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サイバーフィジカル システムのモデル化

サイバーフィジカル システムでは、コンピューターと物理システムを組み合わせて設計目標を達成します。サイバーフィジカル システムのシミュレーションには、連続時間、離散時間、離散イベント、および有限ステートのモデル化といったモデル化手法の組み合わせが必要です。Simulink® およびそのコンパニオン製品では、広範なモデル化手法を適用してシームレスに 1 つのシミュレーション環境に統合する、サイバーフィジカル システムのモデル化に最適な機能が提供されます。

この例では、連続時間、離散イベント、有限ステートのモデル化手法を組み合わせて、可変速コンベヤー ベルト システムの動作をシミュレートする方法を示します。SimEvents® において、エンティティは離散イベントのシミュレーションで対象となる離散項目です。乗客は離散個体であるため、SimEvents® エンティティでモデル化され、Entity Generator ブロックで作成されます。Stateflow® チャートは可変速コンベヤー ベルトの動作モードとモーター ダイナミクスをモデル化します。最後に、Entity Transport Delay ブロックによりコンベヤー ベルトのダイナミクスの関数として乗客のスループットがモデル化され、離散イベントと連続時間領域の間のブリッジが提供されます。

メモ: この例では、SimEvents® と Stateflow® からブロックを使用します。SimEvents または Stateflow ライセンスがない場合でも、モデルを開いてシミュレートできますが、ブロック パラメーターの変更などの基本的な変更しか行えません。

モデル構造

モデルには、次の主要コンポーネントが含まれます。

  • Passengers — ポアソン過程として乗客の到着をモデル化します。出力は、コンベヤー ベルトに乗った乗客に対応する SimEvents® エンティティのシーケンスです。ポアソン過程の到着間隔 ($\Delta t$) の分布は $P(\Delta t) = \lambda e^{-\lambda \Delta t}$ です。ここで $\lambda$ は到着率です。$\lambda$ は、MATLAB アクションにより "ラッシュ アワー""通常の時間""空き時間" に対し Entity Generator ブロックでモデル化されます。乗客の到着率は、次のように時間と共に変化します。

$$
\lambda(t) = \left\{
\begin{array}{lll}
& 2, \hspace{1em} mod(t, 300) \subset [0, 180), \hspace{1em}
\textrm{rush hour} \\
& 0.5, \hspace{1em} mod(t, 300) \subset [180, 240), \hspace{1em}
\textrm{normal hour} \\
& 0.1, \hspace{1em} mod(t, 300) \subset [240, 300), \hspace{1em}
\textrm{free hour}
\end{array}
\right.
$$

  • Entity Transport Delay — Stateflow チャートによって計算された時間遅延に基づき、乗客が別のターミナルに到着するまでコンベヤー ベルトで乗客を保持します。

  • Dashboard — コンベヤー ベルトのランタイム ステータスを表示します。Mode ランプの色はコンベヤー ベルトのモードを示します。

コンベヤー ベルトのダイナミクス

Stateflow® チャートは可変速コンベヤー ベルトのダイナミクスをモデル化します。負荷重量の対数スケールに対してベルトの速度と電力がプロットされるチャートに注意してください。コンベヤー ベルトには以下のモードがあります。

  • Idle — 負荷の重量は小さくなります。ベルトはエネルギーを節約するために低速を維持します。このモードで、Mode ランプはグレーです。

  • OnDemand — これは通常の動作モードです。乗り心地とスループットに対して最適な速度が維持されます。電力は負荷の重量に比例して増加します。このモードで、Mode ランプは緑です。

  • Max — 最大の電力モードです。コンベヤー ベルトが最適な速度を維持するには、負荷の重量が大きすぎます。コンベヤー ベルトは最大電力を超えない可能な最大速度で動作します。このモードで、Mode ランプは赤です。

結果

DashBoard のスコープとブロックはシミュレーション結果を示します。

シミュレーション結果: 1. 乗客の数とシミュレーション時間。2. 速度 (青) および電力 (赤) とシミュレーション時間。

3 つの動作サイクルが 900 の時間範囲内で観測されます。各サイクルには 300 の周期があり、到着率の周期と一致します。上部のプロットは経時的なコンベヤー ベルト上の乗客の数を示し、下部のプロットはコンベヤー ベルトの速度と電力を示します。可視化を向上するために、速度と電力は正規化されます。

各周期の最初の 3 分の 2 は "ラッシュ アワー" に対応し、コンベヤー ベルトの乗客の数は著しく増加します。その結果、コンベヤー ベルトは最大出力電力と、乗客の数に反比例する速度で特徴付けられる Max モードにすばやく入ります。各周期の最後の 3 分の 1 で、空港は "通常の時間" となり、次に "空き時間" が続きます。したがって、コンベヤー ベルト上の乗客の数は減少し、いずれかの時点ではゼロになることもあります。

次に、コンベヤー ベルトは適宜 OnDemand モードと Idle モードで動作します。OnDemand モードでは、速度は既定値に固定され、電力は乗客の数に比例します。Idle モードでは、速度と電力の両方が低い値で維持され、エネルギー消費を低減します。総合的に、コンベヤー ベルトは空港の負荷にしたがって動作します。