SISO Fading Channel
SISO マルチパス フェージング チャネルによる入力信号のフィルター処理
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説明
SISO Fading Channel ブロックは、単入力単出力 (SISO) マルチパス フェージング チャネルからの入力信号をフィルター処理します。このブロックは、レイリー フェージングおよびライス フェージングの両方をモデル化します。処理の詳細については、アルゴリズムの節を参照してください。
例
Simulink のマルチパス フェージング チャネル
SISO Fading Channel ブロックを使用して、マルチパス レイリー フェージング チャネルとライス フェージング チャネルをシミュレートする。
端子
入力
in — 入力データの信号
ベクトル
入力信号。NS 行 1 列のベクトルとして指定します。NS は、入力信号中のサンプルの数を示します。
データ型: double
| single
複素数のサポート: あり
出力
Out1 — フェージング チャネルの出力データ信号
ベクトル
フェージング チャネルの出力データ信号。NS 行 1 列の行列として返されます。NS は、入力信号中のサンプルの数を示します。
Gain — 離散パス ゲイン
行列
潜在的なフェージング処理の離散パス ゲイン。NS 行 NP 列の行列として返されます。
NS は、入力信号中のサンプルの数を示します。
NP は、チャネル パスの数を表します。
依存関係
この端子を有効にするには、[メイン] タブで、[チャネル パス ゲインの出力] を選択します。
Delay — チャネル フィルターの遅延
スカラー
パラメーター
ブロック パラメーターを対話的に編集するには、プロパティ インスペクターを使用します。Simulink® ツールストリップの [シミュレーション] タブの [準備] ギャラリーで [プロパティ インスペクター] を選択します。
[メイン] タブ
マルチパス パラメーター (周波数選択性)入力からサンプル レートを継承 — 入力からサンプルレートを継承するオプション
on (既定値) | off
処理時に入力信号のサンプルレートを使用するには、このパラメーターを選択します。[入力からサンプル レートを継承] を選択した場合、サンプル レートは NS/TS です。ここで、NS は入力サンプルの数であり、TS はモデル サンプル時間です。
サンプル レート (Hz) — 入力信号のサンプル レート
1
(既定値) | 正のスカラー
入力信号のサンプルレート (Hz 単位)。正のスカラーとして指定します。モデル設定を一致させるには、サンプルレートを NS/TS に設定します。ここで、NS は入力サンプルの数であり、TS はモデル サンプル時間です。
依存関係
このパラメーターは、[入力からサンプル レートを継承] が選択されていない場合に表示されます。
Discrete path delays (s) — 各離散パスの遅延
0
(既定値) | 非負のスカラー | 行ベクトル
各離散パスの遅延 (秒)。非負のスカラーまたは行ベクトルとして指定します。
[Discrete path delays (s)] にスカラーを設定すると、SISO チャネルは周波数フラットになります。
[Discrete path delays (s)] にベクトルを設定すると、SISO チャネルは周波数選択性になります。
Average path gains (dB) — 各離散パスの平均ゲイン
0
(既定値) | スカラー | 行ベクトル
各離散パスの平均ゲイン (デシベル)。スカラーまたは行ベクトルとして指定します。[Average path gains (dB)] のサイズは [Discrete path delays (s)] と同じでなければなりません。
Normalize average path gains to 0 dB — 平均パス ゲインを 0 dB に正規化するためのオプション
on (既定値) | off
このパラメーターを選択すると、フェージング処理が正規化され、長時間で平均したパス ゲインの強度の総和は 0 dB になります。
Fading distribution — チャネルのフェージング分布
Rayleigh
(既定値) | Rician
チャネルのフェージング分布。[Rayleigh]
または [Rician]
のいずれかを選択します。
K ファクター — ライス フェージング チャネルの K ファクター
3
(既定値) | 正のスカラー | 非負の値の行ベクトル
ライス フェージング チャネルの K ファクター。正のスカラーまたは非負の値の 1 行 NP 列のベクトルとして指定します。NP は、[Discrete path delays (s)] パラメーターの値と等しくなります。
[K-factors] がスカラーの場合、最初の離散パスはライス K ファクターが [K-factors] のライス フェージング処理です。残りの離散パスは、独立したレイリー フェージング処理になります。
[K-factors] が行ベクトルの場合、[K-factors] ベクトルの正の要素に対応する離散パスは、この要素によってライス K ファクターが指定されるライス フェージング処理です。[K-factors] ベクトルのゼロ値の要素に対応する離散パスはレイリー フェージング処理です。少なくとも 1 つの要素の値は非ゼロでなければなりません。
依存関係
このパラメーターは、[Fading distribution] を [ライス]
に設定すると表示されます。
LOS path Doppler shifts (Hz) — 見通し内成分のドップラー シフト
0
(既定値) | スカラー | 行ベクトル
ライス フェージング チャネルの見通し内成分のドップラー シフト (ヘルツ単位)。スカラーまたは行ベクトルとして指定します。このパラメーターは、[K-factors] と同じサイズでなければなりません。
