従来、モバイル デバイスのオーディオ IC は、ADC パスと DAC パスを装備したステレオ コーデックが主流でした。 しかし現在スマートフォンでは、複数のパス構成と、ヘッドセット、音声チャネル、MP3、オーディオ、ラジオ チューナーといった多くのオーディオ ソースをサポートするオーディオ アーキテクチャが必要とされています。
このような需要に対応して、Wolfson Microelectronics (現在はCirrus Logic, Inc.傘下) は、世界初の携帯電話向けデジタル オーディオ ハブ ソリューション、WM8995 を開発しました。同製品によってシステム設計者は、複数オーディオの同時使用を最適に管理することができます。たとえばユーザーがブルートゥース ヘッドセットを使用してハンズフリー通話を行いながら、音楽を聴いたり、カーナビの音声指示を受けたりするなどの行為を、同時に同じハンドセットで行うことが可能になります。
Wolfson のエンジニアは MATLAB® と Simulink® を活用して、この高度なマルチパス オーディオ ハブの設計とシミュレーションを行い、さらに HDL Coder™ を使用してビットトゥルーな Verilog® コードを生成して、デジタル信号プロセッサ (DSP) の実装を検証しました。
Wolfson のチーフ DSP エンジニアである Brian Paisley 氏は次のように述べています。「解析とデータパス設計において、MATLAB とSimulink は、C 言語でコードを手作業で作成するよりもずっとパワフルな環境を提供してくれます。また、HDL Coder では検証モデルの生成のほとんどを自動化できるので、開発期間の短縮および品質の向上を実現でき、設計に対する信頼性の向上につながりました」