モデル線形化器を使用した周波数応答の推定
この例では、モデル線形化器を使用して Simulink® モデルの一部の周波数応答を推定する方法を説明します。周波数応答を推定するには、モデルの推定する部分、推定する操作点、および推定に使用する入力信号を指定します。
Simulink モデルとモデル線形化器を開きます。
Simulink モデルを開きます。
sys = 'scdDCMotor';
open_system(sys)
モデル線形化器を開くには、Simulink モデル ウィンドウの [アプリ] ギャラリーで、[モデル線形化器] をクリックします。
モデルの推定する部分の指定
既定では、モデル線形化器はモデルに定義されている線形化解析ポイント ("モデル I/O") を使用して、テスト信号を挿入する位置および周波数応答を測定する位置を決定します。モデル scdDCMotor
には、事前定義された線形解析ポイントが含まれています。すなわち、補償器出力での入力ポイントと、単位ゲイン ブロックの後の開ループ出力です。この例では、これらの事前定義されたモデル I/O を使用して、外側のループが開いた状態でモデルの内側のループの周波数応答を取得します。
モデルの異なる部分の周波数応答を取得する場合は、モデル線形化器の [推定] タブで、[解析 I/O] ドロップダウン リストを使用します。推定のための解析ポイントは、線形化の解析ポイントと同じように機能します。線形解析ポイントの詳細については、モデルの一部を線形化するよう指定を参照してください。
推定のための操作点の指定
周波数応答の推定はモデルの定常状態の操作点で実行します。モデル線形化器で [操作点] ドロップダウン リストを使用して、操作点を計算または指定することができます。既定では、モデル線形化器はモデルの初期条件によって定義された操作点を使用します。この例ではその操作点を使用します 操作点の詳細については、操作点についてを参照してください。
推定のための入力信号の生成
周波数応答の推定では、推定のために指定された入力解析ポイントに入力信号が挿入されます。この例では、指定した周波数での一連の正弦波摂動である sinestream 信号を設定します (入力信号の詳細については、推定用の入力信号を参照)。
[推定] タブの [入力信号] ドロップダウン リストで、
[Sinestream]
を選択します。[sinestream の入力の作成] ダイアログ ボックスが開きます。入力信号の周波数点を指定するには、[周波数の追加] をクリックします。[周波数の追加] ダイアログ ボックスで、入力信号の周波数範囲と点の数を指定します。指定した周波数点は、モデル線形化器が推定応答を計算する周波数になります。
この例では、0.1 ~ 100 rad/s の範囲を指定します。また、対数的に等間隔な 100 の周波数を指定します。
[OK] をクリックします。追加された点が、[sinestream の入力の作成] ダイアログ ボックスの周波数成分ビューアーに表示されます。
推定の入力信号にこれらの周波数点をすべて選択します。
入力信号の振幅を指定します。[振幅] フィールドに
1
と入力します。スカラー値を指定する場合、モデル線形化器はすべての周波数に同じ振幅を使用します。[OK] をクリックして sinestream 入力信号を作成します。新しい入力信号
in_sine1
が [線形解析ワークスペース] に表示されます。
周波数応答の推定
ここで、周波数応答を推定して結果の周波数領域プロットを生成できます。そのためには、 [ボード線図] をクリックします。推定された周波数応答が [線形解析ワークスペース] に frd
モデル estsys1
として表示されます。
推定された周波数応答モデルをさらに解析するために MATLAB® ワークスペースにエクスポートするには、[線形解析ワークスペース] のモデルを右クリックし、[MATLAB ワークスペースへのエクスポート] セクションを選択します。
推定された周波数応答の解析
モデル線形化器にあるシミュレーション結果のビューアーを使用すると、周波数応答の推定をさらに詳しく調べることができます。詳細については、推定された周波数応答の解析を参照してください。