製薬会社では、動物を用いた各種試験を通じて薬物動態学 (DMPK)、薬理および安全性に関する事象を段階的にチェックしながら有望なリード化合物を創出し、臨床試験でその有用性を確認して、最終的に規制当局に申請します。しかしながら、解析アルゴリズムを開発するデータサイエンティストと、それらのツールを使用して自ら取得したデータを解析し、創薬研究を推進する生物学や化学の実験系研究員との連携は必須ですが、両者の間には技術的なギャップが存在することがよくあります。このギャップにより、全体の業務効率が著しく損なわれることが多くありました。
田辺三菱製薬株式会社(以下、田辺三菱製薬)は、 MathWorks 技術コンサルティングサービスと連携してこのギャップを埋めるために、解析プロセスを簡便化し、医薬候補品の選択を効率化しました。すなわち、田辺三菱製薬は、MATLAB® ベースのユーザーフレンドリーなデータ解析ツールを開発することで、解析アルゴリズムの開発期間を短縮するだけでなく、実験系研究員の解析作業を効率化し、定量的に評価する医薬候補品の数を増やすことで、創薬プロセスを加速させました。
田辺三菱製薬でバイオインフォマティクスの研究員を務める齊藤隆太氏は次のように述べています。「当社の実験系研究員は、我々がMATLAB で開発したツールを使って、定量的な解析結果を自動的に取得するだけでなく、ヒューマンエラーを減らし、解析を再現よく実施できるようになりました。その結果、評価できる化合物の数が増え、以前まではコストやリソースの面から見過ごされてきた化合物についても解析できるようになり、有望な医薬候補品を迅速に見出すことが可能になりました。」