半正規分布
概要
半正規分布は、折り返された正規分布および打ち切られた正規分布の特殊なケースです。半正規分布の応用には、測定データや寿命データのモデル化などがあります。
パラメーター
半正規分布では、次のパラメーターを使用します。
パラメーター | 説明 |
---|---|
位置パラメーター | |
スケール パラメーター |
半正規分布のサポートは x ≥ μ です。
半正規確率分布オブジェクト HalfNormalDistribution
を作成するには、パラメーター値を指定して makedist
を使用します。半正規確率分布オブジェクトを標本データに当てはめるには、fitdist
を使用します。確率分布オブジェクトを作成せずに標本データから半正規分布のパラメーター値を推定するには、mle
を使用します。確率分布の処理の詳細については、確率分布の操作を参照してください。
Statistics and Machine Learning Toolbox™ における半正規分布の実装では、固定値の位置パラメーター μ を仮定しています。したがって、半正規分布を標本データに当てはめる際、fitdist
も mle
もパラメーター μ の値を推定しません。パラメーター μ の値は、名前と値のペアの引数 'mu'
を使用して指定できます。fitdist
と mle
の両方で、引数 'mu'
の既定値は 0 です。
確率密度関数
半正規分布の確率密度関数 (pdf) は次のようになります。
ここで、μ は位置パラメーター、σ はスケール パラメーターです。x ≤ μ である場合、pdf は定義されません。
半正規分布の pdf を計算するには、fitdist
または makedist
を使用して HalfNormalDistribution
確率分布オブジェクトを作成し、pdf
メソッドを使用してオブジェクトを操作します。
半正規確率分布の pdf
この例では、パラメーター mu
および sigma
の値を変更すると pdf の形状がどのように変化するかを示します。
パラメーターが異なる 4 つの確率分布オブジェクトを作成します。
pd1 = makedist('HalfNormal'); pd2 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',2); pd3 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',3); pd4 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',5);
各分布の確率密度関数 (pdf) を計算します。
x = 0:0.1:10; pdf1 = pdf(pd1,x); pdf2 = pdf(pd2,x); pdf3 = pdf(pd3,x); pdf4 = pdf(pd4,x);
同じ図に pdf をプロットします。
figure; plot(x,pdf1,'r','LineWidth',2) hold on; plot(x,pdf2,'k:','LineWidth',2); plot(x,pdf3,'b-.','LineWidth',2); plot(x,pdf4,'g--','LineWidth',2); legend({'mu = 0, sigma = 1','mu = 0, sigma = 2',... 'mu = 0, sigma = 3','mu = 0, sigma = 5'},'Location','NE'); hold off;
sigma
が大きくなると、曲線が平らになり、ピーク値が小さくなります。
累積分布関数
半正規分布の累積分布関数 (cdf) は次のようになります。
ここで、μ は位置パラメーター、σ はスケール パラメーター、erf(•) は誤差関数、Φ(•) は標準正規分布の cdf です。x ≤ μ である場合、cdf は定義されません。
半正規分布の cdf を計算するには、fitdist
または makedist
を使用して HalfNormalDistribution
確率分布オブジェクトを作成し、cdf
メソッドを使用してオブジェクトを操作します。
半正規確率分布の cdf
この例では、パラメーター mu
および sigma
の値を変更すると cdf の形状がどのように変化するかを示します。
パラメーターが異なる 4 つの確率分布オブジェクトを作成します。
pd1 = makedist('HalfNormal'); pd2 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',2); pd3 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',3); pd4 = makedist('HalfNormal','mu',0,'sigma',5);
各確率分布の累積分布関数 (cdf) を計算します。
x = 0:0.1:10; cdf1 = cdf(pd1,x); cdf2 = cdf(pd2,x); cdf3 = cdf(pd3,x); cdf4 = cdf(pd4,x);
同じ図に 4 つの cdf をすべてプロットします。
figure; plot(x,cdf1,'r','LineWidth',2) hold on; plot(x,cdf2,'k:','LineWidth',2); plot(x,cdf3,'b-.','LineWidth',2); plot(x,cdf4,'g--','LineWidth',2); legend({'mu = 0, sigma = 1','mu = 0, sigma = 2',... 'mu = 0, sigma = 3','mu = 0, sigma = 5'},'Location','SE'); hold off;
sigma
が大きくなると、cdf の曲線が平らになります。
記述統計
半正規分布の平均は次のようになります。
ここで、μ は位置パラメーター、σ はスケール パラメーターです。
半正規分布の分散は次のようになります。
ここで、σ はスケール パラメーターです。
他の分布との関係
平均 μ が 0、標準偏差 σ が 1 に等しい標準正規分布に確率変数 Z
が従っている場合、 はパラメーター μ および σ をもつ半正規分布になります。
参照
[1] Cooray, K. and M.M.A. Ananda. “A Generalization of the Half-Normal Distribution with Applications to Lifetime Data.” Communications in Statistics – Theory and Methods. Vol. 37, Number 9, 2008, pp. 1323–1337.
[2] Pewsey, A. “Large-Sample Inference for the General Half-Normal Distribution.” Communications in Statistics – Theory and Methods. Vol. 31, Number 7, 2002, pp. 1045–1054.