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pidtuneOptions

関数 pidtune のオプションの定義

説明

pidtuneOptions オブジェクトは、関数 pidtune を使用して PID コントローラーを調整するためのプロパティを指定するために使用します。

作成

説明

opt = pidTuneOptions は、既定のプロパティをもつ pistuneOptions オブジェクトを作成します。

opt = pidtuneOptions(Name=Value) は、名前と値の引数を使用してオプション オブジェクトの 1 つ以上のプロパティを指定します。たとえば、opt = pidtuneOptions(PhaseMargin=55) は、位相余裕が 55 度のオプション オブジェクトを作成します。

R2021a より前では、名前と値をそれぞれコンマを使って区切り、Name を引用符で囲みます。たとえば、opt = pidtuneOptions("PhaseMargin",55) は、位相余裕が 55 度のオプション オブジェクトを作成します。

プロパティ

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ターゲットとする位相余裕 (度単位)。正のスカラーとして指定します。pidtune は、位相余裕が少なくとも PhaseMargin に指定された値になるようコントローラーの設計を試みます。選択された交差周波数は、達成可能な位相余裕を制限できます。通常は、位相余裕が大きいと安定性とオーバーシュートが改善されますが、帯域幅と応答速度は制限されます。

設計で優先される閉ループの性能目的。次のいずれかとして指定します。

  • 'balanced' (既定値) — ロバスト性に応じてコントローラーを調整し、設定値追従と外乱の抑制とのバランスを取ります。

  • 'reference-tracking' — 可能であれば、設定値追従を優先するようコントローラーを調整します。

  • 'disturbance-rejection' — 可能であれば、外乱の抑制を優先するようコントローラーを調整します。

指定されたターゲット位相余裕に対して、pidtune は、性能についての 2 つの測定である設定値追従と外乱の抑制のバランスを取るコントローラー設計を選択します。DesignFocus オプションを変更する際、調整アルゴリズムは PID ゲインを調整して、同一のターゲット位相余裕を実現しながら設定値追従と外乱の抑制のいずれかを優先するよう試みます。pidtune による制御アーキテクチャ (次の図に示す) において、設定値追従は r の信号に対する y における応答、外乱の抑制は d の信号の y における抑制です。

調整可能なパラメーターがシステム内に多く存在すればするほど、ロバスト性を失わずに PID アルゴリズムが目的の設計フォーカスを実現できる可能性は高まります。たとえば、設計フォーカスの設定は、P または PI コントローラーよりも PID コントローラーに対して行う方がより高い効果を期待できます。すべての場合において、システムの性能をどの程度まで微調整できるかは、プラントの特性に強く左右されます。

このオプションの効果を示す例については、設定値追従と外乱の抑制のいずれかを優先するための PID コントローラーの調整 (コマンド ライン)を参照してください。

プラント内の不安定な極の数。非負の整数として指定します。

プラントが frd モデルである場合や、内部遅延がある状態空間モデルである場合、開ループの不安定な極 (存在する場合) の数を指定しなければなりません。値が正しくないと、PID コントローラーが実際のプラントを安定化させられなくなることがあります。(pidtune は他のモデル タイプでこのオプションを無視します。)

不安定な極とは、以下のような範囲にある極です。

  • Re(s) > 0 (連続時間プラントの場合)

  • |z| > 1 (離散時間プラントの場合)

プラント内の純積分器 (s = 0) または (|z| > 1) は、NumUnstablePoles の不安定な極とは見なされません。プラントが純積分器をもつプラントの frd モデルである場合は、最適の結果を得るには、周波数応答データが積分器の勾配を捕捉できるだけの低い周波数を必ず含んでいるようにします。

オブジェクト関数

pidtune線形プラント モデルのための PID 調整アルゴリズム

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PIDF コントローラーを 45 度のターゲット位相余裕で調整し、性能については外乱の抑制を優先します。

sys = tf(1,[1 3 3 1]);
opts = pidtuneOptions('PhaseMargin',45,'DesignFocus','disturbance-rejection');
[C,info] = pidtune(sys,'pid',opts);

ヒント

  • pidtune コマンドを使用して不安定な極をもつプラントのための PID コントローラーを設計する際に、プラント モデルが以下の 1 つである場合:

    • frd モデル

    • I/O 遅延に変換できない内部遅延をもつ ss モデル

    その場合、pidtuneOptions を使用してプラント内の不安定な極の数を指定します。

バージョン履歴

R2010b で導入