ガイドラインの運用ルールを決定する際の考慮事項
プロジェクトに採用するモデリング ガイドライン選択する前に、次のような、プロジェクトとモデルのさまざまな側面を考慮することが重要です。
プロセスの定義と開発環境
シミュレーションを利用したモデル ベースの開発は、安全な製品を開発するのに適しています。ただし、設計がシミュレーション可能であるからシステムが安全であるとは限りません。高品質な制御と機能が必要ですが、プロセス定義や使用される開発環境も同様に重要です。プロジェクトの開始時に安全なシステムの基盤を決定してから、開発を始めます。
MATLAB と Simulink のバージョン
各開発段階で使用される MATLAB® と Simulink® のバージョンは、プロジェクトの開始時に決定します。そのバージョンは、開発段階中にすべてのユーザーが使用しなければなりません。
開発プロセスの段階ごとに異なる MATLAB バージョンを使用できます。たとえば、R2017b でコードを生成および検証してから、Simulink Design Verifier™ を使用して R2020a でテスト ケースを開発できます。
MathWorks® Web サイト (https://www.mathworks.com/support/bugreports) にあるMathWorks が発行しているバグ レポートを定期的にチェックする必要があります。バグに応じて、バージョンの変更が必要になる場合があります。必要に応じて決定内容を変更することができます。この評価中に、次の両方のリスクを考慮することが重要です。
バグによる不具合
バージョンをアップグレードした結果
常に最新バージョンを利用できるようにし、安全なオプションを評価および判断するプロセスを実施することが必要です。
MATLAB およびSimulink の設定
MATLAB および Simulink の設定は、プロジェクトに従います。見た目に影響のある Simulink の設定は、プロジェクト全体で統一して適用することが重要です。
統一するオプションは次のとおりです。
Simulink 環境の設定:
新しいモデルの標準フォント設定 (ブロック、ライン、注釈)
マスク (編集マスク)
アイコンと端子
情報表示:
ライブラリ リンク
サンプル時間
(ブロック) 並べ替えられた実行順序
(信号と端子) 太い非スカラー ライン
(信号と端子) 端子のデータ型
以下のガイドランを参照してください。
使用可能なブロック
Simulink には多くのブロックがありますが、それらすべてがプロジェクトのあらゆる側面に適しているわけではありません。たとえば、量産品質のコードの生成には一部のブロックしか適していません。ブロックによっては、基本ブロックの組み合わせを使用する機能が、1 つのブロックで表される場合もあります。使用可能なブロックと設計を定義して、プロジェクトの要件や仕様に限定しなければなりません。
使用可能なブロックの数を大幅に制限すると、同じ機能の説明にばらつきがあって可読性が低下したり、コードの効率が低下したり、ユーザーのライブラリ数が増えるなど、悪影響が生じる可能性があります。
プロジェクトのユーザー ライブラリにカスタム ブロックを登録しなければなりません。
使用可能なブロックの定義については、db_0143: 各モデル階層で使用できるブロック タイプを参照してください。
最適化とコンフィギュレーション パラメーターの使用
プロジェクトにおける最適化オプションとコンフィギュレーション パラメーターの使い方を検討することが重要です。
最適化パラメーター
最適化オプションは、生成コードに大きく影響します。プロジェクトや製品のセキュリティと安全性の考慮事項への影響に関して、最適化オプションを厳密に評価し、適用します。
たとえば、最適化パラメーターはプロセスに次のような影響を与えます。
組み込みの自動車製品では、処理時間が高速で、RAM/ROM 要件が最小であることが重要です。これらの要件に対応するには、最適化パラメーターを [条件付き入力分岐実行] ペインで適用します。これらの最適化パラメーターは、Switch ブロックを使用することで、条件付き分岐の実行中に条件が保持されている側のみ実行することで、計算率を向上させます。
一方、航空産業では、実行速度の安定化が重要であるため、[条件付き入力分岐実行] ペインは無効にします。条件が保持されている側のみで計算が必要な場合でも、安定した計算時間を維持するために、両側の計算が推奨されます。
コンフィギュレーション パラメーター
次のコンフィギュレーション パラメーターを検討します。
ハードウェア実行の設定
シミュレーションとコード生成用の製品およびテスト ハードウェアのコンフィギュレーション セットアップを含む、モデル システムのハードウェアの特性を記述します。プロジェクトが使用するマイクロコンピューターと互換するように、これらのパラメーターを構成します。符号付き整数の除算の丸めを定義しない場合、意図しないユーティリティ関数が挿入される場合があります。
モデル参照の設定
モデル参照を使用するときに指定します。このモデルに他のモデルを含めるオプション、別のモデルにこのモデルを含めるオプション、およびシミュレーションとコード生成ターゲットのビルド オプションを指定します。
シミュレーション ターゲットの設定
MATLAB Function、Stateflow® Chart (Stateflow)、またはTruth Table (Stateflow)ブロックを使用してモデルのシミュレーション ターゲットを構成します。
高信頼性構成の設定
高信頼性構成の設定の詳細については、高信頼性システムのモデリングガイドラインのコンフィギュレーション パラメーターの考慮事項を参照してください。
コード生成コンフィギュレーションの設定
コード生成コンフィギュレーションの設定の詳細については、コード生成モデリング ガイドラインを参照してください。