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cheb1ord

チェビシェフ I 型フィルターの次数

説明

[n,Wp] = cheb1ord(Wp,Ws,Rp,Rs) では、通過帯域の減衰量が Rp dB 以下、阻止帯域の減衰量が Rs dB 以上のチェビシェフ I 型フィルターの最小次数 n が返されます。また、対応するカットオフ周波数のスカラー (または、ベクトル) Wp も返されます。

[n,Wp] = cheb1ord(Wp,Ws,Rp,Rs,'s') はカットオフ角周波数 Wp を持つ、ローパス、ハイパス、バンドパスまたはバンドストップのアナログ チェビシェフ I 型フィルターを設計します。

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周波数 1000 Hz でサンプリングされたデータに対し、0 ~ 40 Hz で定義される通過帯域でのリップルが 3 dB 未満、また、150 Hz ~ナイキスト周波数で定義される阻止帯域でのリップルが 60 dB 以上のローパス フィルターを設計します。

Wp = 40/500;
Ws = 150/500;
Rp = 3;
Rs = 60;
[n,Wp] = cheb1ord(Wp,Ws,Rp,Rs)
n = 4
Wp = 0.0800
[b,a] = cheby1(n,Rp,Wp);
freqz(b,a,512,1000) 
title('n = 4 Chebyshev Type I Lowpass Filter')

60 Hz ~ 200 Hz の通過帯域でリップルが 3 dB 未満、通過帯域の両側 50 Hz の阻止帯域の減衰量が 40 dB のバンドパス フィルターを設計します。

Wp = [60 200]/500;
Ws = [50 250]/500;
Rp = 3;
Rs = 40;
[n,Wp] = cheb1ord(Wp,Ws,Rp,Rs)
n = 7
Wp = 1×2

    0.1200    0.4000

[b,a] = cheby1(n,Rp,Wp);
freqz(b,a,512,1000)
title('n = 7 Chebyshev Type I Bandpass Filter')

入力引数

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通過帯域コーナー (カットオフ) 周波数。0 ~ 1 の値を持つスカラーまたは 2 要素ベクトルとして指定されます。ここで、1 は正規化されたナイキスト周波数 π ラジアン/サンプルに対応します。デジタル フィルターの場合、通過帯域コーナー周波数の単位はラジアン/サンプルです。アナログ フィルターの場合、通過帯域コーナー周波数の単位はラジアン/秒で、通過帯域を無限大にできます。WpWs の値は、cheb1ord が返すフィルターのタイプを決定します。

  • WpWs が両方ともスカラーで、Wp < Ws である場合は、cheb1ord はローパス フィルターの次数とカットオフ周波数を返します。フィルターの阻止帯域の範囲は Ws ~ 1、通過帯域の範囲は 0 ~ Wp です。

  • WpWs が両方ともスカラーで、Wp > Ws である場合は、cheb1ord はハイパス フィルターの次数とカットオフ周波数を返します。フィルターの阻止帯域の範囲は 0 ~ Ws、通過帯域の範囲は Wp ~ 1 です。

  • WpWs が両方ともベクトルで、Ws によって指定される区間に Wp によって指定される区間が含まれる場合は (Ws(1) < Wp(1) < Wp(2) < Ws(2))、cheb1ord はバンドパス フィルターの次数とカットオフ周波数を返します。フィルターの阻止帯域の範囲は 0 ~ Ws(1) および Ws(2) ~ 1 です。通過帯域の範囲は Wp(1)Wp(2) です。

  • WpWs が両方ともベクトルで、Wp によって指定される区間に Ws によって指定される区間が含まれる場合は (Wp(1) < Ws(1) < Ws(2) < Wp(2))、cheb1ord はバンドストップ フィルターの次数とカットオフ周波数を返します。フィルターの阻止帯域の範囲は Ws(1)Ws(2) です。通過帯域の範囲は 0 ~ Wp(1) かつ Wp(2) ~ 1 です。

    さまざまなタイプのフィルターを指定するには、次のガイドを参考にしてください。

    フィルター タイプによる阻止帯域と通過帯域の仕様

    フィルター タイプ

    阻止帯域と通過帯域の条件

    阻止帯域

    通過帯域

    ローパス

    Wp < Ws、共にスカラー

    (Ws,1)

    (0,Wp)

    ハイパス

    Wp > Ws、共にスカラー

    (0,Ws)

    (Wp,1)

    バンドパス

    Ws で指定された区間は、Wp (Ws(1) < Wp(1) < Wp(2) < Ws(2)) で指定されたものを含みます。

    (0,Ws(1)) および (Ws(2),1)

    (Wp(1),Wp(2))

    バンドストップ

    Wp で指定された区間は、Ws (Wp(1) < Ws(1) < Ws(2) < Wp(2)) で指定されたものを含みます。

    (0,Wp(1)) および (Wp(2),1)

    (Ws(1),Ws(2))

データ型: single | double

メモ

フィルター仕様において、通過帯域/阻止帯域でのリップルが両側で等しくないバンドパス フィルター/バンドストップ フィルターが必要な場合は、ローパス フィルターとハイパス フィルターを別々に設計し、2 つのフィルターをカスケードに結合します。

阻止帯域コーナー周波数。0 ~ 1 の値を持つスカラーまたは 2 要素ベクトルとして指定されます。ここで、1 は正規化されたナイキスト周波数に対応します。

  • デジタル フィルターの場合、阻止帯域コーナー周波数の単位はラジアン/サンプルです。

  • アナログ フィルターの場合、阻止帯域コーナー周波数の単位はラジアン/秒で、阻止帯域を無限大にできます。

メモ

WpWs の値は、フィルター タイプを決定します。

通過帯域リップル。スカラーとして dB 単位で指定します。

データ型: single | double

阻止帯域の減衰量。スカラーとして dB 単位で指定します。

データ型: single | double

出力引数

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最小フィルター次数。整数スカラーとして返されます。

通過帯域コーナー周波数。スカラーまたは 2 要素ベクトルとして返されます。これらの出力引数 nWp は、関数 cheby1 で使用します。

アルゴリズム

cheb1ord では、参考文献[1]に記述されているチェビシェフ ローパス フィルターの次数予測式が使用されています。この関数は、アナログとデジタルのいずれの場合も、アナログ領域で処理を行います。デジタルの場合、まず周波数パラメーターが s 領域に変換され、次数と固有振動数の推定が行われ、その後 z 領域への逆変換が実行されます。

cheb1ord では、希望するフィルターの通過帯域周波数を 1 rad/s (ローパス フィルターおよびハイパス フィルターの場合)や、-1 および 1 rad/s (バンドパス フィルターおよびバンドストップ フィルターの場合) に変換することにより、まずローパス フィルターのプロトタイプが作成されます。その後、関数 cheby1 の値を使用する場合に、通過帯域仕様を完全に満たすために必要なローパス フィルターの次数と固有振動数が計算されます。

参照

[1] Rabiner, Lawrence R., and Bernard Gold. Theory and Application of Digital Signal Processing. Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall, 1975.

拡張機能

バージョン履歴

R2006a より前に導入