incrementalLearner
説明
は、マルチクラス分類用の従来式の学習済みマルチクラス誤り訂正出力符号 (ECOC) モデル IncrementalMdl
= incrementalLearner(Mdl
)Mdl
のハイパーパラメーターと係数を使用して、インクリメンタル学習用の ECOC モデル IncrementalMdl
を返します。プロパティ値は Mdl
から得られた知識を反映しているため、IncrementalMdl
は新しい観測値に対してラベルの予測を行うことができます。また "ウォーム" となるため、予測性能が追跡されます。
は、1 つ以上の名前と値の引数によって指定された追加オプションを使用します。一部のオプションでは、予測性能の追跡を行う前に IncrementalMdl
= incrementalLearner(Mdl
,Name=Value
)IncrementalMdl
に学習させる必要があります。たとえば、MetricsWarmupPeriod=50,MetricsWindowSize=100
は、50 個の観測値から成る、パフォーマンス メトリクスの追跡前のインクリメンタル学習の予備期間を指定し、ウィンドウ パフォーマンス メトリクスを更新する前に 100 個の観測値を処理することを指定します。
例
従来式の学習済みモデルのインクリメンタル学習器への変換
fitcecoc
を使用してマルチクラス ECOC 分類モデルに学習させ、それをインクリメンタル学習器に変換します。
データの読み込み
人の行動のデータ セットを読み込みます。
load humanactivity
データ セットの詳細については、コマンド ラインで Description
を入力してください。
ECOC モデルの学習
マルチクラス ECOC 分類モデルをデータ セット全体に当てはめます。
Mdl = fitcecoc(feat,actid);
Mdl
は従来式の学習済み ECOC 分類モデルを表す ClassificationECOC
モデル オブジェクトです。
学習済みモデルの変換
従来式の学習済み ECOC 分類モデルをインクリメンタル学習用のモデルに変換します。
IncrementalMdl = incrementalLearner(Mdl)
IncrementalMdl = incrementalClassificationECOC IsWarm: 1 Metrics: [1×2 table] ClassNames: [1 2 3 4 5] ScoreTransform: 'none' BinaryLearners: {10×1 cell} CodingName: 'onevsone' Decoding: 'lossweighted' Properties, Methods
IncrementalMdl
は、インクリメンタル学習用に準備された incrementalClassificationECOC
モデル オブジェクトです。
関数
incrementalLearner
は、バイナリ学習器の符号化設計とモデル パラメーターを、Mdl
が学習データから抽出する他の情報と共に渡して、インクリメンタル学習器を初期化します。IncrementalMdl
はウォーム (IsWarm
が1
) です。これは、インクリメンタル学習関数がパフォーマンス メトリクスの追跡と予測を実行できることを意味します。
応答予測
従来式の学習済みモデルから変換して作成したインクリメンタル学習器は、追加の処理なしで予測を生成できます。
両方のモデルを使用して、すべての観測値の分類スコアを予測します。
[~,ttscores] = predict(Mdl,feat); [~,ilcores] = predict(IncrementalMdl,feat); compareScores = norm(ttscores - ilcores)
compareScores = 0
モデルによって生成されたスコアの差は 0 です。
パフォーマンス メトリクス オプションの構成
学習済みの ECOC モデルを使用して、インクリメンタル学習器を初期化します。メトリクスのウォームアップ期間とメトリクス ウィンドウ サイズを指定して、インクリメンタル学習器を準備します。
人の行動のデータ セットを読み込みます。
load humanactivity
データ セットの詳細については、コマンド ラインで Description
を入力してください。
データをランダムに 2 分割します。最初の半分は従来式のモデルの学習用、残りの半分はインクリメンタル学習用です。
n = numel(actid); rng(1) % For reproducibility cvp = cvpartition(n,Holdout=0.5); idxtt = training(cvp); idxil = test(cvp); % First half of data Xtt = feat(idxtt,:); Ytt = actid(idxtt); % Second half of data Xil = feat(idxil,:); Yil = actid(idxil);
データの最初の半分に ECOC モデルを当てはめます。
Mdl = fitcecoc(Xtt,Ytt);
従来式の学習済み ECOC モデルをインクリメンタル学習用のモデルに変換します。次を指定します。
メトリクスのウォームアップ期間は観測値 2000 個
メトリクス ウィンドウ サイズは観測値 500 個
IncrementalMdl = incrementalLearner(Mdl, ...
