RF 伝播と可視化
RF 伝播モデルは、信号が環境を通過するときの挙動を示します。対話型の 3 次元ビューアーであるサイト ビューアーを使用して、送信機サイト、受信機サイト、RF 伝播の可視化を表示できます。サイト ビューアーでは、屋外環境と屋内環境の両方の伝播モデルを可視化できます。
屋外無線カバレッジの可視化
3 次元の地球に送信機と受信機を表示し、サイト間の距離と角度を計算して、受信機サイトにおける送信機の信号強度を解析します。通信リンク、カバレッジ マップ、および信号対干渉ノイズ比 (SINR) マップを表示します。
サイトの表示
送信機サイトと受信機サイトを作成します。地理座標を使用して度単位で位置を指定します。
tx = txsite(Latitude=42.3001,Longitude=-71.3504); rx = rxsite(Latitude=42.3021,Longitude=-71.3764);
サイト ビューアーでサイトを表示します。サイト ビューアーで対話型の 3 次元の地球に地理サイトが表示されます。3 次元の地球の伝播環境は、DTED の地形や OpenStreetMap® の建物を使用してカスタマイズできます。
show(tx) show(rx)
マップをパンするには、クリックしてドラッグします。ズームアウトするには、スクロール ホイールを使用します。

距離と角度の特定
サイト間の距離をメートル単位で計算します。既定では、関数 distance はサイト間を直線でつないだ距離を計算します。この直線上の経路はユークリッド経路と呼ばれ、地球を含むすべての障害物を無視します。
dm = distance(tx,rx)
dm = 2.1556e+03
地球の曲率を考慮した大圏経路を使用して距離を計算することもできます。
サイト間の方位角と仰角を計算します。地理サイトの場合、関数 angle は、東から反時計回りに測定した度単位の角度を方位角として返します。仰角については、関数 angle は水平面からの度単位を返します。
[az,el] = angle(tx,rx)
az = 174.0753
el = -0.7267
信号強度の解析
受信機サイトにおける送信機の信号強度は、次の方程式で求められます。
ここで、
は、受信機で利用できる電力 (dBW 単位) です。
は、送信機アンテナ入力で利用できる送信機の電力 (dBW 単位) です。
txsiteオブジェクトのTransmitterPowerプロパティを使用して、送信機の電力を指定します。TransmitterPowerプロパティは W 単位にする必要があることに注意してください。は送信機の絶対アンテナ ゲイン (dBi 単位) です。
は受信機の絶対アンテナ ゲイン (dBi 単位) です。
は、送信機の信号が受信機に到達したときに送信機の信号に発生する RF 減衰 (dB 単位) です。
は、
txsiteオブジェクトのSystemLossプロパティで指定されたシステム損失 (dB 単位) です。は、
rxsiteオブジェクトのSystemLossプロパティで指定されたシステム損失 (dB 単位) です。
卓上受信機サイトでの信号強度を計算します。既定では、関数 sigstrength は電力単位 (dBm) で信号強度を計算します。電界強度単位 (dBμV/m) で信号強度を計算することもできます。
ss = sigstrength(rx,tx)
ss = -67.0767
リンク マージンは通信リンクのロバスト性の測定です。信号強度から必要とされる受信機の感度を減算してリンク マージンを計算します。
margin = abs(rx.ReceiverSensitivity - ss)
margin = 32.9233
通信リンクの表示
サイト間の通信リンクのステータスを表示します。リンクの成功は、受信機によって受信される送信機からのパワーに左右されます。既定では、受信したパワーが受信機の感度を満たしているか超えていれば緑の線で示されます。通信に成功しなければ赤の線で示されます。
link(rx,tx)

カバレッジ マップの表示
送信機のカバレッジ マップを表示します。カバレッジ マップは、送信機のサービス エリアを可視化したものです。これは、基準受信機の受信信号強度が受信機の感度を満たす場所を示します。信号強度を電力量 (通常は dBm) または電圧量 (通常は dBμV/m) のいずれかで表すカバレッジ マップを作成できます。
coverage(tx,"SignalStrengths",-100:5:-60) 
新しい送信機サイトの検出
既存の送信機サイトから 1 km 北の位置に新しい送信機サイトを作成して表示します。アンテナの高さを 30 m と指定します。
[lat,lon] = location(tx,1000,90); tx2 = txsite(Latitude=lat,Longitude=lon,AntennaHeight=30); show(tx2)

SINR の計算
SINR をデシベル単位で計算します。受信機の SINR は次の方程式で求められます。
ここで、
"S" は、対象となる受信した信号のパワーです。
"I" は、ネットワーク内で受信した干渉信号のパワーです。
"N" は、受信した全ノイズ パワーです。
サイト ビューアーに地形データがある場合は、関数 sinr で地形を計算に組み込みます。
sinr([tx,tx2])

屋内の伝播パスの可視化
会議室の 3 次元シーン モデルをインポートします。サイトを表示し、サイト間の伝播パスを見つけます。
シーンのインポート
STL ファイルをインポートして表示します。このファイルは、会議室とオープン スペースが部分的な壁で区切られた屋内オフィスをモデル化したものです。STL ファイルにはジオメトリ情報が含まれていますが、色、表面、テクスチャに関する情報は含まれていません。
viewer = siteviewer(SceneModel="office.stl",ShowOrigin=false);サイトの表示
会議室の天井の近くに送信機を 1 台配置します。オープン スペースの机の上と棚の上に受信機を 1 台ずつ配置します。直交座標を使用してメートル単位で位置を指定します。
tx = txsite("cartesian",AntennaPosition=[2; 1.3; 2.5]); rx_desk = rxsite("cartesian",AntennaPosition=[3.6; 7.5; 1]); rx_shelf = rxsite("cartesian",AntennaPosition=[0.4; 3.3; 1]);
受信機と見通し内パスを表示します。
los(tx,[rx_desk rx_shelf])
シーンをパンするには左クリックします。ズームするには右クリックまたはスクロール ホイールを使用します。回転させるには、中央ボタンをクリックしてドラッグするか、"Ctrl" を押しながら左クリックしてドラッグします。

棚の受信機までのパスはクリアですが、机の受信機までのパスは遮られています。
伝播パスの表示
レイ トレーシング伝播モデルを作成します。MATLAB® は、RayTracing オブジェクトを使用してこのモデルを表現します。直交座標系と木の表面材料を使用するようにモデルを構成します。既定では、このモデルは Shooting and Bouncing Rays (SBR) 法を使用します。
pm = propagationModel("raytracing", ... CoordinateSystem="cartesian", ... SurfaceMaterial="wood");
MaxNumReflections プロパティを 0 に設定して、見通し線内の伝播パスを表示します。関数 los とは異なり、関数 raytrace は遮蔽パスは表示しません。
pm.MaxNumReflections = 0; clearMap(viewer) raytrace(tx,[rx_desk rx_shelf],pm)

関数 raytrace で見通し内パスが 1 つ見つかります。パスをクリックすると、そのパスの受信パワーなどの情報を確認できます。
反射が 1 回までの伝播パスを表示します。
pm.MaxNumReflections = 1; raytrace(tx,[rx_desk rx_shelf],pm)

最大 1 回の反射と最大 1 回の回折を伴う伝播パスを表示します。
pm.MaxNumDiffractions = 1; raytrace(tx,[rx_desk rx_shelf],pm)

参考
関数
coverage|sigstrength|link|sinr|raytrace
オブジェクト
siteviewer|txsite|rxsite