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nrTimingEstimate

実用的なタイミング推定

R2019b 以降

説明

[offset,mag] = nrTimingEstimate(carrier,waveform,refGrid) は、入力波形 waveform と基準波形との相互相関に基づいて実用的なタイミング推定を実行します。この関数は、直交周波数分割多重 (OFDM) を使用して基準リソース グリッド refGrid を変調し、基準波形を取得します。carrier は、OFDM 変調のパラメーターを指定します。この関数は、入力波形を受信した各受信アンテナについて、推定されたタイミング オフセット offset および推定されたインパルス応答の大きさ mag を返します。

[offset,mag] = nrTimingEstimate(carrier,waveform,refInd,refSym) は、carrier で指定された OFDM 変調を使用して、refInd の位置にある基準シンボル refSym を含む基準リソース グリッドを変調し、基準波形を取得します。

[offset,mag] = nrTimingEstimate(waveform,nrb,scs,initialNSlot,refGrid) は、サブキャリア間隔 scs で配置された nrb 個のリソース ブロックに対し、初期スロット番号 initialNSlot から OFDM 変調を使用して基準リソース グリッド refGrid を変調し、基準波形を取得します。

[offset,mag] = nrTimingEstimate(waveform,nrb,scs,initialNSlot,refInd,refSym) は、nrbscs、および initialNSlot で指定された OFDM 変調を使用して、refInd の位置にある基準シンボル refSym を含むリソース グリッドを変調し、基準波形を取得します。

[offset,mag] = nrTimingEstimate(___,Name,Value) は、前述のいずれかの構文の入力引数に加えて、1 つ以上の名前と値のペアの引数を使用してオプションを指定します。

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物理レイヤーのセル ID 番号 42 のプライマリ同期信号 (PSS) シンボルを生成します。

ncellid = 42;
pssSym = nrPSS(ncellid);

PSS のリソース エレメント インデックスを取得します。

pssInd = nrPSSIndices();

生成された PSS シンボルを含むリソース グリッドを作成します。

nrb = 20;
scs = 15;
carrier = nrCarrierConfig('NSizeGrid',nrb,'SubcarrierSpacing',scs);
txGrid = nrResourceGrid(carrier);
txGrid(pssInd) = pssSym;

リソース グリッドを OFDM 変調します。

txWaveform = nrOFDMModulate(carrier,txGrid);

TDL-C チャネル モデルを経由してサンプル レート 7.68 MHz で波形を送信します。

ofdmInfo = nrOFDMInfo(carrier);
channel = nrTDLChannel;
channel.SampleRate = ofdmInfo.SampleRate;
channel.DelayProfile = 'TDL-C';
rxWaveform = channel(txWaveform);

PSS シンボルを基準シンボルとして使用して、送信のタイミング オフセットを推定します。基準シンボルの OFDM 変調は、初期スロット番号 0 を使用します。

initialNSlot = 0;
offset = nrTimingEstimate(rxWaveform,nrb,scs,initialNSlot,pssInd,pssSym);

入力引数

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特定の OFDM numerology のキャリア構成パラメーター。nrCarrierConfig オブジェクトとして指定します。そのオブジェクト プロパティのみが、この関数に関連付けられます。

キャリア リソース グリッド内の RB の数。1 ~ 275 の整数として指定します。既定値の 52 は、SCS が 15 kHz である 10 MHz キャリアの RB の最大数に対応します。

データ型: double

キャリアのすべてのチャネルおよび基準信号の kHz 単位のサブキャリア間隔。153060120240480、または 960 として指定します。

データ型: double

スロット番号。非負の整数として指定します。NSlot には、フレームごとのスロット数よりも大きい値を設定できます。たとえば、MATLAB® シミュレーションで送信ループ カウンターを使用してこの値を設定できます。この場合、呼び出しコードでプロパティ値がフレームごとのスロット数を法としていることを確認しなければならない場合があります。

データ型: double

サイクリック プレフィックス長。次のオプションのいずれかとして指定します。

  • 'normal' — この値を使用して、ノーマル サイクリック プレフィックスを指定します。このオプションは、スロット内の 14 個の OFDM シンボルに対応します。

  • 'extended' — この値を使用して、拡張サイクリック プレフィックスを指定します。このオプションは、スロット内の 12 個の OFDM シンボルに対応します。TS 38.211 の Section 4.2 で規定されている numerology では、拡張サイクリック プレフィックス長が 60 kHz のサブキャリア間隔にのみ適用されます。

データ型: char | string

受信波形。T 行 NR 列の複素行列として指定します。

  • T は、時間領域のサンプル数。

  • NR は受信アンテナの数。

データ型: single | double
複素数のサポート: あり

事前定義された基準グリッド。K×N×P の複素数配列として指定します。refGrid は複数のスロットにまたがることができます。

  • K は、nrb × 12 に等しいサブキャリアの数。

  • N は、基準グリッド内の OFDM シンボルの数。

  • P は基準信号のポートの数。

データ型: single | double
複素数のサポート: あり

基準シンボルのインデックス。整数行列として指定します。行の数はリソース エレメントの数と同じです。すべてのインデックスを 1 つの列で指定することも、複数の列に分散させることもできます。refIndrefSym の要素数は同じでなければなりませんが、それらの次元は異なる場合があります。この関数は、refIndrefSym を基準グリッドにマッピングする前に、refGrid(refInd(:)) = refSym(:) のようにそれらを列ベクトルに形状変更します。

refInd の要素は、K×L×P のリソース配列をアドレス指定する 1 ベースの線形インデックスです。

  • K は、nrb × 12 に等しいサブキャリアの数。

  • L は、スロット内の OFDM シンボルの数。L は、入力 cpl、または入力 carrierCyclicPrefix プロパティで指定されたサイクリック プレフィックスに応じて 12 または 14 にします。

