このページの内容は最新ではありません。最新版の英語を参照するには、ここをクリックします。
物理モデル作成の基本的な手順
ワークフローの概要
次の表には、物理モデルの作成とシミュレーションに必要な主な手順が、背景情報を提供する関連ドキュメンテーション トピックと共に示されています。その次に、手順の詳細な説明を示します。
主要な手順 | 関連するトピック |
---|---|
次の図は、コントローラーを使用するマス-バネ-ダンパーモデル例に適用されている主なワークフローの手順を説明したものです。以下に示す手順の説明に、このモデルの作成方法を詳しく記載します。
手順 1: ssc_new
を使用した新規モデルの作成
Simscape™ モデルの作成を開始する最善の方法は、ssc_new
を使用することです。これによって、既定の推奨設定がモデルで必ず使われるようにできます。ssc_new
を使用すると、次が自動的に実行されます。
必須および通常使用されるブロックが既にモデル キャンバス上にある、新規 Simscape モデルの作成
ソルバーと許容誤差の推奨設定の選択
モデル全体のデータ ログ作成の有効化
手順 2: 物理ネットワークの組み立て
システムをモデル化するには、Simscape ライブラリのブロックをモデルに追加してから物理ネットワークに接続します。作成した概略図内のブロックを接続するラインは、モデル化する実際のシステムのコンポーネント間に存在する物理的な接続を表します。つまり、Simscape のブロック線図は物理的システムのレイアウトを再現しています。
ネットワークを構築する際には、Electrical Reference や Mechanical Translational Reference など、ドメイン固有の参照ブロックを含めることが重要です。ドメインによって、これらのブロックは地面、フレームまたは大気への接続を表します。詳細については、グラウンディングのルールを参照してください。
手順 3: ブロック パラメーターと変数ターゲットの調整
Simscape ブロックは、ブロック パラメーターとブロック変数に既定の初期値をもつ汎用的なコンポーネントを表します。これらの値を調整して、アプリケーションに合わせたり、製造元のデータ シートに合わせたりすることができます。
ブロック パラメーターの値やブロック変数の初期化ターゲットを表示および変更するには、ブロックをダブルクリックしてダイアログ ボックスを開きます。[設定] タブを使用します。
ほとんどの Simscape ブロックについて、ブロックのダイアログ ボックスには同じ情報が含まれ、レイアウトはブロックのプロパティ インスペクターと同じです。既定では、プロパティ インスペクターで値を変更すると新しい値がすぐに適用されます。制御しやすくするために、ブロックのダイアログ ボックスの右上隅にある [自動適用] チェック ボックスをオフにして、[リセット] ボタンと [適用] ボタンを有効にすることをお勧めします。これは、複雑なブロックの作業で複数のパラメーターを一度に変更する場合に特に役立ちます。パラメーターの値を製造元のデータ シートに合わせて変更し、全体を確認してから、[適用] をクリックします。[自動適用] チェック ボックスをオフにすると、その MATLAB セッションを終了するまで保持されます。
ブロックの説明を確認するには、ブロックのダイアログ ボックスで [説明] タブをクリックします。このタブには [ソース コード] リンクもあります。このリンクをクリックすると、このブロックの Simscape ソース ファイルが MATLAB エディターで開きます。
ブロックに設定できるパラメーターまたは変数ターゲットがない場合は、ブロックのダイアログ ボックスに [設定] タブは表示されず、[説明] タブだけになります。
ブロックのドキュメンテーションを確認するには、ブロックのダイアログ ボックスの右上隅にある疑問符のボタン をクリックします。
手順 4: ソースの追加
入力信号を使用して Simscape モデルを駆動できます。この手法によって、システムに作用する力、電圧、圧力などの物理的な効果を表せます。また、電流、質量流量、熱流束など、システムを流れるその他の量も指定できます。物理ネットワークに信号入力接続を追加するには、Simscape ソース ブロックを使用します。
手順 5: センサーの追加
物理ネットワークから量を測定し、モデルの他の場所で使用することができます。これらの量の一般的な用途には、制御アルゴリズムのフィードバック、他の物理量に動作が依存する物理コンポーネントのモデル化 (温度依存の抵抗など) あるいは単にシミュレーション中に結果を表示する場合などがあります。
測定値によって直列または並列に接続されたセンサー ブロックを使用して、量を測定します。スルー変数によって定義される量 (電流、流量、力など) を測定するには、センサーを直列に接続します。アクロス変数によって定義される量 (電圧、圧力、速度など) を測定するには、センサーを並列に接続します。スルー変数とアクロス変数の詳細については、変数のタイプを参照してください。
手順 6: インターフェイス ブロックを使用して Simulink に接続
Simscape ネットワーク内の方程式は同時に解かれますが、Simulink ブロックは順次評価されます。Simulink-PS Converter や PS-Simulink Converter などのインターフェイス ブロックは、これら 2 つのモデリング規則間の境界を処理します。インターフェイス ブロックは、Simulink 信号によって Simscape ネットワーク内の量を指定する場合や、制御設計などの目的で Simscape の量を Simulink に渡す場合に必要です。Simulink ブロックを Simscape 物理ネットワークに接続するたびに、適切なコンバーター ブロックを使用する必要があります。
手順 7: モデルのシミュレーション
シミュレーションを実行するには、Simulink ツールストリップ (モデル ウィンドウの上部) またはスコープ ビューアーのツール バーで [実行] ボタン をクリックします。Simscape ソルバーはモデルを評価し、初期条件を計算して、シミュレーションを実行します。このプロセスの詳細は、Simscape でのシミュレーションの仕組みを参照してください。モデル ウィンドウの左下の隅のメッセージに、ステータスの更新が提示されます。
手順 8: シミュレーション結果の表示
Simscape 結果エクスプローラーでは、データ ロギング機能を使用してシミュレーション データの表示と解析ができます。たとえば、2 回のシミュレーション実行を比較して、質量の変更がバネの変形にどのような影響を与えるかを解析できます。