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comm.ACPR

隣接チャネル電力比 (ACPR) の測定

説明

comm.ACPR System object™ は入力信号の ACPR を測定します。

入力信号の ACPR は次により測定します。

  1. comm.ACPR オブジェクトを作成し、そのプロパティを設定します。

  2. 関数と同様に、引数を指定してオブジェクトを呼び出します。

System object の機能の詳細については、System object とはを参照してください。

作成

説明

acpr = comm.ACPR は、ACPR 測定 System object を作成します。

acpr = comm.ACPR(Name,Value) は、名前と値からなる 1 つ以上の引数を使用してプロパティを設定します。たとえば、comm.ACPR('NormalizedFrequency',true) は正規化周波数値をもつ ACPR 測定オブジェクトを作成します。

プロパティ

すべて展開する

特に指定がない限り、プロパティは "調整不可能" です。つまり、オブジェクトの呼び出し後に値を変更することはできません。オブジェクトは呼び出すとロックされ、ロックを解除するには関数 release を使用します。

プロパティが "調整可能" の場合、その値をいつでも変更できます。

プロパティ値の変更の詳細については、System object を使用した MATLAB でのシステム設計を参照してください。

正規化周波数値。次のいずれかの logical 値として指定します。

  • 0 (false) — 周波数値は Hz 単位で測定されます。

  • 1 (true) — 周波数値は [-1, 1] の範囲で正規化されます。

データ型: logical | double

入力信号のサンプル レート (Hz 単位)。正のスカラーとして指定します。

依存関係

このプロパティを有効にするには、NormalizedFrequency プロパティを false に設定します。

データ型: double

メイン チャネル中心周波数。数値スカラーとして指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合、中心周波数は [−1, 1] の範囲で正規化された値として指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合、中心周波数は Hz 単位で指定します。

このプロパティは、オブジェクトが MainMeasurementBandwidth プロパティで指定する帯域幅でメイン チャネル電力を測定する位置を指定します。これら 2 つのプロパティを設定する方法の詳細については、アルゴリズムを参照してください。

データ型: double

メイン チャネル測定帯域幅。正のスカラーとして指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合、測定帯域幅は [0, 1] の範囲で正規化された値として指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合、測定帯域幅は Hz 単位で指定します。

このプロパティは、オブジェクトがメイン チャネル電力を測定する帯域幅を指定します。測定は、MainChannelFrequency プロパティで指定する周波数の中心で行われます。これら 2 つのプロパティを設定する方法の詳細については、アルゴリズムを参照してください。

データ型: double

隣接チャネル周波数オフセット。対象の隣接チャネルの位置を定義する周波数を構成する、数値スカラーまたは行ベクトルとして指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合、隣接チャネル周波数オフセットは [-1, 1] の範囲で正規化された値として指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合、隣接チャネル周波数オフセットは Hz 単位で指定します。

オフセット値は、メイン チャネル中心周波数と隣接チャネル中心周波数の間の距離を示しています。正のオフセットは、メイン チャネル中心周波数の右側に隣接チャネルがあることを示します。負のオフセットは、メイン チャネル中心周波数の左側に隣接チャネルがあることを示します。隣接チャネルのプロパティを設定する方法の詳細については、アルゴリズムを参照してください。

データ型: double

各隣接チャネルの測定帯域幅。次のいずれかのオプションとして指定します。

  • 数値スカラー — オブジェクトは複数の等しい測定帯域幅内にあるすべての隣接チャネル電力測定値を取得します。

  • AdjacentChannelOffset プロパティで指定されたオフセット数に等しい長さの数値行ベクトル — オブジェクトは、それぞれの隣接チャネル電力測定値を、その対応する周波数オフセットが定義する周波数を中心として位置する特定の帯域幅に基づいて取得します。この周波数オフセットは AdjacentChannelOffset プロパティで定義します。

このプロパティの値は、NormalizedFrequency プロパティを基準に設定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合、測定帯域幅の値は [0, 1] の範囲で正規化された値として指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合、測定帯域幅の値は Hz 単位で指定します。

隣接チャネルのプロパティを設定する方法の詳細については、アルゴリズムを参照してください。

データ型: double

測定フィルターのソース。次のいずれかの値を指定します。

  • 'None' — オブジェクトはフィルター処理による ACPR 測定値の取得を行いません。

  • 'Property' — オブジェクトは平均電力を測定する前にメイン チャネルに測定フィルターを適用します。MeasurementFilter プロパティを使用して測定フィルター係数を指定します。各隣接チャネル帯域も測定フィルターを受信します。

データ型: char | string

測定フィルター係数。FIR フィルター係数を多項式の降べきの順に含む数値行ベクトルとして指定します。フィルター応答の中心を DC にします。オブジェクトは、自動的にシフトしてメインおよび隣接するチャネルの中心周波数にフィルター応答を適用した後、平均電力測定値を取得します。内部フィルター状態はオブジェクトの呼び出し間で存続します。状態をクリアするには、オブジェクト関数 reset を呼び出します。

