文字ベクトルの cell 配列
テキストを "文字ベクトル" として保存するには、一重引用符で囲みます。通常、文字ベクトルは、ファイル名やプロットのラベルなど、単一の情報と見なされるテキストをもちます。ファイル名のリストなど、多数のテキストがある場合は、それらを cell 配列に格納できます。すべての要素が文字ベクトルである cell 配列は、"文字ベクトルの cell 配列" です。
メモ
テキストの格納方法として推奨されているのは "string 配列" を使用することです。
stringデータ型をもつ変数を作成する場合、その変数を cell 配列ではなく string 配列に格納します。詳細については、string 配列および文字配列内のテキストとコードを更新して string を受け入れるを参照してください。"string の cell 配列" というフレーズはこのような cell 配列を説明するために頻繁に使用されてきましたが、こうした cell 配列には string ではなく文字ベクトルが保持されるため、このフレーズは正確ではありません。
文字ベクトルの cell 配列の作成
文字ベクトルの cell 配列を作成するには、任意の cell 配列を作成する場合と同様に、中かっこ {} を使用します。たとえば、文字ベクトルの cell 配列を使用して名前のリストを格納します。
C = {'Li','Sanchez','Jones','Yang','Larson'}C = 1×5 cell
{'Li'} {'Sanchez'} {'Jones'} {'Yang'} {'Larson'}
cell 配列の内容が同じサイズである必要はないため、C 内の文字ベクトルは異なる長さにすることができます。C 内の文字ベクトルの長さを特定するには、関数 strlength を使用します。
L = strlength(C)
L = 1×5
2 7 5 4 6
cell 配列内の文字ベクトルへのアクセス
cell 配列内の文字ベクトルにアクセスするには、中かっこ {} を使用してインデックスを付けます。最初の cell の内容を抽出し、文字ベクトルとして格納します。
C = {'Li','Sanchez','Jones','Yang','Larson'};
chr = C{1}chr = 'Li'
異なる文字ベクトルを最初の cell に代入します。
C{1} = 'Yang'C = 1×5 cell
{'Yang'} {'Sanchez'} {'Jones'} {'Yang'} {'Larson'}
cell の内容ではなくサブセットを参照するには、小かっこを使用してインデックスを付けます。
C(1:3)
ans = 1×3 cell
{'Yang'} {'Sanchez'} {'Jones'}
インデックスを付けることにより、cell の内容にアクセスできますが、cell 配列を入力として受け入れるほとんどの関数は、cell 配列全体に対して機能します。たとえば、関数 strcmp を使用して C の内容を文字ベクトルと比較できます。一致すると strcmp は 1 を返し、それ以外の場合は 0 を返します。
TF = strcmp(C,'Yang')TF = 1×5 logical array
1 0 0 1 0
TF で加算をして、一致の数を求めることができます。
num = sum(TF)
num = 2
TF を論理インデックスとして使用して、C 内の一致項目を返します。小かっこを使用してインデックスを付けると、出力は一致項目のみを含む cell 配列になります。
M = C(TF)
M = 1×2 cell
{'Yang'} {'Yang'}
cell 配列から string 配列への変換
string 配列は MATLAB® および MathWorks® 製品全体でサポートされています。そのため、文字ベクトルの cell 配列ではなく string 配列を使用することが推奨されます (ただし、string 配列を入力として受け入れる MATLAB 関数は、文字ベクトルと、文字ベクトルの cell 配列も受け入れます)。
文字ベクトルの cell 配列は string 配列に変換できます。文字ベクトルの cell 配列を変換するには、関数 string を使用します。
C = {'Li','Sanchez','Jones','Yang','Larson'}C = 1×5 cell
{'Li'} {'Sanchez'} {'Jones'} {'Yang'} {'Larson'}
str = string(C)
str = 1×5 string
"Li" "Sanchez" "Jones" "Yang" "Larson"
実際、関数 string は、cell 配列の内容がすべて string に変換可能であれば、どのような cell 配列でも変換します。
C2 = {5, 10, 'some text', datetime('today')}C2=1×4 cell array
{[5]} {[10]} {'some text'} {[13-Jul-2025]}
str2 = string(C2)
str2 = 1×4 string
"5" "10" "some text" "13-Jul-2025"
参考
cellstr | char | iscellstr | strcmp | string