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updateMetrics
線形インクリメンタル学習モデルの新しいデータに基づくパフォーマンス メトリクスの更新
説明
ストリーミング データが与えられると、updateMetrics
は、線形回帰用 (incrementalRegressionLinear
オブジェクト) または線形バイナリ分類用 (incrementalClassificationLinear
オブジェクト) に構成されたインクリメンタル学習モデルのパフォーマンスを測定します。updateMetrics
はパフォーマンス メトリクスを出力モデルに格納します。
updateMetrics
では柔軟なインクリメンタル学習が可能です。この関数を呼び出してデータの入力チャンクでモデルのパフォーマンス メトリクスを更新した後、モデルにデータを学習させる前に他のアクションを実行できます。たとえば、データのチャンクでのパフォーマンスに基づいて、モデルに学習させる必要があるかどうかを決定できます。また、関数 updateMetricsAndFit
を使用すると、データが到達したときにモデルのパフォーマンス メトリクスの更新とモデルの学習の両方を 1 回の呼び出しで実行できます。
指定したデータのバッチにおけるモデルのパフォーマンスを測定するには、代わりに loss
を呼び出します。
は、インクリメンタル学習モデル Mdl
= updateMetrics(Mdl
,X
,Y
)Mdl
を返します。これは、入力予測子と応答データ (それぞれ X
と Y
) のモデル パフォーマンス メトリクスを含むように変更された入力インクリメンタル学習モデル Mdl
です。
入力モデルが "ウォーム" (Mdl.IsWarm
が true
) の場合、updateMetrics
は以前に計算されたメトリクスを上書きし、Metrics
プロパティに新しい値を保存します。それ以外の場合、updateMetrics
は代わりに Metrics
に NaN
値を保存します。
入力モデルと出力モデルのデータ型は同じです。
例
fitclinear
を使用してバイナリ分類用の線形モデルに学習させ、それをインクリメンタル学習器に変換し、そのパフォーマンスをストリーミング データまで追跡します。
データの読み込みと前処理
人の行動のデータ セットを読み込みます。データをランダムにシャッフルします。
load humanactivity rng(1) % For reproducibility n = numel(actid); idx = randsample(n,n); X = feat(idx,:); Y = actid(idx);
データ セットの詳細については、コマンド ラインで Description
を入力してください。
応答は、次の 5 つのクラスのいずれかになります。座る、立つ、歩く、走る、または踊る。被験者が移動しているかどうか (actid
> 2) を基準に、応答を二分します。
Y = Y > 2;
バイナリ分類用の線形モデルの学習
バイナリ分類用の線形モデルを、データの半分から取った無作為標本に当てはめます。
idxtt = randsample([true false],n,true); TTMdl = fitclinear(X(idxtt,:),Y(idxtt))
TTMdl = ClassificationLinear ResponseName: 'Y' ClassNames: [0 1] ScoreTransform: 'none' Beta: [60×1 double] Bias: -0.2999 Lambda: 8.2967e-05 Learner: 'svm' Properties, Methods
TTMdl
は、バイナリ分類用の従来式の学習済み線形モデルを表す ClassificationLinear
モデル オブジェクトです。
学習済みモデルの変換
従来式の学習済み分類モデルを、インクリメンタル学習用のバイナリ分類線形モデルに変換します。
IncrementalMdl = incrementalLearner(TTMdl)
IncrementalMdl = incrementalClassificationLinear IsWarm: 1 Metrics: [1×2 table] ClassNames: [0 1] ScoreTransform: 'none' Beta: [60×1 double] Bias: -0.2999 Learner: 'svm' Properties, Methods
IncrementalMdl.IsWarm
ans = logical
1
インクリメンタル モデルがウォームです。そのため、updateMetrics
は、与えられたデータでのモデルのパフォーマンス メトリクスを追跡できます。
パフォーマンス メトリクスの追跡
関数 updateMetrics
を使用して、残りのデータでのモデル パフォーマンスを追跡します。50 個の観測値を一度に処理して、データ ストリームをシミュレートします。各反復で次を行います。
updateMetrics
を呼び出し、観測値の入力チャンクを所与として、モデルの分類誤差の累積とウィンドウを更新します。前のインクリメンタル モデルを上書きして、Metrics
プロパティ内の損失を更新します。関数がモデルをデータ チャンクに当てはめないことに注意してください。チャンクはモデルに対して "新しい" データです。分類誤差と最初の係数 を保存します。