既定値では、全通過の、測定にまったく影響を与えないフィルターが指定されます。

依存関係

このプロパティを有効にするには、MeasurementFilterSource プロパティを 'Property' に設定します。

データ型: double

スペクトル推定制御。次のいずれかの値を指定します。

  • 'Auto' — オブジェクトは、ゼロ パーセント オーバーラップ、ハミング ウィンドウ、および入力データ ベクトルの長さに等しいセグメント長から、ウェルチ スペクトル推定器により電力測定値を取得します。スペクトル推定器セットは、入力データ長で達成可能上限の周波数分解能を実現できます。

  • 'Specify frequency resolution' — オブジェクトは FrequencyResolution プロパティで指定された値を使用して、スペクトル推定器データ ウィンドウのサイズを自動的に計算します。

  • 'Specify window parameters' — オブジェクトは、SegmentLengthOverlapPercentageWindow、および SidelobeAttenuation プロパティで指定されたウェルチ スペクトル推定器により電力測定値を取得します。この設定では、FrequencyResolution プロパティは適用されませんが、これらのプロパティを使用して分解能も制御できます。

データ型: char | string

スペクトル推定器のセグメント長 (サンプル単位)。正の整数として指定します。セグメント長の設定により、スペクトル推定における周波数分解能と分散とのバランスを取ることができます。長いセグメント長は分解能において優れています。短いセグメント長ではより多くの平均化により、差異を減少させます。

依存関係

このプロパティを有効にするには、SpectralEstimation プロパティを 'Specify window parameters' に設定します。

データ型: double

スペクトル推定器のセグメント間のオーバーラップ率。範囲 [0, 100] の数値スカラーとして指定します。

依存関係

このプロパティを有効にするには、SpectralEstimation プロパティを 'Specify window parameters' に設定します。

データ型: double

スペクトル推定器のウィンドウ関数。'Hamming''Bartlett''Bartlett-Hanning''Blackman''Blackman-Harris''Bohman''Chebyshev''Flat Top''Hann''Nuttall''Parzen''Rectangular'、または 'Triangular' として指定します。

既定のハミング ウィンドウには、42.5 dB のサイドローブの減衰があります。この減衰は、この値 (ピーク スペクトル コンテンツを基準とする値) を下回るスペクトル コンテンツをマスクすることがあります。選択するウィンドウを変えることにより、分解能とサイドローブ減衰のバランスをとることができます。

依存関係

このプロパティを有効にするには、SpectralEstimation プロパティを 'Specify window parameters' に設定します。

データ型: char | string

チェビシェフ ウィンドウ関数のサイドローブ減衰 (dB 単位)。非負のスカラーとして指定します。

依存関係

このプロパティを有効にするには、SpectralEstimation プロパティを 'Specify window parameters' に、Window プロパティを 'Chebyshev' に設定します。

データ型: double

スペクトル推定器の周波数分解能。数値スカラーとして指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合、周波数分解能は [0, 1] の範囲で正規化された値として指定します。

  • NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合、周波数分解能は Hz 単位で指定します。

依存関係

このプロパティを有効にするには、SpectralEstimation プロパティを 'Specify frequency resolution' に設定します。

データ型: double

スペクトル推定器が使用する高速フーリエ変換 (FFT) 点の数。次のいずれかの値を指定します。

  • 'Next power of 2' — オブジェクトは、FFT 点の数を max(SegmentLength,256) よりも大きい最小の 2 のべき乗に設定します。

  • 'Same as segment length' — オブジェクトは、FFT 点の数を SegmentLength プロパティの値に設定します。

  • 'Custom' — オブジェクトは、FFT 点の数を CustomFFTLength プロパティの値に設定します。

データ型: char | string

FFT 点のカスタムの数。正の整数として指定します。

依存関係

このプロパティを有効にするには、FFTLength プロパティを 'Custom' に設定します。

データ型: double

最大ホールド設定制御。次のいずれかの logical 値として指定します。

  • 0 (false) — オブジェクトは、瞬間パワー スペクトル密度推定値を使用して電力測定値を取得します。

  • 1 (true) — オブジェクトは、2 つのベクトルを比較して電力測定値を取得します。片方のベクトルは、現在の推定パワー スペクトル密度ベクトル (現在の入力データ フレームで取得されるもの) です。オブジェクトは、このベクトルを、以前の最大ホールド積算パワー スペクトル密度ベクトル (オブジェクトの以前の呼び出しで取得されたもの) に対してチェックします。オブジェクトは、各周波数ビンに最大値を格納し、これらの値を平均電力測定値の計算に使用します。最大ホールド スペクトルをクリアするには、オブジェクト関数 reset を使用します。

調整可能: Yes

データ型: logical | double

電力測定値の単位。次のいずれかの値を指定します。

  • 'dBm' または 'dBW' — オブジェクトは ACPR 測定値を dBc スケール (メイン チャネル電力に参照された隣接チャネル電力) で返します。

  • 'Watts' — オブジェクトは ACPR 測定値を線形スケールで返します。

データ型: char | string

メイン チャネル電力測定出力を有効にするオプション。logical 0 (false) または 1 (true) として指定します。このプロパティを true に設定すると、オブジェクトはメイン チャネル電力測定値を返します。メイン チャネル電力は、MainChannelFrequency プロパティと MainMeasurementBandwidth プロパティで指定された帯域で測定される入力信号の電力です。オブジェクトは電力測定値を、PowerUnits プロパティで指定されている単位で返します。

