スコープのバイレベル測定
バイレベル測定
メモ
[バイレベル測定] パネルを使用するには、DSP System Toolbox™ または Simscape™ のライセンスが必要です。
信号遷移、オーバーシュート、アンダーシュートおよびサイクルに関する情報を表示します。バイレベル測定パネルを開くには、次を行います。
スコープのツールストリップの [測定値] タブで [バイレベル設定] (
) をクリックし、次のドロップダウン オプションを 1 つ以上選択します。遷移 –– 遷移の測定値には、高状態レベルと低状態レベル、立ち上がり時間、立ち下がり時間、スルー レートが含まれます。このパラメーターを選択すると、[遷移] ペインに遷移の測定値が表示されます。
逸脱 –– 逸脱の測定値には、信号の遷移のプレシュート、オーバーシュート、アンダーシュート、整定時間が含まれます。このパラメーターを選択すると、[逸脱] ペインに逸脱の測定値が表示されます。
サイクル –– サイクルの測定値には、パルス周期、パルス幅、デューティ比が含まれます。このパラメーターを選択すると、[サイクル] ペインにサイクルの測定値が表示されます。
状態レベルと基準レベルの設定
状態レベルと基準レベルの設定で、遷移、オーバーシュート、アンダーシュート、サイクルを含むさまざまな測定値の計算に使用するプロパティを変更できます。高状態レベル、低状態レベル、状態レベルの許容誤差、上位基準レベル、中央基準レベルおよび下位基準レベルを変更できます。これらのプロパティを変更するには、[バイレベル設定]、[状態レベル] をクリックするか、[バイレベル設定]、[基準レベル] をクリックします。
状態レベルの設定
自動状態レベル — このパラメーターを選択すると、バイレベル測定パネルで 2 値波形の高状態レベルと低状態レベルが検出されます。このパラメーターをクリアすると、高状態レベルと低状態レベルの値を手動で入力できます。
高 — 正極性 (高状態レベル) を示す値を手動で指定します。

低 — 負極性 (低状態レベル) を示す値を手動で指定します。

状態レベル許容誤差 (%) — 各遷移の初期レベルと最終レベルが間に収まらなければならない、それぞれの状態レベルの許容誤差です。この値は、High と Low の状態レベル間の差をパーセント比として表します。
基準レベルの設定
上位基準レベル (%) — このパラメーターを使用して、立ち上がり時間測定の終わりまたは立ち下がり時間測定の始まりを計算します。この値は、High と Low の状態レベル間の差をパーセント比として表します。
中央基準レベル (%) — このパラメーターを使用して、遷移が発生する条件を指定します。この値は、High と Low の状態レベル間の差をパーセント比として表します。次の図では、中央基準レベルが水平線で示されており、対応する中央基準レベル瞬時が垂直線で示されています。

下位基準レベル (%) — このパラメーターを使用して、立ち下がり時間測定の終わりまたは立ち上がり時間測定の始まりを計算します。この値は、High と Low の状態レベル間の差をパーセント比として表します。
シーク整定 (秒) — 各遷移が発生したときの中央基準レベル瞬時の後の持続時間で、有効な整定時間の計算に使用します。整定時間は [逸脱] ペインに表示されます。
[遷移] ペイン
高および低の 2 つの状態レベル間で変化する入力信号に関連付けられた、計算された測定値を表示します。このペインを有効にするには、[バイレベル設定]、[遷移] を選択します。

2 値波形での立ち上がり遷移 ("立ち上がりエッジ") は、低状態レベルから高状態レベルへの遷移です。立ち上がり遷移は 0 より大きい傾き値をもちます。次の図は立ち上がり遷移を示しています。

テキスト ラベルの横に正符号 (+) がある場合は、測定は立ち上がりエッジ (低状態レベルから高状態レベルへの遷移) です。
2 値波形での立ち下がり遷移 (立ち下がりエッジ) は、高状態レベルから低状態レベルへの遷移です。立ち下がり遷移は 0 より小さい傾き値をもちます。次の図は立ち下がり遷移を示しています。

テキスト ラベルの横に負符号 (-) がある場合は、測定は立ち下がりエッジ (高状態レベルから低状態レベルへの遷移) です。
遷移の測定値は入力信号の振幅がボルト単位であると想定します。遷移の測定値を有効にするためには、すべての入力信号をボルト単位に変換しなければなりません。
高 — [時間範囲] パラメーターの期間にわたる入力信号の高振幅状態レベルです。[時間範囲] パラメーターは、[スコープ] タブ、[設定]、[時間] セクションで設定できます。
低 — [時間範囲] パラメーターの期間にわたる入力信号の低振幅状態レベルです。[時間範囲] パラメーターは、[スコープ] タブ、[設定]、[時間] セクションで設定できます。
振幅 — 高状態レベルと低状態レベル間の振幅の差です。
カウント — 信号の表示部分における正極性または負極性のエッジの総数です。
[+ エッジ] の場合、この値は正極性 (立ち上がりエッジ) の総数を示します。
[- エッジ] の場合、この値は負極性 (立ち下がりエッジ) の総数を示します。
立ち上がり時間 (s) — 各立ち上がりエッジ ([+ エッジ]) が下位基準レベルから上位基準レベルに達するのにかかる平均時間です。
立ち下がり時間 (s) — 各立ち下がりエッジ ([– エッジ]) が上位基準レベルから下位基準レベルに達するのにかかる平均時間です。
スルー レート (/ms) — 入力信号の表示部分における上位パーセント基準レベルと下位パーセント基準レベル間の各立ち上がりエッジ遷移ラインおよび各立ち下がりエッジ遷移ラインの傾きの平均です。
[+ エッジ] の場合、この値は各立ち上がりエッジ遷移ラインの傾きの平均を示します。次の図ではスルー レートが計算された領域がグレーで示されています。