% Preallocation idxil = ~idxtt; nil = sum(idxil); numObsPerChunk = 50; nchunk = floor(nil/numObsPerChunk); ce = array2table(zeros(nchunk,2),'VariableNames',["Cumulative" "Window"]); beta1 = [IncrementalMdl.Beta(1); zeros(nchunk+1,1)]; Xil = X(idxil,:); Yil = Y(idxil); % Incremental fitting for j = 1:nchunk ibegin = min(nil,numObsPerChunk*(j-1) + 1); iend = min(nil,numObsPerChunk*j); idx = ibegin:iend; IncrementalMdl = updateMetrics(IncrementalMdl,Xil(idx,:),Yil(idx)); ce{j,:} = IncrementalMdl.Metrics{"ClassificationError",:}; beta1(j + 1) = IncrementalMdl.Beta(1); end
IncrementalMdl
は、モデル パフォーマンスをデータ ストリーム内の観測値まで追跡した incrementalClassificationLinear
モデル オブジェクトです。
パフォーマンス メトリクスと推定された係数 のトレース プロットをプロットします。
t = tiledlayout(2,1); nexttile h = plot(ce.Variables); xlim([0 nchunk]) ylabel('Classification Error') legend(h,ce.Properties.VariableNames) nexttile plot(beta1) ylabel('\beta_1') xlim([0 nchunk]) xlabel(t,'Iteration')
累積の損失は安定していますが、ウィンドウの損失には急な変動があります。
updateMetrics
がモデルをデータに当てはめないため、 は変更されません。
バイナリ分類用のインクリメンタル線形 SVM モデルを作成します。推定期間を 5,000 個の観測値に指定し、SGD ソルバーを指定します。
Mdl = incrementalClassificationLinear('EstimationPeriod',5000,'Solver','sgd')
Mdl = incrementalClassificationLinear IsWarm: 0 Metrics: [1×2 table] ClassNames: [1×0 double] ScoreTransform: 'none' Beta: [0×1 double] Bias: 0 Learner: 'svm' Properties, Methods
Mdl
は incrementalClassificationLinear
モデルです。そのプロパティはすべて読み取り専用です。
モデルのプロパティを照会して、モデルがウォームであるかどうかとメトリクスのウォームアップ期間のサイズを調べます。
isWarm = Mdl.IsWarm
isWarm = logical
0
mwp = Mdl.MetricsWarmupPeriod
mwp = 1000
Mdl.IsWarm
が 0;
であるため、Mdl
はウォームではありません。
モデルのパフォーマンスを測定する前にインクリメンタル近似関数 (fit
など) で処理しなければならない観測値の数を調べます。
numObsBeforeMetrics = Mdl.MetricsWarmupPeriod + Mdl.EstimationPeriod
numObsBeforeMetrics = 6000
人の行動のデータ セットを読み込みます。データをランダムにシャッフルします。
load humanactivity n = numel(actid); rng(1) % For reproducibility idx = randsample(n,n); X = feat(idx,:); Y = actid(idx);
データ セットの詳細については、コマンド ラインで Description
を入力してください。
応答は、次の 5 つのクラスのいずれかになります。座る、立つ、歩く、走る、または踊る。被験者が移動しているかどうか (actid
> 2) を基準に、応答を二分します。
Y = Y > 2;
インクリメンタル学習を実行します。各反復で次を行います。
50 個の観測値のチャンクを処理して、データ ストリームをシミュレートします。
updateMetrics
を使用して、入力チャンクのモデルのパフォーマンス メトリクスを測定します。入力モデルを上書きします。関数
fit
を使用して、モデルを入力チャンクに当てはめます。入力モデルを上書きします。と誤分類誤差率を保存し、インクリメンタル学習中にそれらがどのように進化するかを確認します。
