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非線形の特徴

非線形の特徴は、振動信号での無秩序動作を特徴づけるメトリクスを提供します。これらの特徴は、ベアリング、ギア、エンジンなどのシステムからの振動および音響信号の解析に役立つことがあります。非線形の特徴の生成は、アプリの他の特徴の生成よりも計算負荷が高くなります。

非線形の特徴の固有の利点は、これらの特徴は、元になるシステム ダイナミクスの位相空間軌跡での変化を反映しているということです。こうした変化は、故障状態が発生する前に表面化することがあります。したがって、非線形の特徴を使ってシステムの動的特性を監視すると、ベアリングのわずかな摩損といった潜在的な故障をより早期に特定するのに役立つことがあります。

位相空間の再構成パラメーター

すべての非線形の特徴は "位相空間の再構成" に依存しています。"位相空間" とは、起こりうるすべての可変状態の多次元マッピングです。このマッピングにより、システムの完全に動的な動作が描写されます。位相空間の再構成は、単一の 1 次元信号から多次元の位相空間を再作成する技術です。

  • 埋め込み次元 — 動的システムの状態変数の数と等価な、位相空間の次元。

  • ラグ — 再構成を実行するために使用される遅れの値

既定の ‘Auto’ 設定によって、これらのパラメーターの推定が結果として得られます。パラメーターを手動で変化させて、結果としての特徴の効率性についての設定の影響を調べます。

位相空間の再構成の詳細については、phaseSpaceReconstruction を参照してください。

近似エントロピー

近似エントロピーは信号の規則性、または逆に、信号の予測不可能性を計測します。システム内の劣化は通常、近似エントロピーを増加させます。

  • 半径 — データの変動が類似であると考えられる有意な範囲を特定する類似性の基準。‘Auto’ の設定は既定の設定を呼び出します。これは信号の分散または共分散に基づきます。

相関次元

相関次元は、自己相似性を反映する無秩序な信号の複雑度を測定します。通常、劣化は信号の複雑度を増加させ、そうする中でこのメトリクスの値を増加させます。

  • 類似半径 — 相関次元の計算に含められる点の境界の範囲。既定の値は信号の共分散に基づきます。

    [探索] を使用して半径の値を視覚的に調べます。[探索] は相関積分対半径のプロットを表示します。相関積分は、システムの状態が 2 つの異なる時間間隔において近い可能性の平均です。この積分は自己相似性を反映しています。次の図に示すように、いずれかの垂直境界線を動かすことで、相似性の範囲を変更できます。目的は、曲線の線形部分の境界を設定することです。図を閉じると、境界を設定する値は相関次元の設定につれて自動的に推移します。

  • 点数 — 最小と最大の範囲の値の間にある点の数。この設定により計算の分解能が駆動されます。

相関次元の詳細については、correlationDimension を参照してください。

リアプノフ指数

リアプノフ指数は、位相空間での限りなく近い軌跡の分離率に基づいて、信号の異常に起因する無秩序性の程度を計測します。システム内の劣化はこの値を増加させます。正のリアプノフ指数は、指数の振幅に関連する次数で、無秩序性の存在を示します。負の指数は無秩序性のない信号を示します。

  • 拡大範囲 – ローカルの拡大率の推定に使用される点の範囲を定める、境界の整数の範囲。この割合はその後リアプノフ指数の計算に使用されます。

    [探索] を使用して、拡大範囲と拡大率 (平均の対数発散) の関係を視覚的に調べます。領域を区切るために整数を使用して、線形であるプロットの部分を選択します。図を閉じると、境界を設定する値は [最小値] および [最大値][拡大範囲] の設定につれて自動的に推移します。

  • 平均周期 — 最大のリアプノフ指数を推定するために、特定の点の最近傍を見つけるために使用されるしきい値の整数の値。ソフトウェアは、信号の平均周波数についての既定の値を基にします。

リアプノフ指数の詳細については、lyapunovExponent を参照してください。

その他の情報

ソフトウェアは計算の結果を新しい特徴に格納します。この新しい特徴名には接尾辞 nonlin をもつソース信号名が含まれています。