、次元にラベルを付けることができるため、高次元のデータをより簡単に扱うことができます。たとえば、"S"
、"T"
、"C"
、"B"
のラベルを使用して、各次元が空間、時間、チャネル、バッチのどの次元に対応するかを示すことができます。特に指定がないその他の次元については、ラベル "U"
を使用します。特定の次元に対して演算を行うオブジェクト関数 dlarray
の場合、dlarray
オブジェクトの形式を直接整えるか、DataFormat
オプションを使用することで、次元ラベルを指定できます。
は、予測を含む形式を整えた loss
= huber(Y
,targets
)dlarray
オブジェクト Y
と回帰タスクのターゲット値 targets
との間の Huber 損失を返します。入力 Y
は形式を整えた dlarray
です。出力 loss
は、形式を整えていない dlarray
スカラーです。
形式を整えていない入力データの場合は、'DataFormat'
オプションを使用します。
Y
が、形式を整えていない dlarray
である場合、
は、次元形式 loss
= huber(___,'DataFormat',FMT)FMT
も指定します。
は、前の構文の入力引数に加えて、1 つ以上の名前と値のペアの引数を使用してオプションを指定します。たとえば、loss
= huber(___,Name,Value
)'NormalizationFactor','all-elements'
は、縮小された損失を入力要素の数で除算して損失を正規化することを指定します。
例
Huber 損失
10 個の応答に関する 12 個の観測値の予測から成る配列を作成します。
numResponses = 10;
numObservations = 12;
Y = rand(numResponses,numObservations);
dlY = dlarray(Y,'CB');
予測のサイズと形式を表示します。
size(dlY)
ans = 1×2
10 12
dims(dlY)
ans = 'CB'
ランダムなターゲットの配列を作成します。
targets = rand(numResponses,numObservations);
ターゲットのサイズを表示します。
size(targets)
ans = 1×2
10 12
予測とターゲットとの間の Huber 損失を計算します。
loss = huber(dlY,targets)
loss = 1x1 dlarray 0.7374
パディングされたシーケンスのマスクされた Huber 損失
10 個の応答に関するさまざまな長さの 12 個のシーケンスに対して、予測とターゲットから成る配列を作成します。
numResponses = 10; numObservations = 12; maxSequenceLength = 15; sequenceLengths = randi(maxSequenceLength,[1 numObservations]); Y = cell(numObservations,1); targets = cell(numObservations,1); for i = 1:numObservations Y{i} = rand(numResponses,sequenceLengths(i)); targets{i} = rand(numResponses,sequenceLengths(i)); end
予測とターゲットの cell 配列を表示します。
Y
Y=12×1 cell array
{10x13 double}
{10x14 double}
{10x2 double}
{10x14 double}
{10x10 double}
{10x2 double}
{10x5 double}
{10x9 double}
{10x15 double}
{10x15 double}
{10x3 double}
{10x15 double}
targets
targets=12×1 cell array
{10x13 double}
{10x14 double}
{10x2 double}
{10x14 double}
{10x10 double}
{10x2 double}
{10x5 double}
{10x9 double}
{10x15 double}
{10x15 double}
{10x3 double}
{10x15 double}
関数 padsequences
を使用して予測シーケンスとターゲット シーケンスを 2 次元でパディングし、対応するマスクも返します。
[Y,mask] = padsequences(Y,2); targets = padsequences(targets,2);
パディングされたシーケンスを 'CTB'
形式 (チャネル、時間、バッチ) の dlarray
に変換します。形式を整えた dlarray
オブジェクトは次元を自動的に並べ替えるため、ターゲットとマスクを同じ形式の、形式を整えた dlarray
オブジェクトに変換することによって、ターゲットとマスクの次元の一貫性を保ちます。
dlY = dlarray(Y,'CTB'); targets = dlarray(targets,'CTB'); mask = dlarray(mask,'CTB');
予測スコア、ターゲット、およびマスクのサイズを表示します。
size(dlY)
ans = 1×3
10 12 15
size(targets)
ans = 1×3
10 12 15
size(mask)
ans = 1×3
10 12 15
予測とターゲットとの間の Huber 損失を計算します。パディングから計算された損失値が損失に寄与しないようにするために、関数 padsequences
によって返されるマスクに 'Mask'