MetricsWarmupPeriod=2000,MetricsWindowSize=500);
既定では、incrementalClassificationECOC
は分類誤差損失を使用してモデルの性能を測定します。
関数 updateMetricsAndFit
を使用して、インクリメンタル モデルをデータの残りの半分に当てはめます。各反復で次を行います。
20 個の観測値を一度に処理して、データ ストリームをシミュレートします。
前のインクリメンタル モデルを、入力観測値に当てはめた新しいモデルで上書きします。
1 番目のバイナリ学習器の 1 番目のモデル係数 、累積メトリクス、およびウィンドウ メトリクスを保存し、インクリメンタル学習中にそれらがどのように進化するかを確認します。
% Preallocation nil = numel(Yil); numObsPerChunk = 20; nchunk = ceil(nil/numObsPerChunk); ce = array2table(zeros(nchunk,2),VariableNames=["Cumulative","Window"]); beta11 = [IncrementalMdl.BinaryLearners{1}.Beta(1); zeros(nchunk+1,1)]; % Incremental fitting for j = 1:nchunk ibegin = min(nil,numObsPerChunk*(j-1) + 1); iend = min(nil,numObsPerChunk*j); idx = ibegin:iend; IncrementalMdl = updateMetricsAndFit(IncrementalMdl,Xil(idx,:),Yil(idx)); ce{j,:} = IncrementalMdl.Metrics{"ClassificationError",:}; beta11(j+1) = IncrementalMdl.BinaryLearners{1}.Beta(1); end
IncrementalMdl
は、ストリーム内のすべてのデータで学習させた incrementalClassificationECOC
モデル オブジェクトです。インクリメンタル学習中およびモデルがウォームアップされた後、updateMetricsAndFit
は入力観測値でモデルの性能をチェックし、モデルをその観測値に当てはめます。
パフォーマンス メトリクスと が学習中にどのように進化するかを確認するには、それらを別々のタイルにプロットします。
t = tiledlayout(2,1); nexttile plot(beta11) ylabel("\beta_{11}") xlim([0 nchunk]); xline(IncrementalMdl.MetricsWarmupPeriod/numObsPerChunk,"r-."); nexttile plot(ce.Variables); xlim([0 nchunk]); ylabel("Classification Error") xline(IncrementalMdl.MetricsWarmupPeriod/numObsPerChunk,"r-."); legend(ce.Properties.VariableNames,Location="best") xlabel(t,"Iteration")
このプロットは、updateMetricsAndFit
が次のアクションを実行することを示しています。
をインクリメンタル学習のすべての反復で当てはめます。
パフォーマンス メトリクスをメトリクスのウォームアップ期間 (赤色の垂直な線) 後にのみ計算します。
累積メトリクスを各反復中に計算します。
ウィンドウ メトリクスを 500 個の観測値 (25 回の反復) の処理後に計算します。
入力引数
Mdl
— マルチクラス分類用の従来式の学習済み ECOC モデル
ClassificationECOC
モデル オブジェクト | CompactClassificationECOC
モデル オブジェクト
マルチクラス分類用の従来式の学習済み ECOC モデル。fitcecoc
によって返される ClassificationECOC
モデル オブジェクト、または compact
によって返される CompactClassificationECOC
モデル オブジェクトとして指定します。
メモ
Mdl
に学習させるときは、fitcecoc
の名前と値の引数Learners
を指定して、サポート ベクター マシン (SVM) バイナリ学習器テンプレート (templateSVM
) または線形分類モデル バイナリ学習器テンプレート (templateLinear
) を使用しなければなりません。インクリメンタル学習関数は、数値の入力予測子データのみをサポートします。
Mdl
に categorical データで学習させた場合、インクリメンタル学習関数を使用するには符号化したバージョンの categorical データを準備する必要があります。dummyvar
を使用して、各カテゴリカル変数をダミー変数で構成される数値行列に変換します。その後、学習関数での categorical データの符号化と同じ方法で、すべてのダミー変数行列とその他の数値予測子を連結します。詳細については、ダミー変数を参照してください。
