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予知保全アルゴリズムの状態インジケーターの設計

予知保全により、機器のユーザーや製造元は、機械の動作状態を評価したり、故障を診断したり、機器の故障が次に発生する時期を推定したりできます。故障を診断または予測できれば、事前に保全の計画を立て、より適切にインベントリを管理し、ダウンタイムを減らし、運用効率を高めることができます。

予知保全プログラムの完全なワークフローには、データ収集から始まり、状態監視アルゴリズムの展開と統合まで続く、複数のステップが含まれます。詳細については、状態監視と予知保全のアルゴリズムの設計を参照してください。

予知保全アルゴリズムの開発における重要な手順に、状態インジケーターの設計があります。状態インジケーターは、その動作がシステムの劣化とともに予測可能な形で変化する、システム データの特徴です。状態インジケーターには、正常動作と故障動作の区別や残存耐用期間の予測に役立つ任意の特徴を指定できます。有用な状態インジケーターは、類似のシステム ステータスをクラスターにまとめ、異なるステータスを分離します。状態インジケーターの例には、以下から求めた数量が含まれます。

  • 経時的なデータの平均値などの、単純な解析

  • 信号スペクトルのピーク振幅の周波数、回転するソースからの信号の時間同期平均化などの、より複雑な信号解析

診断特徴デザイナー アプリでは、多機能グラフィカル インターフェイスを使用して、特徴を作成し、状態インジケーターの候補を評価できます。

Diagnostic Feature Designer interface. The toolstrip is along the top. The Variables pane that lists variables and feature tables is on the left. A ranked set of features are shown graphically in the middle and numerically on the right.

アプリはデータ アンサンブルを処理します。"アンサンブル" は、さまざまな状態下でシステムを測定またはシミュレートすることによって作成されたデータ セットのコレクションです。1 つの状態セットにおける 1 つのシステムについて表す個々のデータ セットが "メンバー" です。診断特徴デザイナーは、1 つの操作の実行時にすべてのアンサンブル メンバーを処理します。

診断特徴デザイナー内で、以下を対話的に実行できます。

  • アンサンブル メンバーをまとめてプロットおよび操作して、データ アンサンブルを視覚的に調べます。

  • データをさらに詳しく調べるために、さまざまな形式に変換します。たとえば、信号のパワー スペクトルを作成して、周波数領域の動作を評価できます。また、時間同期平均化を実行して、マシンの回転に関連しないノイズや外乱をフィルター処理で除外できます。

  • さまざまなタイプの特徴を生成し、異なる状態のシステムからのデータを分ける際に各特徴の有効度を可視化するヒストグラムをプロットします。

  • どの特徴が最も効果的かを特定の条件に基づいて判定するランク付けアルゴリズムを使用して、生成された特徴をランク付けします。

  • アプリのデータ セットまたは特徴セットを MATLAB® ワークスペースにエクスポートします。また、モデルの開発や追加の特徴の評価用に、特徴セットを分類学習器にエクスポートします。

  • 特徴の計算を他のデータ セットや大規模なデータ セットで実行できるように、特徴に対する MATLAB コードを生成します。

次の 3 部構成のチュートリアルでは、初期データのインポートから、選択した特徴のエクスポートまで、トランスミッション システム モデルに対する診断特徴デザイナーのワークフローを示します。