このページの翻訳は最新ではありません。ここをクリックして、英語の最新版を参照してください。
dsp.ColoredNoise
カラード ノイズ信号の生成
説明
dsp.ColoredNoise
System object™ は、周波数全体で1/|f|α のパワー スペクトル密度 (PSD) をもつカラード ノイズ信号を生成します。周波数の逆べき乗 α には、区間 [-2 2]
の任意の値を指定できます。オブジェクトで生成されるカラード ノイズのタイプは、選択したColorに応じて変わります。Color
を 'custom'
に設定すると、InverseFrequencyPowerプロパティを使ってノイズのパワー密度を指定できます。
このオブジェクトでは、既定の MATLAB® ランダム ストリームである RandStream
が使用されます。反復可能なシミュレーションの既定のストリームをリセットします。
カラード ノイズ信号を生成するには、次のようにします。
dsp.ColoredNoise
オブジェクトを作成し、そのプロパティを設定します。関数と同様に、引数を指定してオブジェクトを呼び出します。
System object の機能の詳細については、System object とはを参照してください。
作成
構文
説明
は、カラード ノイズ オブジェクト cn
= dsp.ColoredNoisecn
を作成します。このオブジェクトは、一度に 1 サンプルまたは 1 フレームのノイズ信号を出力し、周波数全体で 1/|f|α のスペクトラル特性を持ちます。α の標準値は α = 1 (ピンク ノイズ) と α = 2 (ブラウニアン ノイズ) です。
は指定されたそれぞれのプロパティを指定された値に設定して、カラード ノイズ オブジェクトを作成します。各プロパティ名を一重引用符で囲みます。 cn
= dsp.ColoredNoise(Name=Value
)
例: dsp.ColoredNoise(Color='pink');
は、cn
= dsp.ColoredNoise(pow,samp,numChan,Name=Value
)InverseFrequencyPower
プロパティを pow、SamplesPerFrame
プロパティを samp、NumChannels
プロパティを numChan に設定して、カラード ノイズ オブジェクトを作成します。
例: dsp.ColoredNoise(1,44.1e3,1,OutputDataType='single');
は、cn
= dsp.ColoredNoise(color,samp,numChan,Name=Value
)Color
プロパティを color、SamplesPerFrame
プロパティを samp、NumChannels
プロパティを numChan に設定して、カラード ノイズ オブジェクトを作成します。
例: dsp.ColoredNoise('pink',1024,2,OutputDataType='single');
プロパティ
使用法
説明
出力引数
オブジェクト関数
オブジェクト関数を使用するには、System object を最初の入力引数として指定します。たとえば、obj
という名前の System object のシステム リソースを解放するには、次の構文を使用します。
release(obj)
例
詳細
アルゴリズム
次の図に、カラード ノイズを生成する全体的なプロセスを示します。
乱数ストリーム ジェネレーターは、ガウス分布または一様分布に従うホワイト ノイズのストリームを生成します。ホワイト ノイズに適用されるカラー フィルターは、次のようなパワー スペクトル密度 (PSD) 関数に従うカラード ノイズを生成します。
α (周波数の逆べき乗) が 0 に等しい場合、カラー フィルターは乱数ストリーム ジェネレーターの出力に適用されません。範囲のオプションが有効になっている場合、出力は振幅が +1 と -1 の間にある一様なホワイト ノイズになります。範囲のオプションが有効になっていない場合、出力はガウス型のホワイト ノイズになり、値は +1 と -1 の間に制限されません。α が他の値に設定されている場合、カラー フィルターが乱数ストリーム ジェネレーターの出力に適用されます。範囲のオプションが有効になっている場合、絶対最大出力が 1
を超えないように、ゲイン g がカラー フィルターの出力に適用されます。
カラード ノイズ過程の詳細と、α の値がカラード ノイズの PSD にどのような影響を与えるかについては、カラード ノイズ過程を参照してください。
周波数の逆べき乗 α が正である場合、カラード ノイズは次数 63 の自己回帰 (AR) モデルを使用して生成されます。AR の係数は、次のようになります。
ピンク ノイズとブラウン ノイズは特殊なケースであり、それぞれ次数 12 および 10 の特別に調整された SOS フィルターから生成されます。これらのフィルターは、パフォーマンスが向上するように最適化されています。
周波数の逆べき乗 α が負である場合、カラード ノイズは次数 255 の移動平均 (MA) モデルを使用して生成されます。MA の係数は、次のようになります。
パープル ノイズは 1 次フィルターから生成され、B = [1 −1] です。
適用されるカラー フィルター (ピンク、ブラウンおよびパープルを除く) の詳細については、[2]の pp. 820 ~ 822 を参照してください。
参照
[1] Beran, J., Y. Feng, S. Ghosh, and R. Kulik, Long-Memory Processes: Probabilistic Properties and Statistical Methods. NewYork: Springer, 2013.
[2] Kasdin, N.J. "Discrete Simulation of Colored Noise and Stochastic Processes and 1/fα Power Law Noise Generation." Proceedings of the IEEE®, Vol. 83, No. 5, 1995, pp. 802–827.