[LOS path Doppler shifts (Hz)] をスカラーに設定した場合、この値は、ライス フェージング処理である最初の離散パスの見通し内成分のドップラー シフトを表します。
[LOS path Doppler shifts (Hz)] を行ベクトルに設定した場合、ライス フェージング処理である離散パスは、[K-factors] ベクトルの正の要素に対応する [LOS path Doppler shifts (Hz)] の要素によって指定される見通し内成分のドップラー シフトをもちます。
依存関係
このパラメーターは、[Fading distribution] を [ライス]
に設定すると表示されます。
LOS path initial phases (rad) — 見通し内成分の初期位相
0
(既定値) | スカラー | 行ベクトル
ライス フェージング チャネルの見通し内成分の初期位相 (ラジアン単位)。スカラーまたは行ベクトルとして指定します。このパラメーターは、[K-factors] と同じサイズでなければなりません。
[LOS path initial phases (rad)] をスカラーに設定した場合、この値は、ライス フェージング処理である最初の離散パスの見通し内成分の初期位相を表します。
[LOS path initial phases (rad)] を行ベクトルに設定した場合、ライス フェージング処理である離散パスは、[K-factors] ベクトルの正の要素に対応する [LOS path initial phases (rad)] の要素によって指定される見通し内成分の初期位相をもちます。
依存関係
このパラメーターは、[Fading distribution] を [ライス]
に設定すると表示されます。
Maximum Doppler shift (Hz) — すべてのチャネル パスの最大ドップラー シフト
0.001
(既定値) | 非負のスカラー
すべてのチャネル パスの最大ドップラー シフト (ヘルツ単位)。非負のスカラーとして指定します。
[Maximum Doppler shift (Hz)] は各パスについて (fs/10)/fc 以下でなければなりません。ここで fs はこのブロックに対する入力でのサンプル レートです。fc は、そのパスのカットオフ周波数係数を表します。詳細については、カットオフ周波数係数を参照してください。
Doppler spectrum — すべてのチャネル パスのドップラー スペクトルの形状
doppler('Jakes')
(既定値) | doppler('Flat')
| doppler('Rounded', ...)
| doppler('Bell', ...)
| doppler('Asymmetric Jakes', ...)
| doppler('Restricted Jakes', ...)
| doppler('Gaussian', ...)
| doppler('BiGaussian', ...)
すべてのチャネル パスのドップラー スペクトルの形状。関数 doppler
から返される単一のドップラー スペクトル構造体またはそのような構造の 1 行 NP 列の cell 配列として指定します。このパラメーターの既定値は Jakes ドップラー スペクトル (doppler('Jakes')
) です。
doppler
に単一の呼び出しを割り当てると、すべてのパスは同じ指定されたドップラー スペクトルをもちます。1 行 NP 列の cell 配列の呼び出しを、任意の指定された構文を使用して
doppler
に割り当てると、各パスは、配列の対応するドップラー スペクトル構造体により指定されるドップラー スペクトルをもちます。この場合、NP は、[Discrete path delays (s)] パラメーターの値と等しくなります。
依存関係
このパラメーターは、[Maximum Doppler shift (Hz)] をゼロより大きい値に設定した場合に適用されます。
初期シード — 乱数発生器の初期シード
73
(既定値) | 非負の整数
このブロックの乱数発生器の初期シード。非負の整数として指定します。
チャネル パス ゲインの出力 — チャネル パス ゲインを出力するためのオプション
off (既定値) | on
このパラメーターを選択すると、Gain 出力端子がブロックに追加され、潜在的なフェージング処理のチャネル パス ゲインが出力されます。
Output channel filter delay — チャネル フィルターの遅延を出力するためのオプション
off (既定値) | on
このパラメーターを選択すると、Delay 出力端子がブロックに追加され、潜在的なフェージング処理のチャネル フィルター遅延が出力されます。
シミュレーション実行方法 — コンパイル タイプ
インタープリター型実行
(既定値) | コード生成
コンパイル タイプ。[コード生成]
または [インタープリター型実行]
として指定します。
インタープリター型実行
— MATLAB® インタープリターを使用してモデルをシミュレートします。このオプションを使用すると、シミュレーションの起動時間は短くなりますが、シミュレーションの速度は[コード生成]
よりも遅くなります。コード生成
— 生成された C コードを使用してモデルをシミュレートします。シミュレーションの初回実行時、Simulink は対象ブロックの C コードを生成します。この C コードは、モデルが変更されない限り以降のシミュレーションで再利用されます。このオプションを使用すると、シミュレーションの起動時間は長くなりますが、シミュレーションの速度は[インタープリター型実行]
よりも速くなります。
[Visualization] タブ
チャネルの可視化 — チャネル可視化の選択
Off
(既定値) | インパルス応答
| 周波数応答
| Doppler spectrum
| [Impulse and frequency responses]
チャネル可視化を次から選択します。[Off]
、[Impulse response]
、[Frequency response]
