resubLoss
分類木モデルの再代入分類損失
説明
は、L
= resubLoss(tree
)tree.X
に格納されている学習データと tree.Y
に格納されている対応する真のクラス ラベルを使用して、学習済み分類木モデル tree
の再代入による分類損失 L
を返します。resubLoss
で既定で使用される損失は、fitctree
での tree
の作成に使用されたデータについて計算された損失です。
分類損失 (L
) は再代入の品質に対する尺度です。解釈は損失関数 (LossFun
) によって異なりますが、一般に、優れた分類器の方が分類損失値が小さくなります。LossFun
の既定値は "mincost"
(最小予測誤分類コスト) です。
L = resubLoss(
では、1 つ以上の名前と値の引数を使用して追加オプションを指定します。たとえば、tree
,Name=Value
)resubLoss
が分類損失の計算に使用する損失関数、枝刈りレベル、木のサイズを指定できます。
例
標本内分類誤差の計算
ionosphere
データについて、再代入分類誤差を計算します。
load ionosphere
tree = fitctree(X,Y);
L = resubLoss(tree)
L = 0.0114
各部分木の分類誤差の確認
枝刈りをしていない決定木は、過適合になる傾向があります。モデルの複雑さと標本外性能のバランスをとる方法の 1 つとして、標本内性能と標本外性能が十分高くなるように木の枝刈りを行います (つまり木の成長を制限します)。
フィッシャーのアヤメのデータ セットを読み込みます。データを学習セット (50%) と検証セット (50%) に分割します。
load fisheriris n = size(meas,1); rng(1) % For reproducibility idxTrn = false(n,1); idxTrn(randsample(n,round(0.5*n))) = true; % Training set logical indices idxVal = idxTrn == false; % Validation set logical indices
学習セットを使用して分類木を成長させます。
Mdl = fitctree(meas(idxTrn,:),species(idxTrn));
分類木を表示します。
view(Mdl,'Mode','graph');
この分類木には 4 つの枝刈りレベルがあります。レベル 0 は、(表示のように) 枝刈りされていない完全な木です。レベル 3 はルート ノードのみ (分割なし) です。
最上位レベルを除く各部分木 (枝刈りレベル) について、学習標本の分類誤差を確認します。
m = max(Mdl.PruneList) - 1;
trnLoss = resubLoss(Mdl,'Subtrees',0:m)
trnLoss = 3×1
0.0267
0.0533
0.3067
枝刈りされていない完全な木では、学習観測値の約 2.7% が誤分類されています。
レベル 1 まで枝刈りされた木では、学習観測値の約 5.3% が誤分類されています。
レベル 2 (切り株) まで枝刈りされた木では、学習観測値の約 30.6% が誤分類されています。
最上位を除く各レベルで検証標本の分類誤差を確認します。
valLoss = loss(Mdl,meas(idxVal,:),species(idxVal),'Subtrees',0:m)
valLoss = 3×1
0.0369
0.0237
0.3067
枝刈りされていない完全な木では、検証観測値の約 3.7% が誤分類されています。
レベル 1 まで枝刈りされた木では、検証観測値の約 2.4% が誤分類されています。
レベル 2 (切り株) まで枝刈りされた木では、検証観測値の約 30.7% が誤分類されています。
モデルの複雑さと標本外性能のバランスをとるには、Mdl
をレベル 1 まで枝刈りすることを検討します。
pruneMdl = prune(Mdl,'Level',1); view(pruneMdl,'Mode','graph')
入力引数
tree
— 分類木モデル
ClassificationTree
モデル オブジェクト
分類木モデル。fitctree
で学習させた ClassificationTree
モデル オブジェクトとして指定します。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで Name
は引数名、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。
R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name
を引用符で囲みます。
例: L = resubLoss(tree,Subtrees="all")
は、tree
の再代入分類損失を計算するときにすべての部分木を使用するように指定します。
LossFun
— 損失関数
"mincost"
(既定値) | "binodeviance"
| "classifcost"
| "classiferror"
| "exponential"
| "hinge"
| "logit"
| "quadratic"
| 関数ハンドル
損失関数。組み込みの損失関数名または関数ハンドルを指定します。
次の表に、組み込みの損失関数の値を示します。
値 | 説明 |
---|---|
