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化学反応器の線形システム特性のプロット

この例では、シミュレーション中に特定の条件にある Simulink® モデルの線形化をプロットする方法を説明します。Simulink Control Design™ ソフトウェアには、シミュレーション中に線形システムの計算とプロットを行うために、Simulink モデルに追加できるブロックが用意されています。この例では、連続攪拌化学反応器の線形化モデルを計算してプロットします。具体的には、反応器モデルの遷移に応じて異なる操作点で線形化を行います。

化学反応器モデル

化学反応器の Simulink モデルを開きます。

open_system('scdcstr')

反応器には、3 つの入力と 2 つの出力があります。

  • FeedCon0 ブロック、FeedTemp0 ブロック、および Coolant Temp ブロックは、フィード濃度、フィード温度、および冷却水温度の入力をそれぞれモデル化。

  • CSTR ブロックの T 端子と CA 端子は、反応器温度と残留濃度の出力をそれぞれモデル化。

この例では、フィード濃度とフィード温度が一定な場合の、冷却水温度 Coolant Temp から残留濃度 CA への応答に注目します。

反応器のモデル化の詳細については、[1] を参照してください。

反応器線形応答のプロット

反応器モデルには、Simulink Control Design の Linear Analysis Plots ライブラリにある Bode Plot ブロックが含まれています。ブロックは、以下のように設定されています。

  • 冷却水温度 Coolant Temp での線形化入力

  • 残留濃度 CA での線形化出力

Bode Plot ブロックは、外部トリガー信号の立ち上がりエッジで線形化を実行するように構成されています。トリガー信号は Linearization trigger signal ブロックで計算されます。このブロックは、残留濃度が次の条件のいずれかを満たす場合に立ち上がりエッジを生成します。

  • 定常状態値 2 のとき

  • 5 周辺の狭い範囲にあるとき

  • 定常状態値 9 のとき

Bode Plot ブロックのコンフィギュレーションを表示するには、ブロックをダブルクリックします。

シミュレーション中にブロックのボード線図を表示するには、モデルのシミュレーション前にプロット ウィンドウを開いておく必要があります。これを行うには、[プロットの表示] をクリックします。

モデルのシミュレーションを実行します。

sim('scdcstr')

ボード線図には、線形化された反応器が、Linearization trigger signal ブロックで生成されるトリガー信号に対応する 3 つの操作点で表示されます。

  • 5 秒での低残留濃度の線形化。

  • 38 秒での高残留濃度の線形化。

  • 27 秒での低残留濃度から高残留濃度への反応器の遷移に従った線形化。

低残留濃度と高残留濃度での線形化は類似していますが、遷移中の線形化には、大幅に異なる DC ゲイン特性と位相特性があります。低周波数では、位相の差異は、不安定な極または零点のいずれかの存在を示す 180°となります。

反応器線形応答のログ

計算された線形システムをモデル ワークスペースに保存できます。これを行うには、ブロックの [ログ] タブのパラメーターを使用します。

この例の Bode Plot ブロックは、計算された応答を MATLAB® ワークスペースに LinearReactor 構造体として保存するように構成されています。

LinearReactor
LinearReactor = 

  struct with fields:

         time: [3x1 double]
       values: [1x1x3x1 ss]
    blockName: 'scdcstr/Bode Plot'

この構造体の values フィールドに、線形システムが LTI 状態空間モデルの配列として格納されます。詳細については、モデル配列を参照してください。線形化の対応するシミュレーション時間のログが time フィールドに記録されます。

計算された線形モデルを取得します。

P1 = LinearReactor.values(:,:,1);
P2 = LinearReactor.values(:,:,2);
P3 = LinearReactor.values(:,:,3);

反応器が低残留濃度から高残留濃度に遷移中の 27 秒時点での線形システムのボード線図には、システムが不安定である可能性が示されています。この結果を確認するには、線形システムを零点-極-ゲインの形式で表示します。

zpk(P1)
zpk(P2)
zpk(P3)
ans =
 
  From input "Coolant Temp" to output "CSTR/2":
         -0.1028
  ----------------------
  (s^2 + 2.215s + 2.415)
 
Continuous-time zero/pole/gain model.


ans =
 
  From input "Coolant Temp" to output "CSTR/2":
        -0.07514
  ---------------------
  (s+0.7567) (s-0.3484)
 
Continuous-time zero/pole/gain model.


ans =
 
  From input "Coolant Temp" to output "CSTR/2":
        -0.020462
  ---------------------
  (s+0.8542) (s+0.7528)
 
Continuous-time zero/pole/gain model.

Simulink モデルを閉じます。

bdclose('scdcstr')

参考文献

[1] Seborg, Dale, Thomas Edgar, and Duncan Mellichamp. Process Dynamics and Control, Second Edition. John Wiley & Sons, Ltd, 2006.

参考

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