名前と値の引数
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN
として指定します。ここで Name
は引数名、Value
は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
例: Decoding="lossbased",MetricsWindowSize=100
は、損失に基づく復号化方式を使用し、ウィンドウ パフォーマンス メトリクスを更新する前に 100 個の観測値を処理することを指定します。
BinaryLoss
— バイナリ学習器損失関数
Mdl.BinaryLoss
(既定値) | "hamming"
| "linear"
| "logit"
| "exponential"
| "binodeviance"
| "hinge"
| "quadratic"
| 関数ハンドル
バイナリ学習器損失関数。組み込みの損失関数の名前または関数ハンドルとして指定します。
次の表で、組み込み関数について説明します。ここで、yj は特定のバイナリ学習器のクラス ラベル (集合 {–1,1,0} 内)、sj は観測値 j のスコア、g(yj,sj) はバイナリ損失の式です。
値 説明 スコア領域 g(yj,sj) "binodeviance"
二項分布からの逸脱度 (–∞,∞) log[1 + exp(–2yjsj)]/[2log(2)] "exponential"
指数 (–∞,∞) exp(–yjsj)/2 "hamming"
ハミング [0,1] または (–∞,∞) [1 – sign(yjsj)]/2 "hinge"
ヒンジ (–∞,∞) max(0,1 – yjsj)/2 "linear"
線形 (–∞,∞) (1 – yjsj)/2 "logit"
ロジスティック (–∞,∞) log[1 + exp(–yjsj)]/[2log(2)] "quadratic"
2 次 [0,1] [1 – yj(2sj – 1)]2/2 バイナリ損失は、yj = 0 の場合に損失が 0.5 になるように正規化されます。また、各クラスについて平均のバイナリ損失が計算されます[1]。
カスタム バイナリ損失関数の場合は関数ハンドルを指定します。たとえば、
customFunction
の場合はBinaryLoss=@customFunction
を指定します。customFunction
の形式は次のとおりです。bLoss = customFunction(M,s)
M
はMdl.CodingMatrix
に格納された K 行 B 列の符号化行列です。s
は 1 行 B 列の分類スコアの行ベクトルです。bLoss
は分類損失です。このスカラーは、特定のクラスのすべての学習器についてバイナリ損失を集計します。たとえば、平均バイナリ損失を使用して、各クラスの学習器の損失を集計できます。K は、クラスの数です。
B はバイナリ学習器の数です。
カスタム バイナリ損失関数の例については、カスタム バイナリ損失関数の使用による ECOC モデルのテスト標本ラベルの予測を参照してください。この例は従来式の学習済みモデルの例です。この例で示しているように、インクリメンタル学習用のカスタム損失関数を定義できます。
詳細については、バイナリ損失を参照してください。
データ型: char
| string
| function_handle
Decoding
— 復号化スキーム
"lossweighted"
(既定値) | "lossbased"
復号化方式。"lossweighted"
または "lossbased"
として指定します。
ソフトウェアでバイナリ損失をどのように集計して各観測値の予測クラスを判定するかは、ECOC モデルの復号化方式で指定します。ソフトウェアでは 2 つの復号化方式をサポートしています。
"lossweighted"
— 観測値の予測クラスは、バイナリ学習器におけるバイナリ損失の合計が最小になるクラスに対応します。"lossbased"
— 観測値の予測クラスは、バイナリ学習器におけるバイナリ損失の平均が最小になるクラスに対応します。
詳細については、バイナリ損失を参照してください。
例: Decoding="lossbased"
データ型: char
| string
Metrics
— インクリメンタル学習中に追跡するモデルのパフォーマンス メトリクス
"classiferror"
(既定値) | 関数ハンドル | cell ベクトル | 構造体配列
関数 updateMetrics
または updateMetricsAndFit
を使ってインクリメンタル学習中に追跡するモデルのパフォーマンス メトリクス。"classiferror"
(分類誤差または誤分類誤差率)、関数ハンドル (@metricName
など)、関数ハンドルの構造体配列、または名前、関数ハンドル、構造体配列の cell ベクトルとして指定します。
パフォーマンス メトリクスを返すカスタム関数を指定するには、関数ハンドル表記を使用します。関数は次の形式でなければなりません。
metric = customMetric(C,S)
出力引数
metric
