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rainpl

降雨による RF 信号の減衰

説明

L = rainpl(range,freq,rainrate) は、降雨による信号の減衰 L を返します。この構文では、減衰は信号のパスの長さ range、信号の周波数 freq、降雨強度 rainrate の関数です。パスの仰角と偏波角はゼロであることを想定しています。

関数 rainpl は、International Telecommunication Union (ITU) の降雨減衰モデルを適用し、降雨領域に伝播する信号のパス損失を計算します [1]。関数は、信号パスが一様な降雨環境に完全に含まれる場合に適用されます。信号パスでは、降雨強度は変化しません。減衰モデルは、1–1000 GHz の周波数に対してのみ適用されます。

L = rainpl(range,freq,rainrate,elev) は、伝播パスの仰角 elev も指定します。

L = rainpl(range,freq,rainrate,elev,tau) は、信号の偏波角 tau も指定します。

L = rainpl(range,freq,rainrate,elev,tau,pct) は、時間の特定の割合 pct も指定します。pct は、0.001 以上 1 以下の範囲のスカラーです。減衰 L は、長期統計上の降雨強度の 0.01% 値 (mm/h 単位) を使用して、べき乗則から計算されます。

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小雨の場合と豪雨の場合で、10 km の距離について 20 GHz の信号に対する降雨による信号減衰を計算します。

1 mm/hr の小雨で信号を伝播します。

rr = 1.0;
L = rainpl(10000,20.0e9,rr)
L = 1.3009

10 mm/hr の豪雨で信号を伝播します。

rr = 10.0;
L = rainpl(10000,20.0e9,rr)
L = 8.1584

周波数範囲が 1-1000 GHz の信号について、20 mm/hr の統計上の降雨による信号の減衰をプロットします。パスの距離は 10 km です。

rr = 20.0;
freq = [1:1000]*1e9;
L = rainpl(10000,freq,rr);
semilogx(freq/1e9,L)
grid
xlabel('Frequency (GHz)')
ylabel('Attenuation (dB)')

Figure contains an axes object. The axes object contains an object of type line.

仰角の関数として、豪雨による信号の減衰を計算します。仰角は、0 度から 90 度に変化します。パスの距離を 100 km とし、信号の周波数を 100 GHz とします。

降雨強度を 10 mm/hr に設定します。

rr = 10.0;

仰角、周波数、範囲を設定します。

elev = [0:1:90];
freq = 100.0e9;
rng = 100000.0*ones(size(elev));

損失を計算およびプロットします。

L = rainpl(rng,freq,rr,elev);
plot(elev,L)
grid
xlabel('Path Elevation (degrees)')
ylabel('Attenuation (dB)')

Figure contains an axes object. The axes object contains an object of type line.

偏波角の関数として、豪雨による信号の減衰を計算します。パスの距離を 100 km とし、信号の周波数を 100 GHz、パスの仰角を 0 度とします。降雨強度を 10 mm/hr に設定します。信号の減衰と偏波角をプロットします。

偏波角は、0 度から 90 度に変化するように設定します。

tau = -90:90;

仰角、周波数、パスの距離、および降雨強度を設定します。

elev = 0;
freq = 100.0e9;
rng = 100e3*ones(size(tau));
rr = 10.0;

減衰を計算およびプロットします。

L = rainpl(rng,freq,rr,elev,tau);
plot(tau,L)
grid
xlabel('Tilt Angle (degrees)')
ylabel('Attenuation (dB)')

Figure contains an axes object. The axes object contains an object of type line.

入力引数

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信号のパス長。非負の実数値スカラーあるいは M 行 1 列または 1 行 M 列ベクトルとして指定します。単位はメートルです。

例: [13000.0,14000.0]

信号の周波数。正の実数値スカラーあるいは非負の N 行 1 列または 1 行 N 列ベクトルとして指定します。周波数は 1-1000 GHz の範囲でなければなりません。

例: [1400.0e6,2.0e9]

長期統計の降雨強度。非負の実数値スカラーとして指定します。長期統計の降雨強度は、ある時間内に 0.01% の確率で超過する降雨量です。時間の割合は pct 引数を使用して調整できます。単位は mm/hr です。

