ライブラリチャート内のデータのログ

Simulink^® では、1 つ以上のモデルでブロックまたはサブシステムの機能を再利用する 1 つの方法として、独自のブロックライブラリを作成することができます。同様に、ライブラリチャートの機能をカプセル化することにより、Stateflow^® アルゴリズムの集合を再利用することもできます。

他の Simulink ブロックライブラリ同様、モデル内のチャートライブラリブロックの各インスタンスを特殊化して、さまざまなデータ型、サンプル時間、その他のプロパティを使用できます。同じプロパティを継承するライブラリインスタンスでは生成コードを再利用できます。

Simulink ブロックライブラリの詳細については、ライブラリとブロックセット (Simulink)を参照してください。

ライブラリのログ設定がリンクされたインスタンスに与える影響

チャートインスタンスは、リンクされているライブラリチャートからログプロパティを継承します。インスタンスのログプロパティはオーバーライドできますが、ライブラリで選択した信号に対してのみ適用されます。インスタンスからログを作成する追加の信号を選択することはできません。

Atomic サブチャートにおけるログプロパティのオーバーライド

モデル sf_atomic_sensor_pair では、チャート RedundantSensors の Atomic サブチャート Sensor1 および Sensor2 を使用して、冗長なセンサーの組み合わせをシミュレーションしています。各 Atomic サブチャートは、ライブラリチャート sf_atomic_sensor_lib のステート Fail、FailOnce、および OK のインスタンスを含んでいます。

Stateflow ユーザーインターフェイスを使用したログプロパティのオーバーライド

サンプルライブラリ sf_atomic_sensor_lib を開きます。
```
openExample("sf_atomic_sensor_lib")
```
[ライブラリ] タブで、[ロックされたライブラリ] をクリックしてライブラリのロックを解除します。
チャートを開きます。
[ライブラリ] タブの [準備] で、[プロパティインスペクター] をクリックします。
チャート内のステートごとにログを有効にしてカスタマイズします。
1. ステートを選択します。
2. [プロパティインスペクター] で [自己アクティビティのログ] を選択します。
3. [プロパティインスペクター] の [ログ名] ドロップダウンリストで、[Custom] を選択します。
  テキストフィールドで、Log の後に続けてステート名を入力します。たとえば、LogOK、LogFail、および LogFailOnce のようになります。
モデル sf_atomic_sensor_pair を開きます。このモデルには、ライブラリチャートの 2 つのインスタンスが含まれています。
```
openExample("sf_atomic_sensor_pair")
```
[コンフィギュレーションパラメーター] ダイアログボックスを開きます。
[データのインポート/エクスポート] ペインで [ログを取るために信号を設定] をクリックして、Simulink 信号ログセレクターを開きます。
[Simulink 信号ログセレクター] ウィンドウの [モデルの階層構造] ペインで、RedundantSensors を展開し、Sensor1 をクリックします。
ライブラリインスタンスは、ライブラリチャートからログプロパティを継承します。
Sensor1 のログプロパティをオーバーライドします。
1. ウィンドウ上部で、[ログモード] を [信号をオーバーライドする] に変更します。[コンテンツ] ペインで、セレクターは両方のライブラリチャートの [DataLogging] チェックボックスの値をオフにします。
2. [DataLogging] 列のチェックボックスをオンにして、Fail ステートと FailOnce ステートのログを有効にします。
3. 信号 Fail と FailOnce の [LoggingName] 列の値をダブルクリックし、それぞれ LogFailSensor1 と LogFailOnceSensor1 に変更します。

コマンドライン API によるログプロパティのオーバーライド

サンプルライブラリ sf_atomic_sensor_lib を開きます。
```
openExample("sf_atomic_sensor_lib")
```

ライブラリロックを解除。

library = find(sfroot,"-isa","Stateflow.Machine", ...
    Name="sf_atomic_sensor_lib");
library.Locked = false;

ライブラリチャート内のすべてのステートを含む配列を作成します。各ステートの信号のログを作成します。
```
states = find(library,"-isa","Stateflow.State");

for i = 1: length(states)
   states(i).LoggingInfo.DataLogging = true;
end
```
モデル sf_atomic_sensor_pair を開きます。このモデルには、ライブラリチャートの 2 つのインスタンスが含まれています。
```
open_system("sf_atomic_sensor_pair")
```
モデルの ModelLoggingInfo オブジェクトを作成します。このオブジェクトは、すべてのログ信号を保存する Signals という名前の配列を含みます。
```
logInfo = Simulink.SimulationData.ModelLoggingInfo.createFromModel('sf_atomic_sensor_pair')
```
```
logInfo = 

  ModelLoggingInfo with properties:

                     Model: 'sf_atomic_sensor_pair'
               LoggingMode: 'OverrideSignals'
    LogAsSpecifiedByModels: {}
                   Signals: [1×6 Simulink.SimulationData.SignalLoggingInfo]
```
Signals 配列は、ライブラリチャートでログ作成がマークされた次のような信号を含んでいます。
- Atomic サブチャート Sensor1 の Fail、FailOnce、および OK ステートのライブラリインスタンス
- Atomic サブチャート Sensor2 の Fail、FailOnce、および OK ステートのライブラリインスタンス
ログ信号で、そのプロパティをオーバーライドする信号へのブロックパスを作成します。
Stateflow チャート内部の信号にアクセスするには、Simulink.SimulationData.BlockPath オブジェクトを使用します。詳細については、Simulink.SimulationData.BlockPath (Simulink) を参照してください。
たとえば、RedundantSensors チャートの Atomic サブチャート Sensor1 にある信号 Fail、FailOnce、および OK のブロックパスを作成するには、次のように入力します。
```
failPath = Simulink.SimulationData.BlockPath( ...
    "sf_atomic_sensor_pair/RedundantSensors/Sensor1","Fail");
failOncePath = Simulink.SimulationData.BlockPath( ...
    "sf_atomic_sensor_pair/RedundantSensors/Sensor1","FailOnce");
OKPath = Simulink.SimulationData.BlockPath( ...
    "sf_atomic_sensor_pair/RedundantSensors/Sensor1","OK");
```

Simulink.SimulationData.BlockPath オブジェクト内の、各ログ信号のインデックスを取得します。

failidx = logInfo.findSignal(failPath);
failOnceidx = logInfo.findSignal(failOncePath);
OKidx = logInfo.findSignal(OKPath);

Sensor1 の信号のログプロパティをオーバーライドします。

信号 OK のログを無効にします。

logInfo.Signals(OKidx).LoggingInfo.DataLogging = false;

カスタム名を有効にして設定します。

logInfo.Signals(failidx).LoggingInfo.NameMode = true;
logInfo.Signals(failOnceidx).LoggingInfo.NameMode = true;

logInfo.Signals(failidx).LoggingInfo.LoggingName = "LogFailSensor1";
logInfo.Signals(failOnceidx).LoggingInfo.LoggingName = "LogFailOnceSensor1";

変更を適用します。

set_param(bdroot,DataLoggingOverride=logInfo);

参考

Simulink.SimulationData.ModelLoggingInfo (Simulink) | Simulink.SimulationData.BlockPath (Simulink)