章 5
モーターとトルクの生成
アニメーションにカーソルを合わせると、極同士が相互作用する仕組みを確認できます。矢印は相対的な磁力を表しており、矢印の太さは磁場の強さを表します。2 つの同じ極が互いに反発することで、回転子が反時計回りに回転します。同時に、反対の極は互いに引き付け合い、同じ方向にトルクを加えます。
回転子が 60 度回転すると、次の整流が発生します。
アニメーションで先ほど説明した固定子磁場を重ね合わせると、回転子は固定子磁場の位置と揃うことがないものの、常に固定子磁場を追いかけるように整流が発生することがよく分かります。
このように ブラシレス DC モーターで位相を切り替える理由は 2 つあります。まず、回転子と固定子磁場の位置が完全に揃うと、モーターのトルクがゼロになり、好ましくありません。次に、最大トルクは、磁場が互いに 90 度となる時に発生します。したがって、この角度を 90 度に近づけることが目標となります。
ただし、ブラシレス DC モーターでは、6 段階整流を使用して常に 90 度にすることは不可能であり、次のアニメーションに示すように、角度は 60 〜 120 度の間で変動します。これは、台形制御の比較的単純な性質によるものです。前述のように、PMSM を制御するために一般的に使用される、ベクトル制御などの高度な手法では、固定子と回転子の磁界間を 90 度にすることで、より大きなトルクを生成することができます。