% Preallocation numObsPerChunk = 50; nchunk = floor(n/numObsPerChunk); ce = array2table(zeros(nchunk,2),'VariableNames',["Cumulative" "Window"]); beta1 = zeros(nchunk,1); % Incremental fitting for j = 1:nchunk ibegin = min(n,numObsPerChunk*(j-1) + 1); iend = min(n,numObsPerChunk*j); idx = ibegin:iend; Mdl = updateMetrics(Mdl,X(idx,:),Y(idx)); ce{j,:} = Mdl.Metrics{"ClassificationError",:}; Mdl = fit(Mdl,X(idx,:),Y(idx)); beta1(j) = Mdl.Beta(1); end
Mdl
は、ストリーム内のすべてのデータで学習させた incrementalClassificationLinear
モデル オブジェクトです。
パラメーターがインクリメンタル学習中にどのように進化するかを確認するには、それらを別々のタイルにプロットします。
t = tiledlayout(2,1); nexttile plot(beta1) ylabel('\beta_1') xline(Mdl.EstimationPeriod/numObsPerChunk,'r-.') xlabel('Iteration') axis tight nexttile plot(ce.Variables) ylabel('ClassificationError') xline(Mdl.EstimationPeriod/numObsPerChunk,'r-.') xline(numObsBeforeMetrics/numObsPerChunk,'g-.') xlim([0 nchunk]) legend(ce.Properties.VariableNames) xlabel(t,'Iteration')
mdlIsWarm = numObsBeforeMetrics/numObsPerChunk
mdlIsWarm = 120
プロットは、推定期間が経過するまでは、fit
がモデルをデータに当てはめることも、パラメーターを更新することもないということを示します。また、updateMetrics
は、推定期間およびメトリクスのウォームアップ期間 (120 チャンク) が経過するまでは分類誤差を追跡しません。
線形回帰モデルのパフォーマンスが低下した場合にのみ、そのモデルに対してインクリメンタル学習を行います。
2015 年のニューヨーク市住宅データ セットを読み込み、シャッフルします。このデータの詳細については、NYC Open Data を参照してください。
load NYCHousing2015 rng(1) % For reproducibility n = size(NYCHousing2015,1); shuffidx = randsample(n,n); NYCHousing2015 = NYCHousing2015(shuffidx,:);
table から応答変数 SALEPRICE
を抽出します。数値安定性を得るために、SALEPRICE
を 1e6
の尺度でスケールします。
Y = NYCHousing2015.SALEPRICE/1e6; NYCHousing2015.SALEPRICE = [];
カテゴリカル予測子からダミー変数メトリクスを作成します。
catvars = ["BOROUGH" "BUILDINGCLASSCATEGORY" "NEIGHBORHOOD"]; dumvarstbl = varfun(@(x)dummyvar(categorical(x)),NYCHousing2015,... 'InputVariables',catvars); dumvarmat = table2array(dumvarstbl); NYCHousing2015(:,catvars) = [];
table 内の他のすべての数値変数を売価の線形予測子として扱います。ダミー変数の行列を残りの予測子データに連結し、データを転置して計算を高速化します。
idxnum = varfun(@isnumeric,NYCHousing2015,'OutputFormat','uniform'); X = [dumvarmat NYCHousing2015{:,idxnum}]';
推定期間またはメトリクスのウォームアップ期間がないように、インクリメンタル学習用の線形回帰モデルを構成します。メトリクス ウィンドウ サイズを観測値 1000 個に指定します。構成したモデルを最初の 100 個の観測値に当てはめて、観測値がデータの列に沿うように指定します。
Mdl = incrementalRegressionLinear('EstimationPeriod',0,'MetricsWarmupPeriod',0,... 'MetricsWindowSize',1000); numObsPerChunk = 100; Mdl = fit(Mdl,X(:,1:numObsPerChunk),Y(1:numObsPerChunk),'ObservationsIn','columns');
Mdl
は incrementalRegressionLinear
モデル オブジェクトです。
条件付きの当てはめを行い、インクリメンタル学習を実行します。各反復でこの手順に従います。
100 個の観測値のチャンクを処理して、データ ストリームをシミュレートします。
サイズが 200 の観測ウィンドウ内で、イプシロン不感応損失を計算することにより、モデル パフォーマンスを更新します。観測値がデータの列に沿うように指定します。
それまでの最小損失の倍を超える損失が発生した場合にのみ、モデルをデータ チャンクに当てはめます。観測値がデータの列に沿うように指定します。