"binodeviance" | 二項分布からの逸脱度 |
"classifcost" | 観測誤分類コスト |
"classiferror" | 10 進数の誤分類率 |
"exponential" | 指数損失 |
"hinge" | ヒンジ損失 |
"logit" | ロジスティック損失 |
"mincost" | 最小予測誤分類コスト (事後確率である分類スコアの場合) |
"quadratic" | 二次損失 |
"mincost"
は、事後確率である分類スコアに適しています。既定の設定では、分類木は分類スコアとして事後確率を返します (predict
を参照)。
関数ハンドル表記を使用して独自の関数を指定します。n は X
内の観測値の個数、K は異なるクラスの個数 (numel(tree.ClassNames)
) であるとします。使用する関数のシグネチャは次のようになっていなければなりません。
lossvalue = lossfun
(C,S,W,Cost)
出力引数
lossvalue
はスカラーです。関数名 (
lossfun
) を指定します。C
は n 行 K 列の logical 行列であり、対応する観測値が属するクラスを各行が示します。列の順序はtree.ClassNames
のクラスの順序に対応します。各行について観測値
p
がクラスq
に属する場合はC(p,q) = 1
を設定することにより、C
を作成します。行p
の他のすべての要素を0
に設定します。S
は、分類スコアの n 行 K 列の行列です。列の順序はtree.ClassNames
のクラスの順序に対応します。S
は分類スコアの行列で、predict
の出力と同様です。W
は、観測値の重みの n 行 1 列の数値ベクトルです。W
を渡す場合、重みは合計が1
になるように正規化されます。Cost
は、誤分類コストの、K 行 K 列の数値行列です。たとえば、Cost = ones(K) - eye(K)
は、正しい分類のコストとして0
を、誤分類のコストとして1
を指定します。
損失関数の詳細については、分類損失を参照してください。
例: LossFun="binodeviance"
例: LossFun=@
lossfun
データ型: char
| string
| function_handle
Subtrees
— 枝刈りレベル
0
(既定値) | 非負の整数のベクトル | "all"
枝刈りレベル。昇順の非負の整数のベクトルまたは "all"
として指定します。
ベクトルを指定する場合、すべての要素が 0
から max(tree.PruneList)
の範囲になければなりません。0
は枝刈りしない完全な木を、max(tree.PruneList)
は完全に枝刈りした木 (つまり、ルート ノードのみ) を表します。
"all"
を指定した場合、resubLoss
はすべての部分木 (つまり、枝刈り順序全体) に作用します。これは、0:max(tree.PruneList)
を指定することと同じです。
resubLoss
では、Subtrees
で指定された各レベルまで tree
の枝刈りを行ってから、対応する出力引数を推定します。Subtrees
のサイズにより、一部の出力引数のサイズが決まります。
関数で Subtrees
を呼び出すために、tree
の PruneList
プロパティと PruneAlpha
プロパティは空以外でなければなりません。言い換えると、fitctree
を使用するときに Prune="on"
を設定して tree
を成長させるか、prune
を使用して tree
を枝刈りすることで成長させます。
例: Subtrees="all"
データ型: single
| double
| char
| string
TreeSize
— 木のサイズ
"se"
(既定値) | "min"
木のサイズ。次の値のいずれかとして指定します。
"se"
—resubLoss
は、損失が最小値 (L
+se
、ここでL
とse
はSubtrees
における最小値) の 1 標準偏差以内である最も高い枝刈りレベルを最適な枝刈りレベル (BestLevel
) として返します。"min"
—resubLoss
は、損失が最も小さいSubtrees
の要素を最適な枝刈りレベルとして返します。通常、この要素はSubtrees
の最小要素です。
例: TreeSize="min"
データ型: char
| string
出力引数
SE
— 損失の標準誤差
数値ベクトル
損失の標準誤差。Subtrees
と同じ長さの数値ベクトルとして返されます。
Nleaf
— 葉ノードの数
整数値のベクトル
枝刈りされた部分木における葉ノードの数。Subtrees
と同じ長さの整数値のベクトルとして返されます。葉ノードは終端ノードであり、分割ではなく応答を与えます。
詳細
分類損失
"分類損失" 関数は分類モデルの予測誤差を評価します。複数のモデルで同じタイプの損失を比較した場合、損失が低い方が予測モデルとして優れていることになります。
以下のシナリオを考えます。
L は加重平均分類損失です。
n は標本サイズです。
バイナリ分類は以下です。
yj は観測されたクラス ラベルです。陰性クラスを示す -1 または陽性クラスを示す 1 (あるいは、
ClassNames
プロパティの最初のクラスを示す -1 または 2 番目のクラスを示す 1) を使用して符号化されます。f(Xj) は予測子データ X の観測値 (行) j に対する陽性クラスの分類スコアです。
