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plotComparisons

分散分析 (ANOVA) の平均の多重比較についての対話型プロット

R2022b 以降

    説明

    plotComparisons(aov) は、1 因子 anova オブジェクトの因子の各値について、比較区間を使用した平均応答の対話型プロットを作成します。

    きわめて近似的には、2 つの平均推定値の比較区間が重なっていなければ統計的な有意差があり、比較区間がオーバーラップしていれば統計的な有意差がないことになります。推定値をクリックすると、その平均と比較区間を青、統計的に異なる平均と比較区間を赤、統計的に類似する平均と比較区間をグレーで表示できます。

    plotComparisons(aov,factors) は、1 因子、2 因子、または多因子 ANOVA について、factors にリストされた因子の値で応答データをグループ化します。

    plotComparisons(ax,___) は、前の構文におけるいずれかの入力引数の組み合わせを使用して座標軸 ax にプロットします。

    plotComparisons(___,Name=Value) では、1 つ以上の名前と値の引数を使用して追加オプションを指定します。たとえば、比較区間の範囲の信頼水準を指定できます。

    f = plotComparisons(___) は、Figure オブジェクト f を返します。f は、Figure の作成後にそのプロパティをクエリまたは変更するのに使用します。

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    ポップコーン生産量のデータを読み込みます。

    load popcorn.mat

    6 行 3 列の行列 popcorn の列に、Gourmet、National、および Generic の各ブランドについてのポップコーン生産量 (カップ数) の観測値がそれぞれ格納されています。

    1 因子 ANOVA を実行して、3 つのブランドのいずれでも平均生産量が同じであるという帰無仮説を検定します。関数repmatを使用して、ブランドの因子の値を格納する string ベクトルを作成します。

    factors = [repmat("Gourmet",6,1); repmat("National",6,1); repmat("Generic",6,1)];
    aov = anova(factors,popcorn(:),"FactorNames","Brand")
    aov = 
    1-way anova, constrained (Type III) sums of squares.
    
    Y ~ 1 + Brand
    
                 SumOfSquares    DF    MeanSquares     F        pValue  
                 ____________    __    ___________    ____    __________
    
        Brand       15.75         2        7.875      18.9    7.9603e-05
        Error        6.25        15      0.41667                        
        Total          22        17                                     
    
    
      Properties, Methods
    
    
    

    aov は 1 因子 ANOVA の結果を格納する anova オブジェクトです。

    Brand"p" 値が小さく、帰無仮説を 99% の信頼水準で棄却できることを示しています。少なくとも 1 つのブランドの平均ポップコーン生産量に統計的な有意差があると結論付けるだけの十分な証拠があります。この差について、比較区間を使用してグループ平均をプロットすることで確認できます。

    plotComparisons(aov);

    Figure Multiple comparison of population marginal means contains an axes object. The axes object with title Click on the group you want to test, xlabel 2 groups have population marginal means significantly different from Brand=Gourmet contains 7 objects of type line. One or more of the lines displays its values using only markers

    Figure では、Gourmet の比較区間が青、NationalGeneric の比較区間が赤で示されています。この色は、GourmetGeneric および National と統計的に異なることを示しています。

    Generic の平均をクリックします。プロットの表示が変わり、Generic の比較区間が青、National の比較区間がグレー、Gourmet の比較区間が赤で示されます。この色は、GenericNational の平均ポップコーン生産量に統計的な有意差がないことを示しています。

    plotcompare_ex1_screenshot.png

    入力引数

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    分散分析の結果。anova オブジェクトとして指定します。aov のプロパティに、平均差の計算に plotComparisons で使用される因子と応答データが格納されます。

    応答データのグループ化に使用する因子。string ベクトルまたは文字ベクトルの cell 配列として指定します。関数 plotComparisons は、factors の因子の値の組み合わせで応答データをグループ化します。引数 factors は、aov.FactorNames に含まれる 1 つ以上の名前でなければなりません。

