イメージ レジストレーション方法の選択
イメージ レジストレーションとは、同じシーンの複数イメージを位置合わせするプロセスです。このプロセスでは 1 つのイメージを参照イメージ (固定イメージとも呼ばれる) として指定し、その他のイメージに幾何学的変換や局所的変位を適用して参照と位置合わせします。イメージの位置のずれには、さまざまな理由があります。一般に、イメージは一定でない条件の下でキャプチャされるため、カメラの視点が移動したりシーンの内容が変わったりすることがあります。レンズやセンサーの歪みまたはキャプチャ デバイス間の相違によって、位置がずれることもあります。
イメージ レジストレーションは、他のイメージ処理アプリケーションでは準備手順としてよく使われます。たとえば、イメージ レジストレーションは、衛星イメージまたは MRI や SPECT などのさまざまな医療診断モダリティでキャプチャされた医用画像の位置合わせに使用できます。イメージ レジストレーションによって、異なるイメージに含まれている共通の特徴を比較できます。たとえば、川がどのように移動したか、土地がどのように浸水したか、MRI や SPECT のイメージに腫瘍が見られるかどうかなどを調べることができます。
Image Processing Toolbox™ は、3 つのイメージ レジストレーション方法、対話型レジストレーション推定アプリ、強度ベースの自動イメージ レジストレーション、コントロール ポイント レジストレーションを提供します。Computer Vision Toolbox™ は、自動の特徴検出や特徴マッチングを提供します。
Capability | レジストレーション推定アプリ | 強度ベースの自動イメージ レジストレーション | コントロール ポイント レジストレーション | 自動特徴検出およびマッチング (Computer Vision Toolbox が必要) |
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対話型レジストレーション | X | |||
強度ベースの自動レジストレーション | X | X | ||
自動特徴検出 | X | X | ||
手動特徴選択 | X | |||
自動特徴マッチング | X | X | X | |
非剛体変換 | X | X | X | |
全自動ワークフロー | X | X | ||
3 次元イメージのサポート | X |
レジストレーション推定アプリ
レジストレーション推定アプリでは 2 次元イメージのレジストレーションを対話形式で行うことができます。さまざまなレジストレーション手法を比較し、設定を調整してレジストレーションされたイメージを可視化できます。このアプリは画質の定量的な尺度を備え、また、レジストレーションされたイメージとその変換行列を返します。また、選択されたレジストレーションの手法と設定を含むコードが生成されるため、同じ変換を複数のイメージに適用できます。
レジストレーション推定アプリには、6 つの特徴ベースの手法、3 つの強度ベースの手法、1 つの非剛体レジストレーション手法があります。使用可能な手法の詳細な比較は、レジストレーション推定アプリでサポートされる手法を参照してください。
強度ベースの自動イメージ レジストレーション
強度ベースの自動イメージ レジストレーションは、各イメージ内のピクセルを、相対的な強度のパターンに基づいてマッピングします。モノモーダルおよびマルチモーダルいずれものイメージのペアのレジストレーション、また 2 次元および 3 次元のイメージのレジストレーションが可能です。この方法は次の場合に役立ちます。
膨大なイメージのレジストレーション
自動レジストレーション
強度ベースの手法でイメージをレジストレーションするには、imregister
を使用し、移動イメージに適用する幾何学的変換のタイプを指定します。imregister
は変換を反復的に調整して 2 つのイメージの類似性を最適化します。
または、imregdemons
により、局所変位場を推定し、移動イメージに非剛体変換を適用することもできます。
コントロール ポイント レジストレーション
コントロール ポイント レジストレーションによって、各イメージに含まれている共通の特徴を手動で選択できます。コントロール ポイント レジストレーションは次の場合に役立ちます。
自動特徴検出で検出された特徴全体ではなく、特定の特徴の位置合わせを優先する場合。たとえば、2 つの医用画像のレジストレーションにおいて、必要な解剖学的特徴での位置合わせに注目し、マッチした特徴 (解剖学的構造としてそれほど参考にならない) を無視することもできます。
イメージに反復パターンがあり、自動特徴マッチングを使用すると、不確実なマッピングになる場合。たとえば、多くの窓の付いた建物の写真または都市の碁盤目状の街路を示す航空写真には、自動マッピングが困難な類似の特徴が多数含まれています。この場合、コントロール ポイントのペアを手動で選択すると、特徴のマッピングが明確になるため、特徴点の位置を合わせる変換を改善できます。
コントロール ポイント レジストレーションは、多くの変換タイプを移動イメージに適用できます。グローバル変換はイメージ全体に一様に作用し、これにはアフィン変換、射影変換および多項式の幾何学的変換が含まれます。非剛体変換は、局所的な領域に作用し、区分的線形変換や局所重み付き平均変換が含まれます。
コントロール ポイントの選択には、コントロール ポイント選択ツールを使用します。このツールは cpselect
で開始します。
自動特徴検出およびマッチング
自動化された特徴の検出と抽出 (Computer Vision Toolbox)は、コーナーやブロブなどの特徴を検出し、移動イメージと固定イメージの対応する特徴のマッチングを行ったうえでマッチした特徴の位置を合わせる幾何学的変換を推定します。
例については、自動特徴マッチングを使用したイメージの回転とスケールの検出 (Computer Vision Toolbox)を参照してください。このメソッドを使用するには、Computer Vision Toolbox が必要です。
メモ
レジストレーション推定アプリには、一組のイメージをレジストレーションするための 6 つの特徴ベースの手法が用意されています。ただし、複数のイメージをレジストレーションするための自動ワークフローは提供されていません。