mj = yjf(Xj) は、yj に対応するクラスに観測値 j を分類する分類スコアです。正の値の mj は正しい分類を示しており、平均損失に対する寄与は大きくありません。負の値の mj は正しくない分類を示しており、平均損失に大きく寄与します。
マルチクラス分類 (つまり、K ≥ 3) をサポートするアルゴリズムの場合、次のようになります。
yj* は、K - 1 個の 0 と、観測された真のクラス yj に対応する位置の 1 から構成されるベクトルです。たとえば、2 番目の観測値の真のクラスが 3 番目のクラスであり K = 4 の場合、y2* = [
0 0 1 0
]′ になります。クラスの順序は入力モデルのClassNames
プロパティ内の順序に対応します。f(Xj) は予測子データ X の観測値 j に対するクラス スコアのベクトルで、長さは K です。スコアの順序は入力モデルの
ClassNames
プロパティ内のクラスの順序に対応します。mj = yj*′f(Xj).したがって mj は、観測された真のクラスについてモデルが予測するスカラー分類スコアです。
観測値 j の重みは wj です。観測値の重みは、その合計が
Prior
プロパティに格納された対応するクラスの事前確率になるように正規化されます。そのため、次のようになります。
この状況では、名前と値の引数 LossFun
を使用して指定できる、サポートされる損失関数は次の表のようになります。
損失関数 | LossFun の値 | 式 |
---|---|---|
二項分布からの逸脱度 | "binodeviance" | |
観測誤分類コスト | "classifcost" | ここで、 はスコアが最大のクラスに対応するクラス ラベル、 は真のクラスが yj である場合に観測値をクラス に分類するユーザー指定のコストです。 |
10 進数の誤分類率 | "classiferror" | ここで、I{·} はインジケーター関数です。 |
クロスエントロピー損失 | "crossentropy" |
加重クロスエントロピー損失は次となります。 ここで重み は、合計が 1 ではなく n になるように正規化されます。 |
指数損失 | "exponential" | |
ヒンジ損失 | "hinge" | |
ロジット損失 | "logit" | |
最小予測誤分類コスト | "mincost" |
重み付きの最小予測分類コストは、次の手順を観測値 j = 1、...、n について使用することにより計算されます。
最小予測誤分類コスト損失の加重平均は次となります。 |
二次損失 | "quadratic" |
既定のコスト行列 (正しい分類の場合の要素値は 0、誤った分類の場合の要素値は 1) を使用する場合、"classifcost"
、"classiferror"
、および "mincost"
の損失の値は同じです。既定以外のコスト行列をもつモデルでは、ほとんどの場合は "classifcost"
の損失と "mincost"
の損失が等価になります。これらの損失が異なる値になる可能性があるのは、最大の事後確率をもつクラスへの予測と最小の予測コストをもつクラスへの予測が異なる場合です。"mincost"
は分類スコアが事後確率の場合にしか適さないことに注意してください。
次の図では、1 つの観測値のスコア m に対する損失関数 ("classifcost"
、"crossentropy"
、および "mincost"
を除く) を比較しています。いくつかの関数は、点 (0,1) を通過するように正規化されています。
真の誤分類コスト
真の誤分類コストは、観測値を誤ったクラスに分類するコストです。
分類器の作成時に、名前と値の引数 Cost
を使用してクラスごとの真の誤分類コストを設定できます。Cost(i,j)
は、真のクラスが i
の場合に観測値をクラス j
に分類するコストです。既定では、Cost(i,j)=1
(i~=j
の場合) および Cost(i,j)=0
(i=j
の場合) です。つまり、正しい分類のコストは 0
、誤った分類のコストは 1
です。
予測誤分類コスト
観測値ごとの予測誤分類コストは、観測をそれぞれのクラスに分類する平均コストです。
学習済みの分類器を使用して Nobs
個の観測値を分類するとします。また、K
個のクラスがあるとします。1 行に 1 観測ずつ、観測値を行列 X
に置きます。
予測コスト行列 CE
のサイズは、Nobs
行 K
列です。CE
の各行には、観測をそれぞれのクラス K
に分類する予測 (平均) コストが含まれます。CE(n,k)
は次のとおりです。
ここで、
K は、クラスの数です。
は、観測値 X(n) のクラス i の事後確率です。
は、真のクラスが i である観測値を k に分類する真の誤分類コストです。
拡張機能
GPU 配列
Parallel Computing Toolbox™ を使用してグラフィックス処理装置 (GPU) 上で実行することにより、コードを高速化します。
この関数は、GPU 配列を完全にサポートします。詳細は、GPU での MATLAB 関数の実行 (Parallel Computing Toolbox)を参照してください。
バージョン履歴
R2011a で導入
参考
loss
| resubEdge
| resubMargin
| resubPredict
| fitctree
| ClassificationTree
MATLAB コマンド
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