は n 行 1 列の数値ベクトルです。ここで、各要素は、学習サイクル中にインクリメンタル学習関数によって処理されたデータの対応する観測値の損失です。関数名 (ここでは
customMetric
) を指定します。C
は n 行 K 列の logical 行列であり、対応する観測値が属するクラスを各行が示します。K はクラスの数です。列の順序はClassNames
プロパティのクラスの順序に対応します。C
を作成するには、指定されたデータの各観測値について観測値
がクラスp
に属する場合にq
C(
=p
,q
)1
を設定します。行
の他の要素をp
0
に設定します。S
は、予測分類スコアの n 行 K 列の数値行列です。S
はpredict
の出力NegLoss
に似ています。ここで、行はデータの観測値に対応し、列の順序はClassNames
プロパティのクラスの順序に対応しています。S(
は、クラスp
,q
)
に分類されている観測値q
の分類スコアです。p
複数のカスタム メトリクスを指定し、それぞれにカスタム名を割り当てるには、構造体配列を使用します。組み込みメトリクスとカスタム メトリクスの組み合わせを指定するには、cell ベクトルを使用します。
updateMetrics
および updateMetricsAndFit
は、table で指定したメトリクスを Metrics
プロパティに保存します。Metrics
のデータ型によって、table の行名が決まります。
Metrics 値のデータ型 | Metrics プロパティの行名の説明 | 例 |
---|---|---|
string または文字ベクトル | 対応する組み込みメトリクスの名前 | "classiferror" の行名は "ClassificationError" |
構造体配列 | フィールド名 | struct(Metric1=@customMetric1) の行名は "Metric1" |
プログラム ファイルに格納されている関数への関数ハンドル | 関数名 | @customMetric の行名は "customMetric" |
無名関数 | CustomMetric_ 。ここで、 は Metrics のメトリクス
| @(C,S)customMetric(C,S)... の行名は CustomMetric_1 |
パフォーマンス メトリクス オプションの詳細については、パフォーマンス メトリクスを参照してください。
例: Metrics=struct(Metric1=@customMetric1,Metric2=@customMetric2)
例: Metrics={@customMetric1,@customMetric2,"classiferror",struct(Metric3=@customMetric3)}
データ型: char
| string
| struct
| cell
| function_handle
MetricsWarmupPeriod
— パフォーマンス メトリクスを追跡する前に当てはめる観測値の数
0
(既定値) | 非負の整数
インクリメンタル モデルが Metrics
プロパティのパフォーマンス メトリクスを追跡する前に当てはめなければならない観測値の数。非負の整数として指定します。インクリメンタル モデルは、インクリメンタル近似関数が MetricsWarmupPeriod
個の観測値をインクリメンタル モデルに当てはめた後、ウォームになります。
パフォーマンス メトリクス オプションの詳細については、パフォーマンス メトリクスを参照してください。
例: MetricsWarmupPeriod=50
データ型: single
| double
MetricsWindowSize
— ウィンドウ パフォーマンス メトリクスの計算に使用する観測値の数
200
(既定値) | 正の整数
ウィンドウ パフォーマンス メトリクスの計算に使用する観測値の数。正の整数として指定します。
パフォーマンス メトリクス オプションの詳細については、パフォーマンス メトリクスを参照してください。
例: MetricsWindowSize=250
データ型: single
| double
UpdateBinaryLearnerMetrics
— バイナリ学習器のメトリクスの更新のフラグ
false
または 0
(既定値) | true
または 1
バイナリ学習器のメトリクスの更新のフラグ。logical 0
(false
) または 1
(true
) として指定します。
値が true
の場合、BinaryLearners
プロパティに格納されたバイナリ学習器の Metrics
プロパティを使用してソフトウェアでバイナリ学習器のパフォーマンス メトリクスが追跡されます。例については、モデルとバイナリ学習器のパフォーマンス メトリクスを追跡するためのインクリメンタル モデルの構成を参照してください。
例: UpdateBinaryLearnerMetrics=true
データ型: logical
出力引数
IncrementalMdl
— インクリメンタル学習用の ECOC 分類モデル
incrementalClassificationECOC
モデル オブジェクト
インクリメンタル学習用の ECOC 分類モデル。incrementalClassificationECOC