、[Doppler spectrum]
、または [Impulse and frequency responses]
。可視化がオンの場合、インパルス応答やドップラー スペクトルなどの選択したチャネルの特性が別のウィンドウに表示されます。詳細については、チャネルの可視化を参照してください。
表示するサンプルの割合 — 表示するサンプルの割合
25%
(既定値) | 10%
| 50%
| 100%
表示するサンプルの割合を次から選択します。[10%]
、[25%]
、[50%]
、または [100%]
。パーセンテージを大きくすると表示の精度が向上しますが、シミュレーションの速度が低下します。
依存関係
このパラメーターは、[チャネルの可視化] を [インパルス応答]
、[周波数応答]
、または [Impulse and frequency responses]
に設定すると表示されます。
Path for Doppler spectrum display — 表示されるドップラー スペクトルのパス
1
(既定値) | 正の整数
表示されるドップラー スペクトルのパス。正の整数 1 から NP として指定します。ここで、NP は、[Discrete path delays (s)] パラメーターの値に等しくなります。
依存関係
このパラメーターは、[チャネルの可視化] を [Doppler spectrum]
に設定すると表示されます。
ブロックの特性
データ型 |
|
多次元信号 |
|
可変サイズの信号 |
|
アルゴリズム
SISO チャネルのフェージング処理は、マルチパス フェージング チャネルのシミュレーションの方法論で説明されています。
カットオフ周波数係数
カットオフ周波数係数、fc は、ドップラー スペクトルのタイプに応じて決まります。
ガウスと二重ガウス以外の種類のドップラー スペクトルでは、fc は 1 になります。
doppler
('Gaussian')
のスペクトル タイプでは、fc はNormalizedStandardDeviation
と等しくなります。doppler
('BiGaussian')
スペクトル タイプの場合は、以下のとおりです。PowerGains
(1)
およびNormalizedCenterFrequencies
(2)
フィールドの値が両方とも0
の場合は、fc がNormalizedStandardDeviation
(1)
と等しくなります。PowerGains
(2)
およびNormalizedCenterFrequencies
(1)
フィールドの値が両方とも0
の場合は、fc がNormalizedStandardDeviation
(2)
と等しくなります。NormalizedCenterFrequencies
フィールドの値が[0,0]
でNormalizedStandardDeviation
フィールドが 2 つの同一要素をもつ場合、fc はNormalizedStandardDeviation
(1)
と等しくなります。その他のすべての場合で、fc は 1 と等しくなります。
参照
[1] Oestges, C., and B. Clerckx. MIMO Wireless Communications: From Real-World Propagation to Space-Time Code Design. Academic Press, 2007.
[2] Correira, L. M. Mobile Broadband Multimedia Networks: Techniques, Models and Tools for 4G. Academic Press, 2006.
[3] Kermoal, J. P., L. Schumacher, K. I. Pedersen, P. E. Mogensen, and F. Frederiksen. "A stochastic MIMO radio channel model with experimental validation." IEEE Journal on Selected Areas of Communications. Vol. 20, Number 6, 2002, pp. 1211–1226.
[4] Jeruchim, M., P. Balaban, and K. S. Shanmugan. Simulation of Communication Systems. Second Edition. New York: Kluwer Academic/Plenum, 2000.
[5] Pätzold, Matthias, Cheng-Xiang Wang, and Bjorn Olav Hogstand. "Two New Sum-of-Sinusoids-Based Methods for the Efficient Generation of Multiple Uncorrelated Rayleigh Fading Waveforms." IEEE Transactions on Wireless Communications. Vol. 8, Number 6, 2009, pp. 3122–3131.
拡張機能
C/C++ コード生成
Simulink® Coder™ を使用して C および C++ コードを生成します。
バージョン履歴
R2017b で導入R2022b: チャネルの可視化表示の更新
チャネルの可視化機能で次が提供されるようになりました。
プロット ウィンドウの下部ツール バーのコンフィギュレーション設定。
Impulse and frequency response
チャネル可視化オプション選択時に、1 つのウィンドウで左右に並べてプロット。
MATLAB コマンド
次の MATLAB コマンドに対応するリンクがクリックされました。
コマンドを MATLAB コマンド ウィンドウに入力して実行してください。Web ブラウザーは MATLAB コマンドをサポートしていません。
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