パフォーマンスと当てはめを追跡するときは、前のインクリメンタル モデルを上書きします。
イプシロン不感応損失と を保存して、損失と係数が学習中にどのように進化するかを確認します。
fit
がモデルに学習させるタイミングを追跡します。
% Preallocation n = numel(Y) - numObsPerChunk; nchunk = floor(n/numObsPerChunk); beta313 = zeros(nchunk,1); ei = array2table(nan(nchunk,2),'VariableNames',["Cumulative" "Window"]); trained = false(nchunk,1); % Incremental fitting for j = 2:nchunk ibegin = min(n,numObsPerChunk*(j-1) + 1); iend = min(n,numObsPerChunk*j); idx = ibegin:iend; Mdl = updateMetrics(Mdl,X(:,idx),Y(idx),'ObservationsIn','columns'); ei{j,:} = Mdl.Metrics{"EpsilonInsensitiveLoss",:}; minei = min(ei{:,2}); pdiffloss = (ei{j,2} - minei)/minei*100; if pdiffloss > 100 Mdl = fit(Mdl,X(:,idx),Y(idx),'ObservationsIn','columns'); trained(j) = true; end beta313(j) = Mdl.Beta(end); end
Mdl
は、ストリーム内のすべてのデータで学習させた incrementalRegressionLinear
モデル オブジェクトです。
モデルのパフォーマンスと が学習中にどのように進化するかを確認するには、それらを別々のタイルにプロットします。
t = tiledlayout(2,1); nexttile plot(beta313) hold on plot(find(trained),beta313(trained),'r.') xlim([0 nchunk]) ylabel('\beta_{313}') xline(Mdl.EstimationPeriod/numObsPerChunk,'r-.') legend('\beta_{313}','Training occurs','Location','southeast') hold off nexttile plot(ei.Variables) xlim([0 nchunk]) ylabel('Epsilon Insensitive Loss') xline(Mdl.EstimationPeriod/numObsPerChunk,'r-.') legend(ei.Properties.VariableNames) xlabel(t,'Iteration')
のトレース プロットは、損失がそれまでの最小損失の倍とならない定数値の期間を示します。
入力引数
パフォーマンスを測定するインクリメンタル学習モデル。incrementalClassificationLinear
または incrementalRegressionLinear
というモデル オブジェクトとして指定します。Mdl
は、直接作成することも、サポートされている従来式の学習済み機械学習モデルを関数 incrementalLearner
によって変換して作成することもできます。詳細については、対応するリファレンス ページを参照してください。
Mdl.IsWarm
が false
の場合、updateMetrics
はモデルのパフォーマンスを追跡しません。updateMetrics
がパフォーマンス メトリクスを追跡する前に、Mdl
とデータを fit
に渡して、Mdl
を Mdl.EstimationPeriod + Mdl.MetricsWarmupPeriod
観測値に当てはめなければなりません。詳細は、パフォーマンス メトリクスを参照してください。
モデルのパフォーマンスを測定する予測子データのチャンク。n 個の観測値および Mdl.NumPredictors
予測子変数の浮動小数点行列として指定します。名前と値の引数 ObservationsIn
の値は、変数と観測値の方向を決定します。ObservationsIn
の既定値は "rows"
であり、予測子データの観測値が X
の行に沿うことを示しています。
観測値のラベル Y
の長さと X
の観測値の数は同じでなければなりません。Y(
は j
)X
内の観測値 j (行または列) のラベルです。
メモ
Mdl.NumPredictors
= 0 の場合、updateMetrics
はX
から予測子の数を推測し、出力モデルの対応するプロパティを設定します。それ以外の場合、ストリーミング データ内の予測子変数の数がMdl.NumPredictors
から変化すると、updateMetrics
がエラーを生成します。updateMetrics
は、浮動小数点の入力予測子データのみをサポートしています。入力データに categorical データが含まれている場合は、エンコード バージョンの categorical データを準備する必要があります。dummyvar