オプションを設定します。
loss = huber(dlY,targets,'Mask',mask)
loss = 1x1 dlarray 8.1834
入力引数
Y
— 予測
dlarray
| 数値配列
予測。形式を整えた dlarray
、形式を整えていない dlarray
、または数値配列として指定します。Y
が、形式を整えた dlarray
でない場合、DataFormat
オプションを使用して次元形式を指定しなければなりません。
Y
が数値配列の場合、targets
は dlarray
でなければなりません。
targets
— ターゲット応答
dlarray
| 数値配列
ターゲット応答。形式を整えた (または形式を整えていない) dlarray
、あるいは数値配列として指定します。
targets
の各次元のサイズは、Y
の対応する次元のサイズと一致していなければなりません。
targets
が、形式を整えた dlarray
の場合、その形式は Y
の形式と同じでなければなりません。Y
の形式を整えていない場合、その形式は DataFormat
の形式と同じでなければなりません。
targets
が、形式を整えていない dlarray
または数値配列の場合、関数は、Y
の形式または DataFormat
の値を targets
に適用します。
ヒント
形式を整えた dlarray
オブジェクトは、"S"
(空間)、"C"
(チャネル)、"B"
(バッチ)、"T"
(時間)、"U"
(指定なし) の順序となるように、基となるデータの次元を自動的に並べ替えます。さらに、Y
が、形式を整えた dlarray
の場合、Y
と targets
の次元が必ず一致するように、形式を整えた dlarray
として targets
を指定します。
weights
— 重み
dlarray
| 数値配列
重み。dlarray
または数値配列として指定します。
応答の重みを指定するには、サイズが Y
の 'C'
(チャネル) 次元と同じである 'C'
(チャネル) 次元をもつベクトルを指定します。形式を整えた dlarray
オブジェクトを使用するか、'WeightsFormat'
オプションを使用して、応答の重みの 'C'
(チャネル) 次元を指定します。
観測値の重みを指定するには、サイズが Y
の 'B'
(バッチ) 次元と同じである 'B'
(バッチ) 次元をもつベクトルを指定します。形式を整えた dlarray
オブジェクトを使用するか、'WeightsFormat'
オプションを使用して、クラス加重の 'B'
(バッチ) 次元を指定します。
入力の各要素の重みを個別に指定するには、Y
と同じサイズの配列として重みを指定します。この場合、weights
が、形式を整えていない dlarray
オブジェクトであれば、この関数は Y
と同じ形式を使用します。または、'WeightsFormat'
オプションを使用して加重形式を指定します。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで、Name
は引数名で、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
R2021a より前では、コンマを使用して名前と値をそれぞれ区切り、Name
を引用符で囲みます。
例: 'NormalizationFactor','all-elements'
は、縮小された損失を入力要素の数で除算して損失を正規化することを指定します。
TransitionPoint
— Huber 損失が線形関数に遷移する点
1 (既定値) | 正のスカラー
Huber 損失が二次関数から線形関数に遷移する点。'TransitionPoint'
と正のスカラーで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。
'TransitionPoint'
が 1 の場合、これは "滑らかな L1 損失" とも呼ばれます。
データ型: single
| double
| int8
| int16
| int32
| int64
| uint8
| uint16
| uint32
| uint64
Mask
— どの要素を損失の計算に含めるかを示すマスク
dlarray
| logical 配列 | 数値配列
どの要素を損失の計算に含めるかを示すマスク。dlarray
オブジェクト、logical 配列、または Y
と同じサイズの数値配列として指定します。
この関数は、入力データの要素を損失の計算に含めるかどうかを、マスク内の対応する値が 1 であるか 0 であるかによって決定します。
Mask
が、形式を整えた dlarray
オブジェクトである場合、その形式は Y
の形式と一致しなければなりません。Mask
が、形式を整えていない dlarray
オブジェクトである場合、この関数は Y
と同じ形式を使用します。
DataFormat
オプションを指定した場合、この関数は指定された形式もマスクに使用します。
Mask
の各次元のサイズは、Y
の対応する次元のサイズと一致していなければなりません。既定値は 1 から成る logical 配列です。
ヒント
形式を整えた dlarray
オブジェクトは、"S"
(空間)、"C"
(チャネル)、"B"
(バッチ)、"T"
(時間)、"U"
(指定なし) の順序となるように、基となるデータの次元を自動的に並べ替えます。たとえば、dlarray
オブジェクトは、形式が "TSCSBS"
であるデータの次元を "SSSCBT"
という形式になるように自動的に並べ替えます。
また、Y
が、形式を整えた dlarray
である場合、Y
とマスクの次元が必ず一致するように、形式を整えた dlarray
としてマスクを指定します。
