合成開口レーダー

合成開口レーダーとは

合成開口レーダー (SAR) は、アンテナを搭載した機体の移動を利用して、物理的なサイズよりも大きな仮想開口を形成する画像処理レーダーです。SAR は、航空機人工衛星に搭載され、地表の地形や物体を高解像度で画像化するために使用されます。

SAR システムでは、測定条件として相対的な運動が求められるため、レーダーかターゲットのいずれかが動いていなければなりません。逆合成開口レーダー (ISAR) 技術では、レーダーは静止したままで、ターゲットの動きを利用します。ISAR は、飛行体や海上の船舶を識別するために利用されています。

合成開口レーダー (SAR) の画像形成

合成開口レーダー (SAR) の画像形成。

SAR では、レーダーパルスの幅がレンジ方向の照射を決定し、アンテナビーム幅がクロスレンジ方向の照射を決定します (図を参照)。アンテナが 1 の位置に到達し、対象の一部にレーダー波を照射すると、反射信号が得られ記録されます。図に示すように、レーダーが 2 の位置、3 の位置と移動するにつれて、この収集プロセスが繰り返されます。

このようにして、レーダーがターゲット領域を通過しながら複数回の観測を行うことで、合成開口が構成されます。放射体とターゲット間の相対位置が観測ごとに変化するため、反射信号にはそれに伴う位相シフトが生じます。SAR システムは、この位相シフトの影響を補正して、画像解像度を高めなければなりません。

MATLAB と Simulink を活用することで、SAR/ISAR 開発に携わるエンジニアは、次のことが可能になります。

  • レーダー距離方程式を用いた SAR リンクバジェットの推定
  • スポットライトモードとストリップマップ モード向け画像形成アルゴリズムのシミュレーションとテスト
  • アンテナ、環境、気象、プラットフォーム、信号処理の利得と損失のモデルリング
  • パルス繰り返し周波数、スワス長、観測面積、アンテナ開口に関するシーン形状とハードウェア制約の評価
  • 合成アンテナの理想解像度と実効解像度の比較
  • 線偏波システムと円偏波システムにおける降雨反射のモデルリング
  • 表面の粗さ、動作周波数、偏波、グレージング角に応じた地表反射のモデルリング

詳細については、Radar ToolboxPhased Array System Toolbox™、Antenna ToolboxRF Toolbox™、RF Blockset™ を参照してください。


参考: 航空宇宙、防衛レーダーシステム向け MATLAB および Simulink, レーダーシステム設計, レーダーシステム設計に関するビデオ, Sensor Fusion and Tracking Toolbox™, レーダーの仕組み

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