  • P は、refInd の値の範囲から推定される基準信号のポートの数。

データ型: double

基準シンボル。複素行列として指定します。行の数はリソース エレメントの数と同じです。すべてのシンボルを 1 つの列で指定することも、複数の列に分散させることもできます。refIndrefSym の要素数は同じでなければなりませんが、それらの次元は異なる場合があります。この関数は、refIndrefSym を基準グリッドにマッピングする前に、refGrid(refInd(:)) = refSym(:) のようにそれらを列ベクトルに形状変更します。

データ型: single | double
複素数のサポート: あり

リソース ブロックの数。1 ~ 275 の整数として指定します。

データ型: double

kHz 単位のサブキャリア間隔。153060120240480、または 960 として指定します。

データ型: double

初期スロット番号 (0 ベース)。非負の整数として指定します。この関数は、サブフレームごとのスロット数を法とする initialNSlot の値に基づいて、OFDM 変調に最適なサイクリック プレフィックス長を選択します。

データ型: double

名前と値の引数

オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は関係ありません。

R2021a より前では、コンマを使用して名前と値の各ペアを区切り、Name を引用符で囲みます。

例: 'SampleRate','1e9' は、1×109 Hz のサンプル レートを指定します。

サイクリック プレフィックス長。'CyclicPrefix' と次の値のいずれかで構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

  • 'normal' — この値を使用して、ノーマル サイクリック プレフィックスを指定します。このオプションは、スロット内の 14 個の OFDM シンボルに対応します。

  • 'extended' — この値を使用して、拡張サイクリック プレフィックスを指定します。このオプションは、スロット内の 12 個の OFDM シンボルに対応します。TS 38.211 の Section 4.2 で規定されている numerology では、拡張サイクリック プレフィックス長が 60 kHz のサブキャリア間隔にのみ適用されます。

メモ

carrier 入力を指定する場合は、carrier 入力の CyclicPrefix プロパティを使用して、サイクリック プレフィックス長を指定します。この名前と値のペアの引数を carrier 入力と一緒に使用することはできません。

データ型: char | string

高速フーリエ変換 (FFT) 点の数。'Nfft' および 127 より大きい非負の整数または [] で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。指定する値は、サイクリック プレフィックス長が整数値となり、最大占有率が 100% となるものでなければなりません。占有率は (12 × NRB)/Nfft の値として定義されます。ここで、NRB はリソース ブロックの数です。

この入力を指定しなかった場合、または 'Nfft',[] を指定した場合、関数はこの入力の既定値として 127 より大きい整数値を設定します。実際の既定値は、他の入力値によって異なります。

  • SampleRate 入力を指定しなかった場合、または 'SampleRate',[] を指定した場合、関数は次の条件を満たす Nfft を設定します。

    • 2 の整数乗の Nfft

    • 最大占有率が 85% になる Nfft

  • SampleRate 入力を指定した場合、関数は次の条件を満たす Nfft を設定します。

    • サイクリック プレフィックス長が整数値になる Nfft

    • gcd (Nfft × SCS, SampleRate) の値を最大化する Nfft。ここで、SCS は carrier.SubcarrierSpacing プロパティまたは scs 入力によって指定される。

詳細については、OFDM サンプル レートと FFT サイズの構成を参照してください。

データ型: double

波形のサンプル レート。'SampleRate' および正のスカラー値または [] で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。

この入力を指定しなかった場合、または 'SampleRate',[] を指定した場合、関数はこの入力に Nfft × SCS の値を設定します。

  • Nfft'Nfft' 入力の値。

  • SCS はサブキャリア間隔。使用する関数構文に応じて、SCS が carrier.SubcarrierSpacing プロパティまたは scs 入力によって指定されます。

詳細については、OFDM サンプル レートと FFT サイズの構成を参照してください。

データ型: double

Hz 単位の搬送周波数。'CarrierFrequency' と実数で構成されるコンマ区切りのペアとして指定します。この入力は、TS 38.211 の Section 5.4 で定義されている f0 に対応します。

データ型: double

出力引数

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サンプル数で表された推定タイミング オフセット。非負の整数として返されます。このサンプル数は、入力波形 waveform の最初のサンプルからの相対値です。

データ型: double

入力波形 waveform を受信した各受信アンテナについて推定されたインパルス応答の大きさ。T 行 NR 列の実数行列として返されます。

  • T は、時間領域のサンプル数。

  • NR は受信アンテナの数。

mag は入力 waveform のデータ型を継承します。

データ型: single | double

参照

[1] 3GPP TS 38.211. “NR; Physical channels and modulation.” 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network.

拡張機能

バージョン履歴

R2019b で導入

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