モデル オブジェクトとして返されます。IncrementalMdl
は新しいデータに基づいて予測を生成するようにも構成されます (predict
を参照)。
インクリメンタル学習用に IncrementalMdl
を初期化するために、incrementalLearner
は、次の表に示す Mdl
のプロパティの値を IncrementalMdl
の対応するプロパティに渡します。
プロパティ | 説明 |
---|---|
BinaryLearners | 学習済みバイナリ学習器。モデル オブジェクトの cell 配列。Mdl の学習器は従来式の学習済みバイナリ学習器で、IncrementalMdl の学習器は従来式の学習済みバイナリ学習器から変換されたインクリメンタル学習用のバイナリ学習器です。 |
BinaryLoss | バイナリ学習器損失関数。文字ベクトル。名前と値の引数 BinaryLoss を使用して異なる値を指定できます。 |
ClassNames | バイナリ分類のクラス ラベル。名前のリスト |
CodingMatrix | バイナリ学習器のクラス割り当て符号。数値行列 |
CodingName | 符号化設計名。文字ベクトル |
NumPredictors | 予測子の数。正の整数 |
Prior | 前のクラス ラベルの分布。数値ベクトル |
Mdl
の Cost
プロパティは、incrementalClassificationECOC
でサポートされないため、incrementalLearner
で使用されないことに注意してください。
詳細
インクリメンタル学習
"インクリメンタル学習" ("オンライン学習") は、予測子変数の分布、予測関数や目的関数の素性 (調整パラメーターの値を含む)、観測値にラベル付けがされているか等についてほぼ知識が無い時に、データ ストリームから入ってくるデータを処理することに関係している機械学習の一分野です。従来の機械学習は、モデルへの当てはめに十分にラベル付けされたデータを使用でき、交差検証を実施してハイパーパラメーターを調整し、予測子の分布を推論するもので、インクリメンタル学習と異なります。
入力観測値に対し、インクリメンタル学習モデルは、次のいずれかの方法 (通常はこの順序) でデータを処理します。
ラベルを予測します。
予測性能を測定します。
モデルの構造的な破綻やドリフトについてチェックします。
入力観測値へモデルを当てはめます。
詳細については、インクリメンタル学習の概要を参照してください。
分類誤差
"分類誤差" は次のような形式になります。
ここで
wj は観測値 j の重みです。重みは再度正規化され、合計は 1 になります。
観測 j の予測クラスが真のクラスと異なる場合、ej = 1 になり、それ以外の場合は 0 になります。
つまり、分類誤差は、分類器が誤分類した観測値の比率です。
バイナリ損失
"バイナリ損失" は、バイナリ学習器がどの程度の精度で観測値をクラスに分類するかを決定する、クラスと分類スコアの関数です。ソフトウェアでバイナリ損失をどのように集計して各観測値の予測クラスを判定するかは、ECOC モデルの "復号化方式" で指定します。
以下のように仮定します。
mkj は符号化設計行列 M の要素 (k,j)、つまりバイナリ学習器 j のクラス k に対応する符号。M は K 行 B 列の行列であり、K はクラスの数、B はバイナリ学習器の数です。
sj は観測値に対するバイナリ学習器 j のスコア。
g はバイナリ損失関数。
は観測値の予測クラス。
ソフトウェアでは 2 つの復号化方式をサポートしています。
関数 predict
、resubPredict
、および kfoldPredict
は、それぞれの観測値とクラスについて、argmin
の目的関数の符号反転値を 2 番目の出力引数 (NegLoss
) として返します。
次の表は、サポートされる損失関数をまとめたものです。ここで、yj は特定のバイナリ学習器のクラス ラベル (集合 {–1,1,0} 内)、sj は観測値 j のスコア、g(yj,sj) はバイナリ損失関数です。
値 | 説明 | スコア領域 | g(yj,sj) |
---|---|---|---|
"binodeviance" | 二項分布からの逸脱度 | (–∞,∞) | log[1 + exp(–2yjsj)]/[2log(2)] |
"exponential" | 指数 | (–∞,∞) | exp(–yjsj)/2 |
"hamming" | ハミング | [0,1] または (–∞,∞) | [1 – sign(yjsj)]/2 |
"hinge" | ヒンジ | (–∞,∞) | max(0,1 – yjsj)/2 |
"linear" | 線形 | (–∞,∞) | (1 – yjsj)/2 |
"logit" | ロジスティック | (–∞,∞) | log[1 + exp(–yjsj)]/[2log(2)] |
"quadratic" | 2 次 | [0,1] | [1 – yj(2sj – 1)]2/2 |
yj = 0 のときに損失が 0.5 になるようにバイナリ損失が正規化され、バイナリ学習器の平均が集計に使用されます[1]。
