章 3
ブラシレス DC モーターのシミュレーションによる逆起電力プロファイルの観察
ブラシレス DC モーターと PMSM は似た構造になっています。どちらも回転子に永久磁石を持ち、同期モーターとして定義されています。同期モーターでは、回転子は固定子磁界と同期しています。つまり、回転子は固定子磁界と同じ速度で回転します。
両者の主な違いは、逆起電力の形状です。電気モーターが回転すると、発電機として機能します。言い換えれば、モーターの駆動電圧に対抗する電圧が固定子に誘導されるということです。逆起電力は、その形状が最適な制御に必要なアルゴリズムの種類を示しているため、モーターの重要な特徴の 1 つとなっています。
設計上、ブラシレス DC モーターには台形の形状の逆起電力が流れており、一般的に台形整流によって制御されます。
ブラシレス DC
- 台形逆起電力
- 台形整流による制御
PMSM は、その逆起電力が正弦波の形状となっているため、ベクトル制御により制御されます。
PMSM
- 正弦波逆起電力
- ベクトル制御による制御
PMSM と ブラシレス DC モーター という用語は、モーター制御界隈では互換的に使用されることがあり、逆起電力プロファイルについて混乱が生じる場合があります。本書の説明では、ブラシレス DC モーターは厳密に台形逆起電力が流れる機械を指しています。
シミュレーションで、 Simscape Electrical™ でモデル化されたモーターの逆起電力の形状を簡単に観察することができます。
上の図では、開回路端子を使用した単極対ブラシレス DC モーターのシミュレーションを示しています (つまり、コイルに電流は流れていません)。回転子を回転させるためにトルクをかけると、モーターは発電機のように作動します。A 相の電圧を経時的に測定することで、逆起電力の形状がどのように決定されるかを確認できます。電圧スコープは、ブラシレス DC モーターの逆起電力の形状が台形であることを示しており、電圧がフラットのままである領域が含まれています。
次のチュートリアルを参照して、上の画像のように、Simscape Electrical で ブラシレス DC モーターをモデル化してシミュレーションする方法を学習しましょう。