を使用して、各カテゴリカル変数をダミー変数で構成される数値行列に変換します。その後、すべてのダミー変数行列とその他の数値予測子を連結します。詳細については、ダミー変数を参照してください。
データ型: single
| double
モデルのパフォーマンスを測定する応答 (ラベル) のチャンク。分類問題では、categorical 配列、文字配列、string 配列、logical ベクトル、浮動小数点ベクトル、または文字ベクトルの cell 配列として指定します。回帰問題では、浮動小数点ベクトルとして指定します。
観測値のラベル Y
の長さと X
の観測値の数は同じでなければなりません。Y(
は j
)X
内の観測値 j (行または列) のラベルです。
分類問題では次のようになります。
updateMetrics
はバイナリ分類のみをサポートします。入力モデル
Mdl
のClassNames
プロパティが空以外の場合は、次の条件が適用されます。Y
がMdl.ClassNames
のメンバーではないラベルを含む場合、updateMetrics
はエラーを生成します。Y
とMdl.ClassNames
のデータ型は同じでなければなりません。
データ型: char
| string
| cell
| categorical
| logical
| single
| double
メモ
観測値 (予測子またはラベル) または重みが少なくとも 1 つの欠損 (NaN
) 値を含む場合、updateMetrics
はその観測値を無視します。したがって、updateMetrics
は n 個よりも少ない観測値を使用してモデル パフォーマンスを計算します。ここで n は X
内の観測値数です。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで、Name
は引数名で、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
R2021a より前では、コンマを使用して名前と値をそれぞれ区切り、Name
を引用符で囲みます。
例: 'ObservationsIn','columns','Weights',W
は、予測子行列の列が観測値に対応すること、およびインクリメンタル学習中に適用する観測値の重みがベクトル W
に格納されていることを指定します。
予測子データにおける観測値の次元。'ObservationsIn'
と 'columns'
または 'rows'
から構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。
データ型: char
| string
出力引数
更新されたインクリメンタル学習モデル。incrementalClassificationLinear
または incrementalRegressionLinear
の入力モデル Mdl
と同じデータ型のインクリメンタル学習モデル オブジェクトとして返されます。
モデルがウォームでない場合、updateMetrics
はパフォーマンス メトリクスを計算しません。その結果、Mdl
の Metrics
プロパティは、NaN
値で構成された状態を完全に維持します。モデルがウォームの場合、updateMetrics
は、新しいデータ X
と Y
における累積およびウィンドウのパフォーマンス メトリクスを計算し、Mdl.Metrics
の対応する要素を上書きします。入力モデル Mdl
の他のプロパティは、すべて出力モデル Mdl
に引き継がれます。詳細は、パフォーマンス メトリクスを参照してください。
ヒント
従来式の学習とは異なり、インクリメンタル学習には個別のテスト (ホールドアウト) セットが存在しない場合もあります。そのため、データの各入力チャンクをテスト セットとして扱うには、インクリメンタル モデルと各入力チャンクを、
fit
を使用して同じデータでモデルに学習させる前にupdateMetrics
に渡します。
アルゴリズム
updateMetrics
は、インクリメンタル モデルが "ウォーム" (IsWarm
プロパティがtrue
) のときに、Mdl.Metrics
の table の行ラベルによって指定され、新しいデータから得られるモデルのパフォーマンス メトリクスのみを追跡します。インクリメンタル モデルは、関数fit
がインクリメンタル モデルをMdl.MetricsWarmupPeriod
の観測値 ("メトリクスのウォームアップ期間") に当てはめた後、ウォームになります。Mdl.EstimationPeriod
> 0 の場合、関数はモデルをデータに当てはめる前にハイパーパラメーターを推定します。そのため、関数は、モデルがメトリクスのウォームアップ期間を開始する前にEstimationPeriod
個の観測値を追加で処理しなければなりません。インクリメンタル モデルの
Metrics
プロパティは、各パフォーマンス メトリクスの 2 つの形式を table の変数 (列)Cumulative
およびWindow
とし、個々のメトリクスを行に格納します。インクリメンタル モデルがウォームになると、updateMetrics
は次の頻度でメトリクスを更新します。Cumulative
— 関数は、モデルの性能追跡の開始以降の累積メトリクスを計算します。関数は、関数が呼び出されるたびにメトリクスを更新し、提供されたデータ セット全体に基づいて計算を行います。Window
— 関数は、Mdl.MetricsWindowSize
プロパティによって決定されたウィンドウ内のすべての観測値に基づいてメトリクスを計算します。Mdl.MetricsWindowSize