例: 1.5

信号のパスの仰角。実数値スカラーあるいは M 行 1 列または 1 行 M 列ベクトルとして指定します。単位は –90°から 90°までの度数です。elev がスカラーの場合、すべての伝播パスが同じ仰角をもちます。elev がベクトルの場合、その長さは、range の大きさと一致し、elev 内の各要素は、range 内の伝播範囲に対応しなければなりません。

例: [0,45]

信号の楕円偏波の傾斜角。実数値スカラーあるいは M 行 1 列または 1 行 M 列ベクトルとして指定します。単位は –90°から 90°までの度数です。tau がスカラーの場合、すべての信号が同じ傾斜角をもちます。tau がベクトルの場合、その長さは range の大きさに一致しなければなりません。この場合、tau の各要素は、range の伝播パスに対応している必要があります。

傾斜角は、楕円偏波の長半径と x 軸の間の角度として定義されます。楕円は対称であるため、100° の傾斜角は、-80° の状態の偏波に対応します。したがって、傾斜角は ±90°の間の指定しか必要としません。

例: [45,30]

降雨の超過割合。0.001 ~ 1 の正のスカラーとして指定します。長期統計の降雨強度は、時間の pct において超過する降雨強度です。単位は無次元です。

データ型: double

出力引数

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信号の減衰。実数値の M 行 N 列の行列として返されます。各行列の行は、異なるパスを表します。ここで、M はパスの数です。各列は、異なる周波数を表します。ここで、N は周波数の数です。単位は dB です。

詳細

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降雨減衰モデル

このモデルは、降雨領域を通って伝播する信号の減衰を計算します。降雨減衰は主要なフェージング メカニズムで、場所および年によって異なります。

電磁信号は、降雨領域を通って伝播するときに減衰します。降雨減衰は、次の ITU 降雨モデルに従って計算されます。『Recommendation ITU-R P.838-3: Specific attenuation model for rain for use in prediction methods』。このモデルは、信号の特定の減衰 (キロメートルごとの減衰) を、降雨強度、信号周波数、偏波、およびパスの仰角による関数として計算します。特定の減衰 ɣR は、降雨強度に対するべき乗則としてモデル化されます。

γR=kRα,

ここで、R は降雨強度です。単位は mm/hr です。パラメーター k と指数 α は、周波数、偏波の状態、信号パスの仰角によって異なります。特定の減衰モデルは、1–1000 GHz の周波数に対して有効です。

パスに沿った狭帯域信号の合計の減衰を計算するために、関数は有効な伝播距離 deff を特定の減衰にかけます。それにより、合計の減衰は、L = deffγR となります。

有効な距離は、幾何学的距離 d にスケール係数を乗算したものです。

r=10.477d0.633R0.010.073αf0.12310.579(1exp(0.024d))

ここで、f は周波数です。記事『Recommendation ITU-R P.530-17 (12/2017): Propagation data and prediction methods required for the design of terrestrial line-of-sight systems』に、減衰の計算の詳細が記載されています。

これらの計算で使用される降雨強度 R は、長期統計の降雨強度 R0.01 です。これは、時間の 0.01% において超過する降雨強度です。統計上の降雨強度の計算については、次で説明されています。『Recommendation ITU-R P.837-7 (06/2017): Characteristics of precipitation for propagation modelling』。この記事では、0.01% の値以外の割合で減衰を計算する方法についても説明しています。

この減衰モデルは、広帯域信号に適用できます。最初に、広帯域信号を周波数サブバンドに分割し、各サブバンドに減衰を適用します。次に、すべての減衰したサブバンド信号を足して、合計の減衰した信号を算出します。

参照

[1] Radiocommunication Sector of International Telecommunication Union. Recommendation ITU-R P.838-3: Specific attenuation model for rain for use in prediction methods. 2005.

[2] Radiocommunication Sector of International Telecommunication Union. Recommendation ITU-R P.530-17: Propagation data and prediction methods required for the design of terrestrial line-of-sight systems. 2017.

[3] Recommendation ITU-R P.837-7: Characteristics of precipitation for propagation modelling

[4] Seybold, J. Introduction to RF Propagation. New York: Wiley & Sons, 2005.

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R2017b で導入