NormalizationFactor
— 縮小された損失を正規化するための序数
"batch-size"
(既定値) | "all-elements"
| "mask-included"
| "none"
DataFormat
— データの次元の説明
文字ベクトル | string スカラー
データの次元の説明。文字ベクトルまたは string スカラーとして指定します。
データ形式は文字列で、各文字は対応するデータ次元のタイプを表します。
各文字は以下のとおりです。
"S"
— 空間"C"
— チャネル"B"
— バッチ"T"
— 時間"U"
— 指定なし
たとえば、シーケンスのバッチを含み、1 番目、2 番目、および 3 番目の次元がそれぞれチャネル、観測値、およびタイム ステップに対応する配列があるとします。この配列の形式を "CBT"
(チャネル、バッチ、時間) として指定できます。
"S"
または "U"
のラベルが付いた次元については、複数回指定できます。"C"
、"B"
、"T"
のラベルについては、1 回のみ使用できます。ソフトウェアは、2 番目の次元の後ろにある大きさが 1 の "U"
次元を無視します。
入力データが、形式を整えた dlarray
オブジェクトでない場合は、DataFormat
オプションを指定しなければなりません。
詳細については、Deep Learning Data Formatsを参照してください。
データ型: char
| string
WeightsFormat
— 重みの次元の説明
文字ベクトル | string スカラー
重みの次元の説明。文字ベクトルまたは string スカラーとして指定します。
データ形式は文字列で、各文字は対応するデータ次元のタイプを表します。
各文字は以下のとおりです。
"S"
— 空間"C"
— チャネル"B"
— バッチ"T"
— 時間"U"
— 指定なし
たとえば、シーケンスのバッチを含み、1 番目、2 番目、および 3 番目の次元がそれぞれチャネル、観測値、およびタイム ステップに対応する配列があるとします。この配列の形式を "CBT"
(チャネル、バッチ、時間) として指定できます。
"S"
または "U"
のラベルが付いた次元については、複数回指定できます。"C"
、"B"
、"T"
のラベルについては、1 回のみ使用できます。ソフトウェアは、2 番目の次元の後ろにある大きさが 1 の "U"
次元を無視します。
weights
が数値ベクトルで、Y
に大きさが 1 でない次元が 2 つ以上含まれている場合は、WeightsFormat
オプションを指定しなければなりません。
weights
がベクトルでない場合、または weights
と Y
がベクトルである場合、WeightsFormat
の既定値は Y
の形式と同じです。
詳細については、Deep Learning Data Formatsを参照してください。
データ型: char
| string
出力引数
アルゴリズム
Huber 損失
入力の各要素 Yj について、関数 huber
は次の式を使用して対応する要素ごとの損失値を計算します。
ここで、Tj は予測 Yj に対応するターゲット値であり、 は、損失が二次関数から線形関数に遷移する遷移点です。
遷移点が 1 の場合、これは "滑らかな L1 損失" とも呼ばれます。
その後、この関数は、損失値をスカラーに縮小するため、次の式を使用して要素ごとの損失を縮小します。
ここで、N は正規化係数、mj は要素 j のマスク値、wj は要素 j の重み値です。
損失を縮小しないことを選択した場合、この関数は、次のように損失値に対してマスクと重みを直接適用します。
深層学習配列の形式
深層学習のほとんどのネットワークと関数は、入力データの各次元に対して異なる方法で演算を行います。
たとえば、LSTM 演算は入力データの時間次元を反復処理し、バッチ正規化演算は入力データのバッチ次元を正規化します。
ラベルが付いた次元をもつ入力データ、または追加のレイアウト情報をもつ入力データを指定するには、"データ形式" を使用します。
データ形式は文字列で、各文字は対応するデータ次元のタイプを表します。
各文字は以下のとおりです。
"S"
— 空間"C"
— チャネル"B"
— バッチ"T"
— 時間"U"
— 指定なし
たとえば、シーケンスのバッチを含み、1 番目、2 番目、および 3 番目の次元がそれぞれチャネル、観測値、およびタイム ステップに対応する配列があるとします。この配列の形式を "CBT"
(チャネル、バッチ、時間) として指定できます。
形式を整えた入力データを作成するには、dlarray
オブジェクトを作成し、2 番目の引数を使用して形式を指定します。
形式を整えていないデータを使用して追加のレイアウト情報を指定するには、引数 DataFormat
および WeightsFormat
を使用して形式を指定します。
詳細については、Deep Learning Data Formatsを参照してください。
拡張機能
GPU 配列
Parallel Computing Toolbox™ を使用してグラフィックス処理装置 (GPU) 上で実行することにより、コードを高速化します。
使用上の注意および制限:
以下の入力引数の少なくとも 1 つが、
gpuArray
型の基になるデータをもつgpuArray
またはdlarray
である場合、この関数は GPU で実行されます。Y
targets
weights
'Mask'
詳細については、GPU での MATLAB 関数の実行 (Parallel Computing Toolbox)を参照してください。
バージョン履歴
R2021a で導入
MATLAB コマンド
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