ECOC 分類器の全体的な性能の尺度である全体の分類損失 (オブジェクト関数 loss
および predict
の名前と値の引数 LossFun
により指定) とバイナリ損失を混同しないでください。
アルゴリズム
パフォーマンス メトリクス
関数
updateMetrics
およびupdateMetricsAndFit
は、インクリメンタル モデルが "ウォーム" (IsWarm
プロパティがtrue
) のときにのみ、新しいデータからモデルのパフォーマンス メトリクス (Metrics
) を追跡します。incrementalLearner
を使用してインクリメンタル モデルを作成するときに、MetricsWarmupPeriod
が 0 (incrementalLearner
の既定値) である場合、モデルは作成時にウォームになります。それ以外の場合、インクリメンタル モデルは、
fit
またはupdateMetricsAndFit
で次の両方のアクションを実行するとウォームになります。インクリメンタル モデルを
MetricsWarmupPeriod
の観測値 ("メトリクスのウォームアップ期間") に当てはめる。インクリメンタル モデルを予測されるすべてのクラスに当てはめる (
incrementalClassificationECOC
の引数MaxNumClasses
とClassNames
を参照)。
インクリメンタル モデルの
Metrics
プロパティは、各パフォーマンス メトリクスの 2 つの形式を table の変数 (列)Cumulative
およびWindow
とし、個々のメトリクスを行に格納します。インクリメンタル モデルがウォームになると、updateMetrics
およびupdateMetricsAndFit
は次の頻度でメトリクスを更新します。Cumulative
— 関数は、モデルの性能追跡の開始以降の累積メトリクスを計算します。関数は、関数が呼び出されるたびにメトリクスを更新し、提供されたデータ セット全体に基づいて計算を行います。Window
— 関数は、MetricsWindowSize
によって決定されたウィンドウ内のすべての観測値に基づいてメトリクスを計算します。これによってソフトウェアがWindow
メトリクスを更新する頻度も決まります。たとえば、MetricsWindowSize
が 20 の場合、関数は提供されたデータの最後の 20 個の観測値に基づいてメトリクスを計算します (X((end – 20 + 1):end,:)
およびY((end – 20 + 1):end)
)。ウィンドウ内のパフォーマンス メトリクスを追跡するインクリメンタル関数は、次のプロセスを使用します。
指定された各メトリクスについて長さ
MetricsWindowSize
のバッファーを保存し、観測値の重みのバッファーを保存します。入力観測値のバッチに基づくモデル性能をメトリクス バッファーの要素に入力し、対応する観測値の重みを重みバッファーに格納します。
バッファーがいっぱいになると、
Metrics
プロパティのWindow
フィールドをメトリクス ウィンドウの性能の加重平均で上書きします。関数が観測値のバッチを処理するときにバッファーがあふれる場合、最新の入力観測値MetricsWindowSize
がバッファーに入り、最も古い観測値がバッファーから削除されます。たとえば、MetricsWindowSize
が 20 で、メトリクス バッファーには前に処理されたバッチからの 10 個の値が存在し、15 個の値が入力されるとします。長さ 20 のウィンドウを構成するため、関数は 15 個の入力観測値からの測定値と前のバッチからの最新の 5 個の測定値を使用します。
Cumulative
とWindow
のパフォーマンス メトリクスの値を計算する際、スコアがNaN
の観測値は省略されます。
参照
[1] Allwein, E., R. Schapire, and Y. Singer. “Reducing multiclass to binary: A unifying approach for margin classifiers.” Journal of Machine Learning Research. Vol. 1, 2000, pp. 113–141.
[2] Escalera, S., O. Pujol, and P. Radeva. “On the decoding process in ternary error-correcting output codes.” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence. Vol. 32, Issue 7, 2010, pp. 120–134.
[3] Escalera, S., O. Pujol, and P. Radeva. “Separability of ternary codes for sparse designs of error-correcting output codes.” Pattern Recog. Lett. Vol. 30, Issue 3, 2009, pp. 285–297.
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