によってソフトウェアがWindow
メトリクスを更新する頻度も決まります。たとえば、Mdl.MetricsWindowSize
が 20 の場合、関数は提供されたデータの最後の 20 個の観測値に基づいてメトリクスを計算します (X((end – 20 + 1):end,:)
およびY((end – 20 + 1):end)
)。ウィンドウ内のパフォーマンス メトリクスを追跡するインクリメンタル関数は、次のプロセスを使用します。
指定された各メトリクスについて長さ
Mdl.MetricsWindowSize
のバッファーを保存し、観測値の重みのバッファーを保存します。入力観測値のバッチに基づくモデル性能をメトリクス バッファーの要素に入力し、対応する観測値の重みを重みバッファーに格納します。
バッファーがいっぱいになると、
Mdl.Metrics.Window
をメトリクス ウィンドウの性能の加重平均で上書きします。関数が観測値のバッチを処理するときにバッファーがあふれる場合、最新の入力観測値Mdl.MetricsWindowSize
がバッファーに入り、最も古い観測値がバッファーから削除されます。たとえば、Mdl.MetricsWindowSize
が 20 で、メトリクス バッファーには前に処理されたバッチからの 10 個の値が存在し、15 個の値が入力されるとします。長さ 20 のウィンドウを構成するため、関数は 15 個の入力観測値からの測定値と前のバッチからの最新の 5 個の測定値を使用します。
Cumulative
とWindow
のパフォーマンス メトリクスの値を計算する際、予測 (分類の場合はスコア、回帰の場合は応答) がNaN
の観測値は省略されます。
分類問題では、クラスの事前確率分布が既知の場合 (つまり、事前分布が経験分布でない場合)、updateMetrics
は、観測値の重みを正規化して、それぞれのクラスの事前クラス確率の合計になるようにします。このアクションは、観測値の重みが既定でそれぞれのクラスの事前確率であることを前提としています。
回帰問題の場合、またはクラスの事前確率分布が経験分布の場合、ソフトウェアは、updateMetrics
が呼び出されるたびに、指定された観測値の重みを正規化して、合計が 1 になるようにします。
拡張機能
使用上の注意および制限:
saveLearnerForCoder
、loadLearnerForCoder
およびcodegen
(MATLAB Coder) を使用して、関数updateMetrics
のコードを生成します。saveLearnerForCoder
を使用して、学習済みモデルを保存します。loadLearnerForCoder
を使用して保存済みモデルを読み込んで関数updateMetrics
を呼び出す、エントリポイント関数を定義します。次に、codegen
を使用して、エントリポイント関数のコードを生成します。updateMetrics
の単精度の C/C++ コードを生成するには、loadLearnerForCoder
関数を呼び出すときにDataType="single"
を指定します。次の表は、
updateMetrics
の引数に関する注意です。この表に含まれていない引数は、完全にサポートされています。引数 注意と制限 Mdl
モデル オブジェクトの使用上の注意および制限については、
incrementalClassificationLinear
またはincrementalRegressionLinear
を参照してください。X
バッチ間の観測値の数は可変サイズにすることができますが、対応する
Y
の観測値の数と等しくなければなりません。予測子変数の数は
Mdl.NumPredictors
と等しくなければなりません。X
はsingle
またはdouble
でなければなりません。
Y
バッチ間の観測値の数は可変サイズにすることができますが、対応する
X
の観測値の数と等しくなければなりません。分類問題では、
Y
のすべてのラベルをMdl.ClassNames
で表さなければなりません。Y
とMdl.ClassNames
は同じデータ型でなければなりません。
次の制限が適用されます。
データをシャッフルするように
Mdl
を構成した場合 (Mdl.Shuffle
がtrue
であるか、Mdl.Solver
が'sgd'
または'asgd'
)、関数updateMetrics
は、モデルをバッチに当てはめる前に観測値の各入力バッチを無作為にシャッフルします。シャッフルされた観測値の順序は、MATLAB® で生成される順序と一致しないことがあります。したがって、パフォーマンス メトリクスを更新する前にMdl
を当てはめた場合、MATLAB で計算されるメトリクスと生成コードで計算されるメトリクスが等しくならない場合があります。浮動小数点の入力引数およびオブジェクト プロパティには、すべて同質なデータ型を使用します。具体的には、
single
またはdouble
のいずれかです。
詳細は、コード生成の紹介を参照してください。
バージョン履歴
R2020b で導入
MATLAB Command
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Run the command by entering it in the MATLAB Command Window. Web browsers do not support MATLAB commands.
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