熱システムのモデル化

自動車、航空宇宙、産業用制御装置の各分野で油圧についてモデル化するときは、多くの場合、システムの熱力学を考慮する必要があります。熱の流れが重要な役割を担う明らかなものとしては熱管理がありますが、それだけにとどまりません。コンポーネントの挙動やシステムの効率などの重要な要素は、熱影響を適切に考慮しているかどうかによることが多くあります。システムの物理モデルで熱影響を考慮できるかどうかは、性能の解析、コンポーネントの設計の最適化、信頼性の予測を実行するうえで非常に重要になります。

thermal system model consulting

業界での豊富な経験と MATLAB および Simulink の専門知識に基づいて、 MathWorks Consulting Services では、ライブラリのカスタマイズから、システムレベルのシミュレーション、制御の設計、組み込みコードの生成、リアルタイムのハードウェアインザループ テストとデプロイメントまで、さまざまな物理モデリング システムの開発を支援しています。

プロジェクト開発の高速化

MathWorks Consulting Servicesでは、組織内の現在および将来のモデル化のニーズに対応するモデルベースデザイン (モデルベース開発、MBD)環境を確立するためのベスト プラクティスを提供しています。すべての熱の流れと熱損失の適切な表現、および流体の温度依存性の適切な近似方法の決定を支援します。また、プロトタイピングや繰り返しの検証の時間を大幅に短縮できるように、高度な最適化アルゴリズムを使用してパラメーターの推定を自動化する手法も提案します。

データが不完全な場合の適切なモデル構造の決定

通常、モデルの挙動を定義するプロパティやパラメーターは、モデルを調整しながら決めていきます。これらのプロパティやパラメーターのソースにはデータ シート、工業規格、研究室でのモックアップ試験、第一原理などがありますが、それらが組み合わされている場合がほとんどで、データが不完全なこともよくあります。モデルの忠実度はデータの完全性に依存するのに対し、データはモデルから得られる情報に依存します。このような相互依存関係がモデル構造とモデルのパラメーターの間に存在するため、モデルを正しく構造化して現状の開発に反映するには工学的な判断が必要になります。MathWorks のコンサルタントは、コンポーネントの挙動が流体の温度によってどのように変わるかを理解しており、適切なモデル構造を決定できるように支援しています。また、お手持ちのデータをどのようにして流体特性やモデルパラメータとして取り込むのかということについても示すことができます。

モデル精度とシミュレーション速度のバランス

パフォーマンスが高いモデルを構築するには、ベンダーのデータ シートや実験データを取り込むだけでは不十分です。ソルバーのコンフィギュレーション設定は油圧システムの重要な要素であり、数値計算として本質的にはスティッフなものになります。MathWorks のコンサルタントは、ソルバーパフォーマンスの最適化およびモデル精度とシミュレーション速度のトレードオフをどのようにバランスをすればよいかを示します。これは、リアルタイム処理には欠かせないことであり、大規模で複雑な物理システムでは重要になります。

実世界のシステムの挙動を正確に表現するシミュレーションとモデルの作成

MathWorks のコンサルタントは、ポンプ、バルブ、熱交換器の挙動を細かくキャプチャする独自のブロックを構築できるように支援します。多くの場合、現実的なシステムのシミュレーションには複数の物理ドメインの接続が必要になります。このような例としては、100% 液体から 100% 気体の間のいずれかの状態になる混合流や、バルク材の取り扱いなどの混合物があります。このようなケースにおいて、MathWorks のコンサルタントは、それぞれの用途に最も適したカスタム ブロックのライブラリを開発できるように支援します。これにより、基本ライブラリを開発できると共に、その際に習得した専門知識を応用して社内でカスタム ライブラリ コンポーネントを開発できるようになります。


MathWorks Consulting Servicesによるサポートの内容:

  • 必要とされる精度のマルチドメイン システム モデルの選択と実現
  • 正確な熱流体特性のモデルへの取り込み
  • パラメーター推定の自動化
  • 制御開発へのモデルベースデザイン (モデルベース開発、MBD)の適用による開発作業の削減と開発期間の短縮
  • 統合されたコーチング セッションおよび知識の継承による独自に対応できる能力の構築