線形回帰モデルとは
線形回帰モデルは、1 つの "従属変数" y と 1 つ以上の "独立変数" X の関係を記述します。従属変数は、"応答変数" とも呼ばれます。独立変数は、"説明変数" または "予測子変数"とも呼ばれます。連続予測子変数は、"共変量" とも呼ばれ、カテゴリカル予測子変数は "因子" とも呼ばれます。予測子変数に関する観測値の行列 X は通常 "計画行列" と呼ばれます。
多重線形回帰モデルは次のようになります。
ここで、
n は、観測数です。
yi は i 番目の応答です。
βk は k 番目の係数で、β0 はモデルの定数項です。計画行列には、定数項に関する情報が含まれる場合があります。ただし、
fitlm
またはstepwiselm
には既定でモデルの定数項が含まれるため、計画行列 X に 1 の列を入力しないでください。Xij は、j 番目の予測子変数 j = 1, ..., p の i 番目の観測値です。
εi は i 番目のノイズ項、つまり確率的誤差です。
モデルに含まれている予測子変数が 1 つだけ (p = 1) である場合、そのモデルは単純な線形回帰モデルと呼ばれます。
通常、線形回帰モデルは次の形式のモデルになります。
ここで、f(.) は独立変数 Xij のスカラー値関数です。関数 f(X) の形式に制限はなく、非線形関数や多項式になることもあります。線形回帰モデルにおける線形性は、係数 βk の線形性を意味します。つまり、応答変数 y は、係数 βk の線形関数を表します。
以下に、線形モデルの例をいくつか示します。
しかし、次のモデルは未知係数 βk に対して線形になっていないので、線形モデルではありません。
線形回帰モデルの通常の仮定は以下のとおりです。
ノイズ項 εi は無相関です。
ノイズ項 εi は、平均 0 と一定分散 σ2 をもつ独立した同一の正規分布となります。したがって、
および
yi の分散は、Xij のすべてのレベルで同じになります。
応答 yi は無相関です。
当てはめた線形関数は次のようになります。
ここで、 は推定応答、bk は当てはめた係数です。係数は、予測ベクトル と真の応答ベクトル の平均二乗誤差、つまり が最小になるように推定されます。この方法は、"最小二乗法" と呼ばれます。ノイズ項に関する仮定のもとでは、これらの係数もまた予測ベクトルの尤度を最大化します。
y = β1X1 + β2X2 + ... + βpXp という形式の線形回帰モデルにおいて、他の予測子変数がすべて一定である場合、係数 βk は予測子変数 Xj における 1 単位の変化が応答値の平均 E(y) に与える影響を表します。係数の符号は影響の方向を示します。たとえば、線形モデルが E(y) = 1.8 – 2.35X1 + X2 の場合、–2.35 は、X2 が一定であることを前提に、X1 で 1 単位増加すると平均応答値が 2.35 単位減少することを示します。モデルが E(y) = 1.1 + 1.5X12 + X2 の場合、X12 の係数は、他がすべて一定であることを前提に、X12 で 1 単位増加すると Y の平均値が 1.5 単位増加することを示します。ただし、E(y) = 1.1 + 2.1X1 + 1.5X12 の場合は、係数を同様に解釈することが難しくなります。これは、X12 が変更された場合 X1 を一定にすることができなくなるためです (またはその逆の場合もあります)。
参照
[1] Neter, J., M. H. Kutner, C. J. Nachtsheim, and W. Wasserman. Applied Linear Statistical Models. IRWIN, The McGraw-Hill Companies, Inc., 1996.
[2] Seber, G. A. F. Linear Regression Analysis. Wiley Series in Probability and Mathematical Statistics. John Wiley and Sons, Inc., 1977.
参考
LinearModel
| fitlm
| stepwiselm