業界をリードする企業による水素燃料電池の開発および採用事例をご紹介します。

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モデルベースデザインと AI を活用して、水素燃料電池の開発における課題を克服

SEGULA Technologies は、MATLAB と Simulink を使用して AI を組み込んだモデルを作成することで、水素燃料電池の開発における課題を克服し、生産時間とコストを削減しています。

モデルベースデザイン (MBD、モデルベース開発) を利用することで、SEGULA のエンジニアは初期の開発プロセスを効率化し、作業期間を 4 ~ 6 週間短縮しました。さまざまなアプリケーションに適応可能なカスタムモデルにより、最適なコンポーネントのサイズ選定、発電量、および制御機能を評価しています。また、これらのモデルは設計の検証、エネルギー効率の最適化、燃料電池コンポーネントの相互作用をシミュレーションするのに役立ちます。

「Simscape モデルを使用することで、初期の開発期間を 4 ~ 6 週間短縮できます。」

Dirk Rensink, technical lead for fuel cell simulation, SEGULA Technologies
Segula の機器

SEGULA の機器

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水素燃料電池で CO2 排出量を削減

乗用車から長距離トラック、機関車、重機に至るまで、内燃エンジン (ICE) を、水素燃料電池などのより環境に優しい代替品に置き換える動きが進んでいます。燃料電池では、車両を 8 時間走行させることが可能な電力密度と航続距離が得られます。数百個の燃料電池を積み重ね、その間に冷却水を注入し、さらに冷却水ポンプとエアコンプレッサーを備えた燃料電池エンジンを制御するソフトウェアの設計に、Nuvera では MATLAB®  および Simulink® を使用しています。

「ボート、飛行機、トラック、バス、緊急車両など、航続距離が必要な場合や、バッテリーの充電に相当の時間を要する場合に、燃料電池はバッテリーよりも優れた性能を発揮します。」

Gus Block, Nuvera Fuel Cells
Nuvera は、水素ベースの商用車用燃料電池エンジン E シリーズを開発しています。

Nuvera 燃料電池エンジン E シリーズ。

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Plug Power、燃料電池の制御開発を加速

Plug Power Inc. は、未来の発電を実用化する目標に向けて、燃料電池をベースにしたオンサイト エネルギー システムの設計および開発を行っています。同社は、MathWorks® のツールを使用して、製品性能の向上、コスト削減、製造および統合プロセスの改善を実現しています。MATLAB® および Simulink® により、アルゴリズムの開発とテスト、コンポーネントとシステムのシミュレーション、アイデアから実装までの開発プロセスの効率化を行っています。

「C や C++ を使用してアルゴリズムを調査する時間はありません。幸いなことに、MATLAB を使用すれば、わずか数行のコードでアイデアのテストを行えます。これにより、大幅に作業時間を短縮し、商業的に採算の取れるオンサイト エネルギー システムを構築するという目標に向かって前進することができます。」

Rebecca Dinan, Plug Power
Plug Power は、MATLAB および Simulink を使用して、水素燃料エネルギーシステムの設計およびテストを行っています。

Plug Power® 燃料電池システム。

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Daimler AG における世界各地の燃料電池車から収集したテストデータの解析

Daimler AG (旧 DaimlerChrysler®) のテスト車両である 100 台以上の水素燃料電池車は、世界各地の実際の運転条件で一般のドライバーが運転しています。開発目的に限られますが、各車両にはテレマティクス システムが搭載されており、車両の GPS 座標、燃料タンクの燃料計、車両速度から運転手の足元のアクセルべダル位置といった車両性能やドライバーの使用パターンに関するデータを取得します。

「以前 Daimler では、Excel を使用してこの解析を行っていました。このタスクを完了させるために、毎回、エンジニアによる数百時間に及ぶセットアップ、フルタイムの従業員による保守、多くの手作業のステップが必要でした。現在は、自動化された MATLAB スクリプトにより、チーム全員が Web ブラウザー経由で同じ解析結果にアクセスできています。」

Tim McGuire, Mercedes-Benz RDNA, Inc.
Daimler AG は、この車両のような水素燃料テスト車両からのデータを、自動化されたレポートや Web アプリケーションに変換しています。

Daimler AG 水素燃料電池テスト車両。

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ウォータールー大学、燃料電池技術の開発により賞を獲得

Challenge X は、General Motors および米国エネルギー省主催のコンテストで、北米の 17 の学生チームが Chevrolet Equinox を再設計し、車両性能や安全性を犠牲にすることなくエミッションや燃料消費の削減に挑戦します。ウォータールー大学代替燃料チーム (UWAFT) は、燃料電池を搭載した車両の設計で、3 年間の競技会の初年度総合 1 位に輝きました。また、UWAFT は、車両設計とサブシステム制御のためのモデルの作成、シミュレーション、および解析における優れた功績が評価され、MathWorks Crossover to Model-Based Design Award も受賞しました。

「パワートレインに燃料電池を採用したのは、私たちだけでした。MathWorks のモデルベースデザイン用ソフトウェアにより、車両システム設計のプロトタイピングおよびシミュレーションに要する時間を削減できただけでなく、燃料電池技術の実現可能性を確立することができました。」

Professor Roydon Fraser, UWAFT
ウォータールー大学代替燃料チーム (UWAFT)、燃料電池車の設計により Challenge X コンテストの総合第 1 位を獲得。

Challenge X で低燃費車の性能を実証するウォータールー大学チーム。

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デラウェア大学における燃料電池ハイブリッドバス技術のシミュレーション

デラウェア大学では、燃料電池ハイブリッドバス (FCHB) がシャトルバスとして学生や教員を乗せて 6 マイルのキャンパス内エクスプレスルートを移動しながら、水素燃料電池技術のパワーとメリットを多くの人に示しています。このバスは、ゼロエミッションでディーゼル車よりはるかに静かであること、燃料補給やメンテナンスを 1 箇所で行えるためインフラコストを削減できること、シリーズハイブリッド設計であるため都市バス路線のスタート アンド ストップ走行や比較的低速の走行に特に有効であること、などの特徴があります。

「デラウェア大学の研究者は、MATLAB および Simulink を使用して、FCHB のモデル化、多数のオンボードセンサーからのデータの解析、電力管理戦略の改善を行い、燃料電池バス設計の最適化のための重要な洞察を得ました。」

Ajay K. Prasad, University of Delaware
デラウェア大学の研究者、MATLAB および Simulink を使用してシリーズ ハイブリッド バスをモデル化。

デラウェア大学のシリーズハイブリッド燃料電池バス。

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