[- エッジ] の場合、この値は各立ち下がりエッジ遷移ラインの傾きの平均を示します。
[逸脱] ペイン
[逸脱] ペインには、入力信号の歪みおよび減衰に関連する計算された測定値が表示されます。"オーバーシュート" および "アンダーシュート" は、信号がその最終的な定常値をそれぞれ上回るおよび下回る量を表します。"プレシュート" は、信号が初期定常値からの変化としての遷移を行う前の量を表します。

次の図は、立ち上がりエッジ遷移 ([+ 遷移]) のプレシュート、オーバーシュート、およびアンダーシュートを示しています。

次の図は、立ち下がりエッジ遷移 ([- 遷移]) のプレシュート、オーバーシュート、およびアンダーシュートを示しています。

プレシュート (%) — [+ 遷移] の場合、この値は各立ち上がり遷移の直前の領域にある平均最低逸脱を示します。
[- 遷移] の場合、この値は各立ち下がり遷移の直前の領域にある平均最高逸脱を示します。
オーバーシュート (%) — [+ 遷移] の場合、この値は各立ち上がり遷移の直後の領域にある平均最高逸脱を示します。
[- 遷移] の場合、この値は各立ち下がり遷移の直後の領域にある平均最高逸脱を示します。
アンダーシュート (%) — [+ 遷移] の場合、この値は各立ち上がり遷移の直後の領域にある平均最低逸脱を示します。
[- 遷移] の場合、この値は各立ち下がり遷移の直後の領域にある平均最低逸脱を示します。
整定時間 (s) — [+ 遷移] の場合、この値は、各立ち上がりエッジが高状態レベルの許容誤差の範囲内に入り、シーク整定時間の残余期間にその範囲内に留まるために必要な平均時間を示します。この場合の整定時間とは、中央基準レベル瞬時後、高状態レベル周辺の許容誤差領域に信号が入り、そのまま留まる時間のことです。このクロッシングを次の図に示します。

[- 遷移] の場合、この値は、各立ち下がりエッジが低状態レベルの許容誤差の範囲内に入り、シーク整定時間の残余期間にその範囲内に留まるために必要な平均時間を示します。整定時間とは、中央基準レベル瞬時後、低状態レベル周辺の許容誤差領域に信号が入り、そのまま留まる時間のことです。
シーク整定時間のパラメーターは、[バイレベル設定]、[基準レベル] で変更できます。
[サイクル] ペイン
[サイクル] ペインは入力信号の表示部分における反復またはトレンドに関する計算された測定値を表示します。

周期 (s) — 入力信号の表示部分における同じ極性の隣接するエッジ間の平均時間。バイレベル測定パネルでは、周期は次のように計算されます。各正極性パルスの初回遷移と次の立ち上がり遷移の中央基準レベル瞬時の差を取ります。これらの中央基準レベル瞬時は次の図に赤い点で示されています。

周波数 — 平均周期の逆数。周期は一般に秒数の形式 (サイクルあたりの秒数) で測定されるのに対し、周波数は Hz (1 秒あたりのサイクル数) で測定されます。
カウント — [+ パルス] の場合、この値は正極性パルスの回数を示します。
[- パルス] の場合、この値は負極性パルスの回数を示します。
幅 (s) — [+ パルス] の場合、この値は入力信号の表示部分における各正極性パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジ間の平均時間を示します。
[- パルス] の場合、この値は入力信号の表示部分における各負極性パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジ間の平均時間を示します。
デューティ比 (%) — [+ パルス] の場合、この値は入力信号の表示部分における各正極性パルスのパルス周期に対するパルス幅の平均比を示します。
[- パルス] の場合、この値は入力信号の表示部分における各負極性パルスのパルス周期に対するパルス幅の平均比を示します。
スコープにあるズーム オプションを使用する場合、バイレベルの測定値は自動的に表示領域に表示されている時間範囲に調整されます。たとえば、1 つの立ち上がりエッジにズームインして、[バイレベル測定] パネルに特定の立ち上がりエッジの情報のみを表示できます。ただし、この機能は [高] および [低] の測定には対応していません。