データ型: logical | double

隣接チャネル電力測定出力を有効にするオプション。logical 0 (false) または 1 (true) として指定します。このプロパティを true に設定すると、オブジェクトは隣接チャネル電力測定値を含むベクトルを返します。隣接チャネル電力は、AdjacentChannelOffset プロパティと AdjacentMeasurementBandwidth プロパティで指定された帯域で測定される入力の電力に対応します。オブジェクトは電力測定値を、PowerUnits プロパティで指定されている単位で返します。

データ型: logical | double

使用法

説明

adjChPowRatio = acpr(signal) は、入力データ signal の ACPR を測定します。測定は、MainChannelFrequencyMainMeasurementBandwidthAdjacentChannelOffset、および AdjacentMeasurementBandwidth プロパティで指定される周波数帯域で行われます。

[adjChPowRatio,mainChPow] = acpr(signal) は、メイン チャネル電力 mainChPow を測定します。この構文を使用するには、MainChannelPowerOutputPort プロパティを true に設定します。メイン チャネル電力は、MainChannelFrequency プロパティと MainMeasurementBandwidth プロパティで指定されるメイン チャネル周波数帯域内で測定されます。

[adjChPowRatio,adjChPow] = acpr(signal) は、隣接チャネル電力 adjChPow を測定します。この構文を使用するには、AdjacentChannelPowerOutputPort プロパティを true に設定します。隣接チャネル電力は、AdjacentChannelOffset プロパティと AdjacentMeasurementBandwidth プロパティで指定される隣接周波数帯域で測定されます。

[adjChPowRatio,mainChPow,adjChPow] = acpr(signal) は、ACPR、メイン チャネル電力および隣接チャネル電力を測定します。この構文を使用するには、MainChannelPowerOutputPort プロパティおよび AdjacentChannelPowerOutputPort プロパティを true に設定します。

入力引数

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入力信号。複素数の列ベクトルとして指定します。

データ型: double | single
複素数のサポート: あり

出力引数

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ACPR の測定。数値行ベクトルとして返されます。ベクトル長は、AdjacentChannelOffset プロパティで指定する隣接チャネル数に等しくなります。出力のデータ型は、入力 signal のデータ型と同じです。

データ型: double | single

メイン チャネル電力測定。数値スカラーとして返されます。PowerUnits プロパティは、戻り値に使用される単位を指定します。

データ型: double | single

隣接チャネル電力測定。数値行ベクトルとして返されます。ベクトル長は、AdjacentChannelOffset プロパティで指定する隣接チャネル数に等しくなります。PowerUnits プロパティは、戻り値に使用される単位を指定します。

データ型: double | single

オブジェクト関数

オブジェクト関数を使用するには、System object を最初の入力引数として指定します。たとえば、obj という名前の System object のシステム リソースを解放するには、次の構文を使用します。

release(obj)

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stepSystem object のアルゴリズムの実行
releaseリソースを解放し、System object のプロパティ値と入力特性の変更を可能にします。
resetSystem object の内部状態のリセット

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アルファベット サイズが 16 のデータを生成し、データを変調します。

x = randi([0 15],5000,1);
y = qammod(x,16);

矩形パルス形状を使用してデータをアップサンプリングします。

L = 8;
yPulse = rectpulse(y,L);

ACPR 測定オブジェクトを作成します。

acpr = comm.ACPR(...
    'SampleRate',3.84e6*8, ...
    'MainChannelFrequency',0, ...
    'MainMeasurementBandwidth',3.84e6, ...
    'AdjacentChannelOffset',[-5e6 5e6], ...
    'AdjacentMeasurementBandwidth',3.84e6, ...
    'MainChannelPowerOutputPort',true, ...
    'AdjacentChannelPowerOutputPort',true);

変調信号の ACPR、メイン チャネル電力および隣接チャネル電力を測定します。

[adjChPowRatio,mainChPow,adjChPow] = acpr(yPulse)
adjChPowRatio = 1×2

  -14.3659  -14.3681

mainChPow = 38.8668
adjChPow = 1×2

   24.5010   24.4988

アルゴリズム

ナイキスト サンプリング理論に準拠するには、メイン チャネルと隣接チャネルの周波数および測定帯域幅を設定する際に、次の条件を満たす必要があります。

|MainChannelFrequency±MainMeasurementBandwidth2|<Fmax|(MainChannelFrequency+AdjacentChannelOffset)±AdjacentMeasurementBandwidth2|<Fmax

NormalizedFrequency プロパティを false に設定した場合は Fmax=Fs/2。ここで、FsSampleRate プロパティで指定されたサンプリング周波数です。

NormalizedFrequency プロパティを true に設定した場合は Fmax=1

拡張機能

バージョン履歴

R2012a で導入

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参考

オブジェクト