カスタム ツールチェーンの登録
カスタム ツールチェーンとは
MATLAB® Coder™ ソフトウェアに対して、ソフトウェア ビルド ツールのサポートを追加できます。たとえば、MATLAB Coder ソフトウェアに対してサードパーティのコンパイラ/リンカー/アーカイバー (ツールチェーン) のサポートを追加できます。このカスタマイズは、追加されたツールチェーンに特定の種類のプロセッサまたはハードウェアに対するサポートおよび最適化が存在する場合に便利です。これらの追加されたツールチェーンは "カスタム ツールチェーン" と呼ばれます。
出荷時のツールチェーンとは
MATLAB Coder ソフトウェアには、ツールチェーン一式に対する出荷時の既定のサポートが含まれます。これらのツールチェーンは "出荷時のツールチェーン" と呼ばれ、カスタム ツールチェーンと区別されます。ホスト コンピューターに出荷時のツールチェーンをインストールすると、MATLAB Coder はこれらを自動的に検出して使用します。出荷時のツールチェーンに対するサポートはホスト オペレーティング システムにより異なります。ツールチェーンは、ツールチェーン内のコンパイラによって識別されます。サポートされるツールチェーン (コンパイラ) の一覧は https://www.mathworks.com/support/compilers/ で公開されています。
ツールチェーン定義とは
"ツールチェーン定義" は MATLAB Coder ソフトウェアにソフトウェア ビルド ツールの情報 (コンパイラ、リンカー、アーカイバーなど) を提供します。MATLAB Coder ソフトウェアはこの情報を構成オブジェクトまたはプロジェクトと共に使用して生成コードをビルドします。この方法はスタティック ライブラリ、ダイナミック ライブラリおよび実行可能ファイルを生成するときに使用可能です。MEX ファイルの生成は異なる方法を使用します。MEX 関数の生成に使用するコンパイラを指定するには、C または C++ コンパイラの設定を参照してください。
MATLAB Coder ソフトウェアには、一連の登録済み "出荷時のツールチェーン" 定義が付属します。"カスタム ツールチェーン" 定義を作成、登録できます。ツールチェーン定義をカスタマイズおよび管理できます。MATLAB Coder ソフトウェアを実行している他のユーザーとカスタム ツールチェーン定義を共有できます。
出荷時のツールチェーンにツールチェーン ソフトウェアをインストールすると、MATLAB Coder はそのツールチェーン ソフトウェアを自動的に検出して使用します。MATLAB Coder ソフトウェアでの出荷時のツールチェーンの詳細については、https://www.mathworks.com/support/compilers/ を参照してください。
重要な用語
以下の概念を理解するのに役立ちます。
"ツールチェーン" - バイナリ実行可能ファイルおよびライブラリをソース コードから作成できるソフトウェア。ツールチェーンには次のものを含むことができます。
環境を設定する "プレビルド ツール"
ソース コードからバイナリ実行可能ファイルをビルドする "ビルド ツール" (アセンブラ、C コンパイラ、C++ コンパイラ、リンカー、アーカイバーなど)
環境をクリーンアップする "ポストビルド ツール"
"カスタム ツールチェーン" - MATLAB Coder ソフトウェアで使用するために定義、登録するツールチェーン
"出荷時のツールチェーン" - MATLAB Coder ソフトウェア内で事前に定義され、登録されたツールチェーン
"登録済みツールチェーン" - MATLAB Coder ソフトウェア内で登録されたすべてのカスタム ツールチェーンおよび出荷時のツールチェーン
"ToolchainInfo オブジェクト" - ツールチェーン定義を含む
coder.make.ToolchainInfo
クラスのインスタンス。ToolchainInfo
オブジェクトを MAT ファイルとして保存し、ファイルを MATLAB Coder とともに登録できます。これにより、MATLAB Coder を構成してコード生成中にToolchainInfo
オブジェクトを読み込むことができます。"ツールチェーン定義ファイル" - ツールチェーンのプロパティを定義する MATLAB ファイル。このファイルを使用して
ToolchainInfo
オブジェクトを作成します。
メモ
このドキュメンテーションではまた、ToolchainInfo
オブジェクトを coder.make.ToolchainInfo
オブジェクトとも表記しています。
一般的なワークフロー
カスタム ツールチェーン定義を作成し、使用するための一般的なワークフローは次のとおりです。
coder.make.ToolchainInfo
オブジェクトを返すツールチェーン定義ファイルを作成します。カスタム ツールチェーンに関する情報でファイルを更新します。
ツールチェーン定義ファイルを使用して MATLAB ワークスペース内に
ToolchainInfo
オブジェクトを作成します。ToolchainInfo
オブジェクトを検証します。ツールチェーン定義ファイルを更新し、更新された
ToolchainInfo
オブジェクトを作成/検証して検証上の問題を修正します。有効な
ToolchainInfo
オブジェクトを作成し、それを MAT ファイルに保存します。
rtwTargetInfo.m ファイルを作成し、MAT ファイルに関する情報で更新します。
rtwTargetInfo.m ファイルを使用して、カスタム ツールチェーンを MATLAB Coder ソフトウェアに登録します。
カスタム ツールチェーンを使用するために、MATLAB Coder ソフトウェアを構成します。
カスタム ツールチェーンを使用して実行可能ファイルをビルドし、実行します。
カスタム ToolchainInfo
オブジェクトの最終バージョンに到達するためには、複数のサイクルでこのワークフローを反復する必要があります。カスタム ツールチェーンに関する詳細情報へのアクセスが必要となります。
このワークフローのチュートリアルの例については、MATLAB® Coder™ ビルド プロセスへのカスタム ツールチェーンの追加を参照してください。
ToolchainInfo
オブジェクトの詳細は、coder.make.ToolchainInfo についてを参照してください。