Mondi、機械学習を使用した統計ベースの状態監視および予知保全を製造プロセスに導入

課題

プラスチック製造工場で廃棄と機械のダウンタイムを減らす

ソリューション

MATLABを使用して、機械学習アルゴリズムに基づいた機械の故障を予測する監視/予知保全ソフトウェアを開発して実装する

結果

  • 年間50,000ユーロを超える削減を実現
  • 6か月でプロトタイプが完成
  • 運用環境で常時稼働するソフトウェア

「MathWorks技術コンサルティングのような優れたサポートは見たことがありません。コンサルタントの対応は迅速で、知識も非常に豊富でした。コスト削減によって既に高い費用対効果が得られていますが、同様の成果を期待し、予算と時間を増やしてさらなる機械学習プロジェクトにも取り組んでいます」

Michael Kohlert 博士, Mondi

Mondi Gronauは、世界有数の包装・製紙メーカーであり、自社のプラスチック製造工場から年間約1,800万トンのプラスチックフィルム製品を出荷しています。工場では、900名の従業員が約60台のプラスチック押出成形機、印刷機、接着機、巻線機を24時間無休で使用しています。

Mondiでは、機械の故障によるダウンタイムや原材料の廃棄に毎月数百万ユーロのコストを費やしています。このようなコストを最小限に抑え、プラントの効率を最大限に高めるために、Mondiは状態監視/予知保全アプリケーションを開発しました。このアプリケーションは高度な統計と機械学習アルゴリズムを使用して機械の潜在的な問題を特定するため、深刻な問題になる前に従業員が適切な措置をとることができます。

Mondiは、このアプリケーションをMATLAB®で開発しました。この開発は、MathWorks技術コンサルティングとIntegrated Sensor Systemsの委員長を務めるカイザースラウテルン工科大学教授のAndreas König工学博士 (電気工学とコンピューター工学) の協力で進められました。

「製造業である当社には機械学習の専門知識をもつデータサイエンティストはいませんでしたがMathWorks製のツールや技術的なノウハウのおかげで、運用環境の予知保全システムを数か月で開発できました」 (Mondi、Head of Information Management and Process Automation、Michael Kohlert 博士)

Mondi Gronauのプラスチック製造用機械。これらの機械で年間約1,800万トンのプラスチックフィルム製品を出荷しています。

課題

Mondiのプラントで使用している押出成形機などの複合機械の中には、長さ50m、高さ15mに及ぶ大型のものもあります。機械の制御には、1台につき最大5つのプログラマブルロジックコントローラー (PLC) が使用されており、機械のセンサーから温度、圧力、速度などの性能パラメーターを記録しています。1台の機械で毎分300~400のパラメーター値が記録されるため、1日に生成されるデータの量は7GBに達します。

Mondiは、このデータを予知保全に使用するにあたり、いくつかの課題を抱えていました。まず、プラントの担当者には統計解析や機械学習の経験がほとんどないことを考慮する必要がありました。また、さまざまな機械学習の手法を評価して、データに対して最も精度の高い結果を生成できる手法を特定する必要がありました。機械オペレーターがすぐに明確な形で結果を確認できるアプリケーションの開発も必要でした。さらに、そのアプリケーションを運用環境で継続的に使用できるようにパッケージ化する必要もありました。

ソリューション

Mondiは、MathWorks技術コンサルティングとAndreas König工学博士の協力のもと、MATLABで状態監視/予知保全ソフトウェアを開発して展開しました。

Mondiのチームでは、Oracle®データベースをセットアップして、工場内のすべての機械からイーサネットネットワーク経由でデータを収集していました。Database Toolbox™を使用して、そのデータベースにMATLAB内からアクセスできるようにしました。

次に、外れ値や無効な値を除去してデータをクリーニングするMATLABスクリプトを開発しました。

また、データベースに対してクエリを実行し、その結果をグラフィカルに表示するアプリケーションをMATLABで開発しました。このアプリケーションのインターフェイスでは、たとえば、特定のセンサーによる圧力の測定値を分、時間、週などの期間を指定してプロットすることができます。

このアプリケーションには、拡張機能として統計的工程管理 (SPC) 機能も追加されており、通常の動作範囲から外れたセンサー値が見つかるとオペレーターに通知されるようになっています。

MondiとMathWorksのコンサルタントは、Statistics and Machine Learning Toolbox™とDeep Learning Toolbox™を使用して、複数の機械学習の手法を評価しました。ニューラルネットワーク、k最近傍法、バギングされた決定木、サポートベクターマシン (SVM) などです。

それぞれの手法について、機械のログデータを使用して分類モデルの学習を行い、そのモデルで機械の問題を予測できるかどうかをテストしました。テストの結果、データに対して最も精度の高いモデルは、バギングされた決定木の集団であることが特定できました。

さらに、MATLABアプリケーションを拡張して、機械学習モデルによる予測をインターフェイスに組み込みました。これらの予測により、機器オペレーターは潜在的な故障箇所について事前に警告を受け取ることができます。Mondiは、スタンドアロンで実行できるアプリケーションバージョンをMATLAB Compiler™を使用して作成し、工場で使用しています。

MATLABベースのHMIにより、機器オペレーターは潜在的な故障箇所について事前に警告を受け取ることができます。

結果

  • 年間50,000ユーロを超える削減を実現.「財務管理部門によると、予知保全にMATLABを使用することで、年間50,000ユーロを超えるコスト削減を実現しています。」とKohlert博士は述べています。「現在のところ、対象の機械は8台だけであり、残りの機械のデータについても解析を進めていけば、少なくとも4倍の効果が得られると期待しています。」
  • 6か月でプロトタイプが完成.「多くのコンサルタントと議論を重ねましたが、自分たちで対応する必要はありませんでした。」とKohlert博士は述べています。「MathWorksのコンサルタントは対応が早く、2か月で最初のテストが完了し、6か月でプロトタイプの運用が始まりました。MATLABコードはわかりやすく、必要に応じてすぐに変更を加えることができました。」
  • 運用環境で常時稼働するソフトウェア.「MATLABを使用するのは研究や開発だけと誤解していました。」とKohlert博士は述べています。「クリスマスもなく、ノンストップで機械を動かしていますが、MATLABベースの監視/予知保全ソフトウェアのおかげで、中断のない安定した運用が可能になっています。」