    例: ["g1","g2"]

    データ型: string | cell

    ターゲットの座標軸。Axes オブジェクトを指定します。座標軸を指定しない場合、plotComparisons は現在の座標軸 (gca) を使用します。

    名前と値の引数

    オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後ろにする必要がありますが、ペアの順序は関係ありません。

    例: Alpha=0.01,CriticalValueType="dunnett",Approximate=true は、信頼区間の有意水準を 0.01 に設定し、グループ平均に有意差はないという帰無仮説の p 値の計算にダネットの棄却限界値の近似を使用します。

    比較区間の有意水準。0 ~ 1 の single または double として指定します。比較区間の信頼水準は、区間がオーバーラップしている 2 つの平均推定値に統計的な有意差がない確率です。Alpha の値は式 100(1α)% で与えられます。Alpha の既定値は 0.05 です。

    例: Alpha=0.01

    データ型: single | double

    関数 plotComparisons で p 値の計算に使用する棄却限界値の種類。次の表のいずれかのオプションとして指定します。各オプションは plotComparisons が棄却限界値の計算に使用する統計検定を指定します。

    オプション統計検定
    "tukey-kramer" (既定の設定)テューキー・クレーマー検定
    "hsd"HSD 検定 — "tukey-kramer" と同じ
    "dunn-sidak"ダン・シダック補正
    "bonferroni"ボンフェローニ補正
    "scheffe"シェッフェ検定
    "dunnett"ダネットの検定 — aov が 1 因子 anova オブジェクトの場合、または factors で単一の因子が指定されている場合にのみ使用できます。ダネットの検定では、生成されたプロットで制御グループが選択されており、変更することはできません。
    "lsd"最小有意差 (Least Significant Difference) を意味し、プレーンな t 検定の棄却限界値を使用します。このオプションでは、F 検定などの予備の全体検定がないと、多重比較の問題は防止されません。

    例: CriticalValueType="dunn-sidak"

    データ型: char | string

    ダネットの棄却限界値の近似を計算するためのインジケーター。数値または logical の 1 (true) または 0 (false) として指定します。高速化のためにダネットの棄却限界値の近似を計算できます。Approximate の既定値は、因子の数が 2 より大きい多因子 ANOVA については true、それ以外については false です。この引数は、CriticalValueType"dunnett" である場合のみ有効です。

    例: Approximate=true

    データ型: logical

    ダネットの検定に使用する制御グループの因子の値のインデックス。正の整数として指定します。因子の値には aov.ExpandedFactorNames での順序に従ってインデックスが付けられます。この引数は、CriticalValueType"dunnett" である場合のみ有効です。

    例: ControlGroup=3

    データ型: single | double

    出力引数

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    ターゲットの Figure。Figure オブジェクトとして返されます。f は、Figure の作成後にそのプロパティをクエリまたは変更するのに使用します。Figure のプロパティの完全な一覧については、Figure のプロパティを参照してください。

    参照

    [1] Hochberg, Y., and A. C. Tamhane. Multiple Comparison Procedures. Hoboken, NJ: John Wiley & Sons, 1987.

    [2] Milliken, G. A., and D. E. Johnson. Analysis of Messy Data, Volume I: Designed Experiments. Boca Raton, FL: Chapman & Hall/CRC Press, 1992.

    [3] Searle, S. R., F. M. Speed, and G. A. Milliken. “Population marginal means in the linear model: an alternative to least-squares means.” American Statistician. 1980, pp. 216–221.

    [4] Dunnett, Charles W. “A Multiple Comparison Procedure for Comparing Several Treatments with a Control.” Journal of the American Statistical Association, vol. 50, no. 272, Dec. 1955, pp. 1096–121.

    [5] Krishnaiah, Paruchuri R., and J. V. Armitage. "Tables for multivariate t distribution." Sankhyā: The Indian Journal of Statistics, Series B (1966): 31-56.

    バージョン履歴

    R2022b で導入